激しさを増すインドのインフレと、インド物が扱えなくなる未来

目次
■3月にインドに行くことになりました
ティラキタ買付班、3月にインドに買い付けに行くことになりました。前回、インドに行ったのが2年前の2月のことですから、実に2年ぶりの海外買い付けになります。「アジア雑貨屋さんなのに、全然アジアに行けていない!」という、だいぶ問題のある状況が、やっとこ終わります。でもさ、まだ、コロナじゃない?
オミクロン、流行の真っ最中じゃない?
って思われると思います。
いや、全くその通りで、ピークは過ぎたと言っても、インドはまだまだ第3波の真っ最中で、今日も3万人の感染者が出ています。インドに行くのはちょっと怖いよねってやっぱり思いますし、帰国しても隔離期間がありますから、その間はどうするのかって言う話もあります。
これはコロナ前の動画ですので、今はもちろん変わっていると思いますが。インドに行ったらこの人混みの中に突入しなければいけませんからね。正直怖いですよ。
ティラキタ社内でも、「正直、まだ今は行く時期じゃないと思いますよ」とか、「コロナが怖いから行きたくないです」とか、「飲み薬ができるまで待ちましょうよ」という反応もありました。
それは間違いなくその通りで、インド渡航中にオミクロンはいいとしても、デルタにかかって、インドで2ヶ月ベッドに寝たきりになったらどうしよう…とも思ったりします。
■インド人全員が値上げを言ってきた!!!
実は、そんな中でも、インドに行かざるを得ない理由が出てきたのです。その理由は…インドのインフレが予想を超える勢いで激しいからです。

インドに行けない2年間の間は、インドやタイにいるパートナーたちと毎日連絡を取り合って、近況を報告したり、色々な新商品を探してもらったりしていました。それはそれで、お互い力を合わせて何とか毎日を凌いできました。
しかし、ここの所、どうも状況がおかしい。
みんなが口々に値上げを言ってくる。
ムンバイからやってくるステンレス製品に至っては4割値上げとか言ってきて。
正直、このままではお客様に今のお値段で商品を提供することが難しくなるだろうなと思う状況です。
状況によっては、インド商品を紹介できなくなる可能性すらあるなと。
それはいくらなんでもまずい、という事で。
今、インドで何が起こっているのかを、見にいくことにしたのです。

■船代金が倍額に
コロナになってから、色々な物の値段がどんどんと上がっています。何も変わらないのは日本だけなんだな、という状況です。
コロナが始まった2年前の春には、今まで使っていたAir Cargoが5倍の値段になり、使えなくなりました。仕方ないので、船で運ぶようにしましたが、どんどん船代金も上がり、気がついたら、船代金が以前の倍の値段になっています。
そして、インドからは色々なモノの値段が上がるという連絡が次々とやってくるようになりました。
最初は「俺たちが行かないから、便乗値上げしてるんじゃない?」とか、「やっぱり、ちゃんと行って、人間関係を良好にしておかないとダメだよね」とか言っていたのですが、どうやら、事態はそんな話ではない模様なのです。
■バラナシのアシーシュさんに聞いてみた
値段について、神様布を作っているバラナシのアシーシュさんに聞いてみました。アシーシュさんとは、ティラキタの仕事を始めた2001年からのお付き合い。名家の三男坊で、彼の父親がいなかったらティラキタは間違いなく存在しないという大恩人です。






■ジャイプールのニ―トゥさんに聞いてみた
次に、ジャイプールのニ―トゥさんに聞いてみることにしました。ジャイプールのニ―トゥさんは、サンガネールでブロックプリントを作っている家柄の娘さんです。藍染のウッドブロックだったら彼女の家に頼みます。インド藍を使った泥染め布の村に行って来ました!のブログは彼女の親戚のお宅の話です。




■ムンバイのネハちゃんに聞いてみた
同じ様に、ムンバイのネハちゃんにも聞いてみました。ネハちゃんは、ムンバイ周辺のものを全部取りまとめてティラキタに送ってくれる、大切な大切なパートナーです。



■コロナ後のインド
伝え聞く話によると、今、インドは空前の国内旅行ブームであり、消費ブームなのだというのです。インド国内では「もうコロナは終わった」と思っている人々が非常に多いらしく、例えば、年末年始のゴアは完全に満室だったとのこと。そして、インドの中間層がどんどんと増え、その人達がブランド品や、高級品を求めるようになってきたのだとも聞きます。低価格品は売れなくなってきているとも聞きます。
インドはお金を見せびらかす社会でもありますから、ちょっとお金持ちになった人々が、ブランド品や高級品を求めるようになる心理はわからないでもありません。

そう聞こえてくるのです。
インド、若い人たちばっかりだもんな。
今まで、ショッピングモールもなかったから、ショッピングモールができて、大量消費ができる様になったら、それはそうなるだろうな。って思うのです。
デリーやムンバイの郊外には、日本と変わらないかそれ以上にキラキラしているショッピングモールができて、週末は豊かになったインド人たちで賑わっています。

日本では「物があるから豊かで幸せである」という幻想はすでに終わっていて、モノをあまり持たない人々も増えていますが、インドがその状況になるのはあと40年くらい先のことでしょうね。
■インドが1970年代の高度経済成長と同じだとすると
将来のことはわかりませんが。仮に今、インドが日本の1970年代の高度経済成長と同じ状態だとすると。
まだまだ、インドの物価は上がり続けるでしょう。
あと5年もすると、物価が上がりきって、インド物を取り扱えない日がやってくるのではないかと。
10年したら、インドに日本のものを輸出したほうがいい時代がやってくるのではないかと。
そんな気がしてなりません。
だからこそ、コロナ感染の危険を犯してでも、インドに渡航することにしたのです。

■お値段を上げない努力!
ティラキタには、たくさんの在庫があり、そのお値段は変更しないので、お客様の目に見える変化はゆるやかになるとは思いますが、新しくインドから入荷してきたものは、新しいお値段を付けざるをえません。本当に避けられない話ではありますが、これから、ティラキタも徐々にお値段を上げざるを得なくなってきます。
とは言うものの、「インドの物価が上がったから、お値段が上がります」では、今の日本で商売をさせて頂けないのは明らかです。日本の物価は変わりませんものね。
変わりゆく世界に合わせて、僕たちもまた変わり続けなければいけないのだと思っています。
「不思議で面白い、インドとアジアを紹介する」というティラキタのモットーを大切にしつつ、どうやって、素敵で、リーズナブルで、エスニック感溢れる商品を提供し続けていくか。
割と難しい問題が出現してきたなと感じています。
毎日、将来を見据えて考えながら進んでいかねばいけないよなぁ…と思う今日このごろなのです。
