世界三大臭い食べ物の一つ ホンオフェを訪ねて



ティラキタ買付班、面白いもの、見たことがないものが大好きです。

インドって、面白いもので溢れてるもんなぁ…
何回行っても飽きないよなぁ

だから、インドに延々と通ってしまうのですが、今回は、まだ食べたことのない食べ物を求めて、お隣の国、韓国に行ってきました。

韓国といえば、コスメの国であり、美容整形の国ですよね。帰国便の大韓航空のお姉さんたちの顔が全員一緒だったのには、さすが韓国!と驚きましたよ。

コスメだけでなく、ご飯もとても美味しくて、サムギョプサルやクッパ、カルビなど美味しい食事もたくさんあります♪ 魅力たっぷりの韓国ですが、実は日本では食べない、面白い?食材がたくさんある国でもあります。

■韓国って日本にそっくり
韓国の温泉街の市場をウロウロ歩いていたときのことです。韓国って街の感じとか、歩いている人々とか、日本にそっくりです。街にハングル語が溢れているだけで、後は日本の感じ。お隣の国、兄弟国なんだなぁ…と自然と納得します。



温泉街の市場はアーケードになっていて。いろいろなものが売られていました。


カニに、アワビに、イイダコに、ホヤに、あさりに、巻き貝に、画像の右下にはエイもいますね。


そして、なんと。サナギが売られているではありませんか。サナギは、元々は蚕の幼虫で、蚕から絹糸を取った後のものです。日本だとクロダイの餌とかに使われていて、結構独特な匂いがありますよね。どうやって食べるのでしょうか。


韓国ではサナギ食うのか…


■結婚式でホンオフェを作った思い出
今回、絶対に韓国で食べたかったのが、エイの発酵食であるホンオフェです。ホンオフェは韓国にしかない発酵食品で、アンモニア臭がする世界でも唯一の食べ物。

ホンオフェの事は、だいぶ昔から知っていまして。ティラキタを始める数年前に、自身の結婚式をやった時の話です。

韓国では結婚式の時にホンオフェというとんでもなく臭い食べ物を食べるらしいぞ

との悪友の情報により、三崎の魚市場に行ってエイを入手してきて自分で作り始めました。でも、作り方がわからず、密臭瓶にエイをそのまま投入して、様子を見るというだけだったのですが。

一週間くらい経過すると、完全な密臭瓶のはずなのに、徐々に臭気が漏れ出してきました。なんとも言えない、男子便所を煮詰めたかのような臭気がちょっとづつ漏れてきます。



これ、すごい臭いんだけど。本当に食べるの?

うん。韓国では結婚式の時にこれを食べるらしいんだ

徐々に瓶の中のエイの形は崩れ、顔が変形していき。元々の面影はなくなっていきました。



そして結婚式の日がやってきて。河原で真夜中に友人たちと開けたのですが…そのあまりの臭いこと!!!!!!!
蓋を開けたら、ナウシカの瘴気かと思うような強烈なアンモニア臭が放出され、10m以内に近づけなくなりました。

臭い臭い臭い!!!!!!

ムリムリムリムリ!!!!

