人間のあるべき姿を追い求めるケララ州のコミューン Farmer’s Share



■人間とは何なのか?
私たちは高度に発展した現代社会の中で生きています。

大量生産された鶏肉はブラジルからコンテナでやって来て。
美味しいワインはフランスから運ばれ。
毎日、決まった時間に会社に行き。
インターネットを使って連絡を取り。
やってきたメッセージにはできるだけすぐに返信する。

そんな私達の生活はとても便利です。
効率と便利さを追い求めた社会です。

しかし、それが本当に私達のあるべき姿なのか。
現代的な生活が幸せなのか。

その疑問を追い求めた人々がインド、ケララ州の奥地にコミューンを作っていました。



■クリエイターのコミューンFarmer's Share
Farmer's Shareを作っているのは、アンブローズさんと、奥様のミニさん。

ナチュラルな生活を30年間追い求めてきた2人が、仲間と一緒に、4年前から始めたコミューンみたいなものがFarmer's Shareだといいます。

コミューンが正確にどんなものを意味するのか、人によって解釈が異なりますから、「コミューンみたいなもの」という表現をされたのでしょうね。

アンブローズさんたちは、いわゆる西洋的なナチュラル志向だけではなく、インドならではのガンディー哲学も同時に実践しているとのこと。

ガンディー哲学の中心となる考え方の一つに、自分たちの手で自分たちの使うものを作ろうというものがあります。だからここで生産されるものすべては、自分たちの手で作られ、大量生産はされません。

人間とは、「シェルター、服、食事があれば生きていくことができる」という理念もあり、それもあわせて追求しているのだそう。

その理念をもとに、愛と、ハーモニーのある生活を求めてきた4年間だといいます。


■個人の創造性を開花させるコミューン Farmar's Share
このコミューンがあるのはインド、ケララ州のショーラヌールという場所です。
ショーラヌールはこちら。地図の赤丸の部分ですね。


コミューンの求めるところは、個々人が自分たちの手で物を作ることにより、喜びと満足、そして個々人の独立と創造性を開花させること。伝統的な田舎の生活を通して、大地と繋がり、大地とともに生きること。

写真に写っているはちみつも、自分たちで採ったものを綺麗にボトリングしたものだそうです。


もともと、インドは手工芸の国です。
近代化するにつれ、手工芸に携わる人の数は徐々に少なくなってきてはいますが、まだまだ沢山の人が手工芸を作っています。

Famer's Shareでは手織り、草木染め、陶器、竹細工、鍛冶などの手工芸品を作ることによって、伝統を継承するとともに、モノを作る人々が、自律的かつ主権的な生活を送れるようにしています。


これは、尊厳、正義、公平、平和、および生態系の持続可能性の原則に基づいて、コミュニティの自立と相互依存を促進するというグラム スワラジの考え方と密接に関連しているのだそうです。



■コミューンで作られているもの
ここのコミューンでは、住んでいる個々人のスキルに応じて、いろいろなものが作られています。

こちらはファームルームと呼ばれているコットンの手織り布を作っているところ。
ファーム=農村、ルーム=織りですから、農家織りって言う感じですね。


こちらは自然の草花で染色したナチュラルダイの妊婦用の服。
植物は周りにあるものを使っているのだそうです。


素材を作るだけでなく、服のデザインもここでやっていて。
こちらはナチュラルダイのベビー服。肌にとても優しくて赤ちゃん向きとのこと。


このコミューンは何でも自分たちで作るので、もちろん家も自分たちで作ります。
こちらは古材で作成した母屋。10-15人くらい泊まれるのだそうですよ。


この地方ではシンプルで硬めの素焼きのクレイ製品の伝統があり。
お皿やスピーカースタンド、このような水瓶なども作っています。
シンプルでお洒落ですよね。

このコミューンにやってきて感心したのは、手作りなのにもかかわらず掃除は行き届いていて、作られている商品たちはすごくお洒落なこと。手作りのところってどうしても乱雑になりがちですが…アンブローズさんと、奥様のミニさんの美意識がとても高いのでしょうね。


こちらは手作りのカレンダー。ナチュラルコットンであり、ハイビスカスの草木染めで、ちょっと厚手のバナナペーパーを表紙に使っています。


こちらはココナッツレザー。ココナッツの残り汁をバクテリアで発行させて作る素材とのこと。
触った感じは、もちろん本物のレザーとは違うけれども、これはこれでアリだなと感じます。


最後にお店の中をミーラさんに案内してもらいました。
ミーラさんの後ろにある四角い箱の中には地元で採れたオーガニックスパイスが入っていて。
棚の上のテラコッタの壺やお皿はもちろん、ここで作ったもの。


インドなので手作りのアチャールがあったり。


アンブローズさんがやってきて、はちみつの紹介をしてくれます
ハイビスカスの果汁を入れた地元産のはちみつだそうで、パッケージがとてもおしゃれですね。


そして最後にみんなで記念撮影!!!
素敵な場所に訪問させていただき、ありがとうございました!!

日本にもこういうコミューンがあったら、幸せになれる人がもっと増えるんじゃないか…と思う素晴らしい訪問でした。

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