Road to Goa – 黄金のゴアへ
■黄金のゴアへ
バイクと地図を手に入れた僕が向かったのは、オールドゴアと呼ばれる旧市街地。『黄金のゴア』と呼ばれ、かつてポルトガル領だった時代の名残をよく残し、多数の教会は世界遺産にも登録されている。勝手なイメージでアンジュナの近くだと思っていたのだが、ナビでルートを見るとバイクで45分ほどの距離と意外と遠い。インド路上デビュー初日でロングツーリングは不安だったが、まあ行けるだろうとヤマハのスクーターに乗り込んだ。インドの道は日本と同じ左側通行で走りやすいが、凸凹なども多く信号はほとんど無い。細い田舎道を抜け国道に合流すると交通量は一気に倍増する。クラクションは追い抜く時や割り込みする時など常時鳴らしまくりで、車線というものが基本的になく、進める隙間を塗って走るカオスなスタイル。しかし人の順応力は凄い。そんなインド式のハードコアな交通事情にもすぐに慣れ、賄賂を要求されると聞いていたので警察に呼び止められないようにだけ注意しながら快適にバイクを走らせた。検問をやっているような大きな交差点の前では、一人で突っ込まずインド人の後を着いていくのがポイントだ。大きな川を渡り、左折して高速道路のような快適な道を進むとオールドゴアという看板が見えてきた。





■ゴア州はインドで唯一カジノ経営が許可
帰りは橋を使わず、ゴア州の州都でもあるパナジから渡船に乗ってみた。交通量が多いのでピストン輸送しており、岸壁で待っていると向こうからすぐにやってきてくれる。日本と同じで渡船は公共交通機関らしく料金は無料。船長が操舵室に入れてくれ、海賊の様な巨大な舵で運転する姿はカッコ良かったが、後ろの2段ベッドで船員が3人くらい昼寝している姿がなんともインド的。船上から景色を眺めていると、沖合に何層ものド派手な客船が錨を下ろし停泊しているのが見えた。後から分かったのだがこれらは全て船上カジノだった。ゴア州はインドで唯一カジノ経営が許可されてるが、それは陸上ではなくクルーズ中の船内だけらしい。一応ドレスコードもしっかりあるようなので、短パンしか持ってなかった今回の旅ではついに行く機会はなかったが、機会があれば是非一度はトライしてみたい。



■ヒッピーたちが始めたフレアマーケット
対岸に到着し、二日目の夕日はやはりアンジュナビーチで見たいとバイクを走らせていると、ビーチまであと一息というところで道の両サイドに延々と竹や木の棒で作られた掘建て小屋が並ぶエリアを通りかかった。通りすがりのチリ人とフランス人のカップルに聞くと、これらはなんと全て市場の店の屋台で、毎週水曜日に開くらしい。その昔ゴアでヒッピーたちが始めたフレアマーケットは有名だが、それが土地に根付いてすっかりインド社会に定着しているのだ。そのエリアはバイクで走っても走ってもなかなか終わりが見えない巨大なものだった。本当に毎週これらの店全てが開いてるのかと疑問だったが、水曜日は明後日。アンジュナ滞在の楽しみがまた一つ増えた。





■夕陽に始まり夕陽に終わる
着いて驚いたのがたった数時間の間に潮が満ち、あれだけ広かった砂浜がほとんど無くなっていること!みんな靴を脱ぎ、くるぶしまで濡れながらビーチハウスからビーチハウスへ移動していた。夜の海を緑や紫のサーチライトが照らし、そこはさながら世界の果て、海が果つる場所のダンスフロア。バーのインド人スタッフたちも皆気さくで、僕が着古したタイダイのTシャツをあげると凄く喜んでくれ、ずっと自分の服の上から着て踊っていた。ゴア2日目の夜はこうして更けていった。





■ゴアのハイシーズンは年々短く
夜はMASAさんがアンジュナの名店グル・バーでDJをするとSNSにアップしていたので行ってみた。四国にも何度も来て頂いていたので、しばしゴアでの再会を喜ぶ。プレイを聞きながらキングフィッシャービールを飲んでいると、会場に日本人の姿が見えたので話しかけてみた。その女性はゴアに住んでおり、前はもっとフリーパーティーが多かったなど、アンジュナの昔話を色々聞くことができた。ゴアのハイシーズンは年々短くなってきていて、昔は年末くらいからずっと盛り上がっていたのが、今では2月と3月だけになっているそうだ。年々警察の取締りも激しくなっているようで、ゴアも日本のように規制だらけで大人しくなってしまう日がいつか来るのだろうか。マプサの市場でのオススメの店などを教えてもらい、FBのアカウントなどを交換して別れた。昔の旅なら行きずりで終わったのだろうが、SNS時代はなんとなく緩く繋がれるのは嬉しい。今も彼女のアカウントでゴアの今の情報がタイムラインに流れてくると、一気にあの時の気持ちが蘇るようだ。

宮脇 慎太郎
1981年香川県生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、日本出版、六本木スタジオなどを経て独立。大学在学時より国内外への旅を繰り返した後、2009年奄美皆既日食音楽祭を節目に高松に活動の拠点を移す。辺境bの聖性をテーマに風景やポートレートの撮影に取り組んでいる。
2012年から仲間とBookcafe solowを運営。2015年、日本三大秘境祖谷渓谷を撮り続けた写真集『曙光 The Light of Iya Valley』をサウダージブックスより出版。写真を大幅に追加してのバイリンガル版『霧の子供たち』を2019年に出版した。
次作に初のノンフィクション『ローカル・トライブ』、宇和海沿岸を撮り続けた『rias land』などを予定している。瀬戸内国際芸術祭2016、2019公式カメラマン。
1981年香川県生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、日本出版、六本木スタジオなどを経て独立。大学在学時より国内外への旅を繰り返した後、2009年奄美皆既日食音楽祭を節目に高松に活動の拠点を移す。辺境bの聖性をテーマに風景やポートレートの撮影に取り組んでいる。
2012年から仲間とBookcafe solowを運営。2015年、日本三大秘境祖谷渓谷を撮り続けた写真集『曙光 The Light of Iya Valley』をサウダージブックスより出版。写真を大幅に追加してのバイリンガル版『霧の子供たち』を2019年に出版した。
次作に初のノンフィクション『ローカル・トライブ』、宇和海沿岸を撮り続けた『rias land』などを予定している。瀬戸内国際芸術祭2016、2019公式カメラマン。
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