周りを囲んでいた友人たちが一斉に逃げ出します。

近づこうとすると、空気の中のアンモニアが、目の水分と反応して、自然と涙が流れてきます。そしてなぜか目がほんのりと暖かくなってきます。

10分くらい経過して、5m以内に近づける勇者が現れました。
20分くらい経過して、瓶の中のエイを取り出すことに成功しました。

そして最後に、ハサミでエイの身を切り、口にいれる勇者が現れましたが…あまりの臭さに刃が立たず、そこで自作ホンオフェは捨てられることになったのでした。

次の朝。起きてきた友人が

口の中、まだ臭いよ…。歯磨きしても取れないよ…

と言っていたのがとても印象深く、25年以上経過した今でも、鮮明に覚えています

ホンオフェは結婚式を忘れないために食べる食べ物なのだな

と勝手に合点したものです。

そんな青春の記憶のホンオフェ。韓国に来たら絶対に一度は食べてみたい食材なのでした。

自作したホンオフェは、本当にホンオフェの味だったのかどうか。
あの強烈な臭気を放つ食べ物が、韓国でお金を取る料理として提供されるのかどうか。

■ホンオフェとは
まず、ここでホンオフェとは、どんな料理なのかを改めて説明しましょう。ホンオフェはかの有名な発酵漫画もやしもんにも出てくる、世界三大臭い食べ物の一つです。ホンオフェ、シュールストラミン、エピキュアーチーズが世界3大臭い食べ物として紹介されていた気がします。

ホンオフェは韓国で伝統的に食されているガンギエイの発酵食品です。全羅道の羅州が特に有名とのことですが、釜山でも食べられています。ガンギエイだけでなく、エイやサメ系の魚は、体の中にアンモニア発酵酵素を持っていて、死後、そのまま置いておくだけでアンモニア発酵をします。

普通であれば、アンモニア臭いと食べませんが、ホンオフェはそれを逆手に取り、アンモニア発酵を上手にコントロールし、1つの食文化に仕上げたものです。

こちらの看板に歴史が詳しく書いてありました。


ホンオとは
「ナジュ人たちは主にホンオ(ガンギエイ)を楽しんで食べる」と記されている。

黒山島(흑산도)の住民たちは外勢の侵略や厳しい環境を避けて、内陸部であるナジュの谷やヨンサン港に移住し生活しながら、黒山島の漁民たちがホンオを漁獲し、内陸部に搬入する中間拠点がヨンサン港となり、商人たちがホンオ流通の中心的な役割を果たした。

こうして黒山島で捕れたホンオは、主にモクポ(木浦)、クァンジュ(光州)、ナジュ(羅州)、ヨンサン港で消費された。

南部料理の象徴として発展した今日、清浄な海域で生息する黒山島のホンオは、肉質がもちもちして柔らかく、昔からタンを分解する優れた効能があり、アルカリ性食品として、体力増強、気管支炎、血液循環、神経痛、関節炎などに特に消化機能の改善に優れた効能があると伝えられている。

興味深いことに、ホンオの雄は性器が2つあり、海の「ロイヤル・チョイス」級と評価される魚類である。

韓国では冠婚葬祭の時に出されるものらしく、日常的に食べられるものではないのだそう。実際、釜山でホンオフェを食べられると聞いてやってきましたが、釜山市内ですら、ホンオフェで検索しても3〜4店舗ぐらいお店があるのみです。

そもそも日本語でホンオフェと検索しても出てこず、ハングルで直接入力して調べます。

ホンオフェ(ガンギエイの刺身)(홍어회)

홍어회の部分をGoogleMapにコピペして検索し、その中でも一番評判の良さそうなお店にレッツゴー!!!

■世界最大の観光海鮮市場チャガルチ
お店は釜山の有名な海鮮市場チャガルチ市場の近くにあったので、まずは海鮮市場訪問しました。

初めて入ったチャガルチ市場ですが、まぁものすごいこと!!!
高級な海鮮がこれでもかと山盛りにされていました。

タラバガニに、ワタリガニに、アワビに、ホタテに、ハマグリに、ハマチに、カレイに


ユムシも!


こんなに高級海鮮食材が集まってる場所は、世界でもここだけなんじゃなかろうかと思います。


チャガルチ市場は素晴らしかったのですが、とりあえず今日の本当の目的地ではないので後ろ髪を引かれる思いで市場を出て。ホンオフェ店に向かいます。

■ホンオフェ店は街の中に
街の中をてくてく歩いて〜〜 2、30分ぐらい歩いて〜〜


ホンオフェ店に到着しました!!


本当にここかな? エイのポスターが貼ってあるから間違いなくここでしょ!!


