インドの国民的キャラクターは神様。 なのに日用品には使わない不思議


■インド人は宗教が大好き!
日本人は宗教にあんまり関心がありませんが、インド人は宗教が大好きです。

語弊を恐れず言えば、彼らは朝から晩まで彼らは宗教のことを考えています。

朝と晩は必ず自分の家の祭壇にお祈りをし、何かあるとすぐにお寺にお参りに行きます。毎日お参りに行くと決めている人々も多く、特に、朝は敬虔な人々で寺院は賑わいます。

こんなきれいな寺院が、インドのあちこちにあって、人々が盛んにお参りしています。

特定の日には断食をし、数多くの宗教に基づいたお祭りの日があり、食べられるものや食べられないものが宗教によって決められ、生活のありとあらゆることが宗教によって日々の習慣として定められています。

ヒンドゥー教、ジャイナ教、シーク教、ゾロアスター教、イスラム教、仏教、キリスト教など、インドにはいろいろな宗教がありますが、どの宗教の方々も、みんな揃って、とても敬虔な信者であったりします。

「インドは宗教国家であると言ってもいいの?」と何人かのインド人に聞いたところ、「間違いなくそうだね」と1ミリの疑いもなく答えが返ってきたのは、とても印象的なインド体験でした。
■インドの神様は覚えやすい!
さてそんな中で、彼らの信仰の対象となるものはもちろん神様なのでありますが。

ヒンドゥー教の神々は特にカラフルでわかりやすいなと思うのです。

世界を破壊するシヴァ神はヒマラヤにいる行者の姿をしていて。


ガネーシャは象の頭をしています。


ラクシュミーは両手に蓮の花を持ってお金を出していて。


クリシュナ神は笛を吹いている美男子だったり。


愛らしい赤ちゃんとして描かれています。


オリッサの神さまジャガンナートはこんなに可愛くて。


どの神様も、とってもキャラクターが立っています。

そしてガネーシャの首が象なのは、シバが怒って頭を跳ねてしまったからだなどという興味深いストーリーもついていたりして。ヒンドゥー教徒ではない僕らでも、そして全くインドに興味がない人でも、ガネーシャのことは知っているぐらいです。

■インドの神様はよくできたキャラクター戦略だ
そんなインドの神様のことをよくよく考えてみると。これは凄まじくよくできたキャラクター戦略だなと思わざるを得ないのです。
もちろん古来の人達が現代的なキャラクター戦略のことを考えていたわけではないと思いますが。

興味深い物語に裏打ちされたキャラクター毎の個性、わかりやすいビジュアル、これはヒットするキャラクター戦略そのままではないか!!!と思ったりするのです。

キャラクターを可愛くしたり
覚えやすくしたり
愛着が持てるように動物の要素を入れたり
美男子の神様を登場させたり


キャラクターが好き=その宗教が好きという形に自動的にさせてしまうのではないか。

若い美男子を登場させて奥様達の心を鷲掴み!
動物キャラであるガネーシャを登場させて、子供への訴求もバッチリ!
赤ちゃんを登場させて、お孫さんが欲しい高齢者へもアピール!とかね。

もちろん古来の人たちがそんなことを思ってるとは思いませんが。

結果的にそうなっているよな〜〜って。
ヒンドゥー教の神々はそういった側面があるよな~~~って。

しみじみと思うのです。

■神様デザインの商品が欲しいと思っていた
ということで、ご多分に漏れず、ティラキタ買付班も神様が大好きだったりします。

神様が描いてある商品だったら、何でも買い付けしたくなっていた時期がありました。

正直な話をすると、インドでの買付を始めた当初、神様グッズを求めて、ずっと探し回っていたんです。

確かに神様グッズはたくさんありました。
でもそれは、神様グッズは神様グッズなのでした。

シバのポスターやステッカーとか、ガネーシャの壁掛けとか、純粋に宗教用品ばかりだったんです。

僕らが欲しいのはそういうのじゃなくて。

神様が描いてある時計とか。
シバのペンケースとか。
クリシュナの下敷きとか。
神様人形とか。

いわゆる日本のキャラクター戦略で作られている様な商品が欲しかったのです。サンリオが作ってるキティちゃんグッズみたいのが欲しかった!!

でもそういうものは、インドには、ほぼありませんでした。あったのは、神様をプリントしたベッドカバーとかで、バリエーションが本当に少なくて。

シバのペンケースとか、クリシュナの下敷きとかはなかったのです。

日本人の僕らとしては、日常的に使える神様アイテムが欲しいのにな〜〜と思って、ずっと探して、取引先に何回も聞いたんですが。

あのね。神様は普段使う商品には印刷しないのよ。神様は神様なのよ。


何回も言われてしぶしぶ納得した経緯があるのでした。

神様はよくできた古来からのキャラクターではあるけれども、一般の商品に付けることはできない。

そういうもんだなと理解するしかなかったのです。

■神様をパッケージに付けて炎上
そんな折、インドのNestleがキットカットのパッケージにジャガンナート神を印刷したのが不謹慎だと、炎上したというニュースが入ってきました。


ジャガンナート神を描いたパッケージのキットカット、炎上して回収へ
Kitkat Packs With Lord Jagannath Pics Withdrawn: Nestle After Backlash


ジャガンナートというのは見た目がとても可愛いオリッサ州の神様なのですが、その可愛さから、ついつい、パッケージデザインに入れたくなっちゃったんでしょうね。

ネスレの説明によれば、「これはお土産用のトラベルパッケージで、オリッサ州の文化を伝えるためにデザインしたのだ」とのこと。確かに、インドの各地域の風習と神様は切り離せず、オリッサ州を紹介しようと思ったら、どうしてもジャガンナート神が出てきてしまうのはよくわかります。

きっと、すぐに捨てられるような、外側のパッケージに印刷するのは、完全にアウトなんでしょうね。

ツイートでは「ネスレはこの犯罪で裁かれるべきである」みたいな事も書かれていて、インド人たちのヒンドゥ至上主義的な考え方をよく現しているなとも思います。政教分離の民主主義国家なのを完全に忘れった意見が堂々と発言され、まかり通る側面も、インドの一面であるよなぁと思うのです。




とは言うものの、インドからやって来た商品の中には神様を印刷したマサラバッグがありますが、これは問題ない商品としてインドで売られていたりします。伝統的な商品としてインド人に愛されていたりします。



基本的ラインとして、神様は商品に使えないとしても。
果たしてどこらへんまでは大目に見て許されて、どこらへんからがダメなのか。

その辺の温度感は僕ら外人には分からなくて。
きっと、インド人も明確には説明できないのでしょう。

以前、シバの絵をインドで開催したパーティーのフライヤーに使おうと思ったところ、インド人から散々警告を受けて、フライヤー自体を描き直した事もありましたっけ。

もちろん聞くインド人によっても異なるでしょうが、この判断基準というものは、インド人たちが日々の肌感覚として持っているものなのかなと思ったりするのです。
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