インドの場末の酒場で おっさんの椰子酒を飲む



今回は南インド、ケララ州でおっちゃん手作りの椰子酒を飲む話です。話の舞台はこちら、広いインドの南の端っこのほうですね。



■ケララはココナッツの国
ケララはココナッツの国です。ケララ州と、タミル・ナードゥ州を区切る東ガーツ山脈を列車が超えると、ココナッツの木が増え、緑の濃さが増し、植生が豊かになるのを感じます。田んぼが出現し、田んぼには水が満ちています。豊かな土地にやってきたのだなと思うのです。



ケララという州の名前は、マラヤラム語でココナッツを意味するKera(ケラ)、そして土地を意味するAlam(アラム)からやってきています。ケラ・アラム=ケララですから、まさしくケララはココナッツの生える土地なのです。

文字通り、ケララはまさにココナッツの国だなぁ…。見渡す限りココナッツだ!

ケララではココナッツは様々な形で活用されています。ケララで使われるクッキングオイルは、基本的にココナッツオイルです。ココナッツオイルを使うと、どれもカラリと揚がって美味しいのです。

また、ケララで販売されて使われているヘアオイルは、ほぼ全部ココナッツオイルです。ココナッツオイルは髪の毛に優しいのと、甘くいい香りがするので、ヘアオイルと言ったらココナッツオイルで決まりです。残念なことに、日本に持ってくると全部寒さで固まってしまうのですが…。

オイルだけでなく、ココナッツの繊維をフロアマットにしたり、編んで縄にしたり。ココナッツの汁を煮詰めてココナッツシュガーにしたりと、ココナッツは余す所なく存分に活用されています。

ココナッツオイルで揚げたバナナチップスは極上の味だよ



■ココナッツを発酵させた醸造酒 Todi(トディー)


そしてケララにはTodi(トディー)と呼ばれる、ココナッツを発酵させた醸造酒があります。各地にあるトディショップで飲むことができます。

トディーはいわゆるサル酒とかヤシ酒と呼ばれる種類のお酒で、ココナッツの汁をそのまま置いておくと、中に含まれている乳酸菌で自然発酵してお酒に変っていきます。

お酒を醸すとか、醸造すると言うよりかは、勝手に出来上がるお酒です。勝手に出来上がるので、猿でもできる、猿が飲むという意味合いでサル酒と呼ばれるようになったのでしょう。

ケララでは、トディはこのような、ちっぽけな場末のトディーショップで作って売られています。広く流通に乗るものではありません。完全に地産地消のアルコールで、いわば、おばあちゃんのどぶろくみたいなものです。



一見さんが入るのは、なかなかハードルが高い感じですが、えい!と気持ちを定めて入ってみました。

こんにちはーー。トディ飲ませてください。

お客さん、誰もいないのかな…不安だな…
しかもだいぶ薄汚れている…




マラヤラム語しかできないおじちゃんが、一生懸命、

കള്ള് ഉണ്ട്. ഞാൻ നിങ്ങൾക്ക് കുറച്ച് ലഘുഭക്ഷണം നൽകാം, പക്ഷേ നിങ്ങൾക്ക് എന്തെങ്കിലും കഴിക്കാൻ ആഗ്രഹമുണ്ടോ?(トディあるよ。つまみも出せるけど、なにか食べるかい?)

と伝えてくれましたので、まずは席につくことにしました。

トディーは、大きなプラスチックバケツの中に入っていて、お客さんに提供する時に茶こしで濾して提供してくれます。お値段はハーフボトル350mlで75ルピー(130円)、フルボトル700mlで150ルピー(280円)。





ビールよりはちょっと安いけど、まあまあのお値段だな。税金が入っているのかな。


■Todi(トディー)ショップの酒のアテ
トディーショップではお酒のアテに、2~3個の料理を出してくれます。

こちらはビーフカレー。スパイスがたっぷり使われています。黒胡椒とカレーリーフ、そしてオニオンが主体で作られているこっくりとしたお味です。酒のアテとして作られているので、だいぶ強めの味でした。



こちらはカパと呼ばれる料理です。白いのはタロイモかな? タロイモは世界で食べられている基本食材ですが、タロイモをこのようにして食べるのは、インドでは初めて見ました。



酒のアテの味って万国共通だな。酒が進むようになってる。 しかし辛い!!


窓ガラスが入っていない窓の外にはココナッツが茂り、誰も居ない文字通り場末の酒場。雰囲気はバッチリです。


■トディはウマい
そして、トディを飲んでみました。インドでは何十回もお腹を壊して大変な目に遭っているのでおっかなびっくりです。


お世辞にも清潔とは言えないこのボトルから飲むのはちょっと勇気いるなぁ。
アルコール発酵しているから雑菌はいない!と信じて、さぁ飲むぞ!!


と意を決して飲み始めました!!

お!? これはウマい!!
割とイケるな!!

手作りのお酒ですので、多少の雑味があったり、微妙な腐敗臭があったりしますが、それを差し引いて美味しいと思えるお味でした。
火入れされていず、まだ発酵していて、ビンの中でもプチプチと泡が立っています。アルコール数は3~5%ぐらいでしょうか。軽い酸味に、酵母の香りとフルーティーさが混じっています。ライトで軽く、非常に飲みやすい口当たりのお酒でした。

インドで飲んだお酒の中では美味しい部類かも!
インドのビールはストロングばかりで美味しくないもんなぁ…



こんな感じのキッチンで作っているので、アルコール発酵の時に、他の雑菌が繁殖すると思うのですが、意外とピュアに発酵しているのが驚きでした。

ココナッツの中の酵母菌が強いのかな?

■万国共通の酒場のノリ
お店のおっちゃんが横でずっと見てくれる中で飲んでいたら、地元のお客さんがやってきて昼間から酒盛りを始めました!!



そして見たこともない外国人がいるので、色々質問攻めにされます。

നീ എവിടെ നിന്ന് വരുന്നു?

何言ってるか、分からないよ! こう言うときはGoogle翻訳だな…


という事でスマホを取り出して、Google翻訳です。完全には程遠いですが、なんとか意思が通じます。

お前どこから来た? 何人だ? 結婚はしてるのか?

といろいろと質問攻めにされます。

適当にお話して、帰ろうとしたら、

もっと俺達と話してけ!

これからいい所なのに、なんで今から帰るんだ!

と、みんな引き止めてくれました! こんなノリ、世界のどこの酒場でも一緒ですね。

いやいや 俺帰るし!!!
そもそも、お前たち、言葉通じないじゃん!!!



電気もない、薄暗いケララの山奥で飲むトディーは、ここでしか味わえない極上のお味でした。

そして、ほろ酔いになりながら、てくてくと山道を下っていきましたとさ。
ごちそうさまでした♪

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