ということで勇気をふるって中に入ります。お店に入ったら、異臭ともいい切れない独特の匂いがします。

ホンオフェの匂いなのかな?どうなのかな?

お店の中はきれいです。普通の居酒屋です。


そしてこちらがメニューなのですが。。。読めないですね。


ホンオフェをくださいと言ったら、この5万ウォンのやつでいい?と言われたのでこちらがそうなのでしょう。

ホンオフェ高い!!!
6000円か!!! 結構なお値段だな〜!!

とは言うもののここでしか食べる機会はないので、勇気を出して財布を空にする勢いで食べてみます!!!

まずは机の上に副菜が並べられ。副菜は古漬けみたいなキムチと、カクテキ。アサリかなんかの小さい貝の煮物。それからおいしい昆布の煮物ともやし。

そして5分ぐらいしてからホンオフェが出てきました!!


ホンオフェは微妙な赤もしくはピンク色の美しい魚肉に見えます。魚肉の真ん中には軟骨が入ってるようです。テーブルに出てきた瞬間から、ものすごい匂いがするのかと思っていたのですが、そう言う訳ではありませんでした。

早速、ホンオフェを食べてみます。ホンオフェを口の中に入れた瞬間はそんなに臭くないのですが、噛み進めるうちに、どんどんアンモニア臭が膨らんできます。

口に入れて咀嚼すると、最初はそんなにアンモニア臭を感じないのですが、徐々にどんどんアンモニア臭が増してきます。口の中では微発泡してるような状態になり、アンモニアと唾液が化学反応を起こして、温かみを感じてきます。

ウマいと感じられるかどうか別としても、強烈な旨味がその中にあるのを感じます

匂いと旨味って、違うようでいて同じですよね。
これだけ匂いが強いと、美味しいと感じるのでしょうか


口の中から鼻にかけて、強烈なアンモニア臭が立ち上がります。アンモニア臭というと、トイレのおしっこ臭を思い浮かべがちですが、それとは違うシャープなアンモニア臭が鼻の鼻腔を通り越します。アンモニア臭の中には酸味も含まれていて、非常に複雑な味が、一つのエイの刺身の中に入っている、本当に特別な食べ物なのでした。

ホンオフェを食べると、口の中に刺激があるのですが、その刺激がアルコールと似てるような感じもします。ホンオフェを食べると酔っ払うような気もしてきます。

韓国では、主菜を頼むと、副菜がたくさん出てきます。この副菜はおかわり自由。正直、ホンオフェよりも、副菜の方が美味しいかな。


でも人類の食の文化遺産であるホンオフェですからね。
5000円もしたし、最後まで完食しました!!


慣れないアンモニア臭ですし、最初は恐る恐る食べていたのですが。食べ進めていくうちに、これはこれで、一つの完成された食文化なのだなと納得するのでした。

慣れてくると、美味しく感じるんだろうなと思うのです。

子供の頃、美味しくなかったビールが美味しくなったり。
飲み慣れるうちにワインの味がわかるようになったりするものですが。
味覚って成長させるものだと思うのですが。

ホンオフェも、またそれと同じような種類の食べ物なのでしょうか。正直まずいか、うまいかと言われると、コメントはしづらいのですが。中毒性があるかないかと言ったら、間違いなくあると思います。

ホンオフェのこの味は、世界広しと言えどもホンオフェしかない!!と断言できるよ


そして26年前のホンオフェが正しい味だったかどうかというと、実は完全な間違いでした。

26年前のやつは臭くなりすぎて人間の歯が立つようなものではありませんでしたもの。

あれは単純に腐っていたんだなぁ…。それか必要以上にアンモニアが多くなりすぎたんだな


今回食べたホンオフェは予想に反してマイルドなアンモニア臭で、これは一つのグルメだなという定義に落ち着くようなものでした。安心したような、残念なような気分なのでありました。。

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