南の島で独自の進化を遂げた不思議なフィリピン乗り物コレクション
■フィリピンはいいところ♪
今回はインド、東南アジアから場所を変えて、海のアジアであるフィリピンの話題をお届けします。ニュースで聞くフィリピンってば、マニラのスモーキーマウンテンとか、スラム街とか、日本人が殺されたとか、そう言う話題ばっかりで、マッドマックスの映画の世界なのかしら…なんて思いながらの訪問でしたが。
初めて来たフィリピンは、とってもいい所でした。
来る前と来た後と、印象が大きく変わりました。
フィリピンは島国で。
離島ばっかりで。
ゆっくりしてて。
全体的に田舎で。
沖縄の離島が集まって国になったところって言う印象です。来る前に持っていた、危ないところ、スラム、犯罪が多い等のイメージは微塵も感じません。まぁ行く所に行けばそうなんだろうけど、それは都会の一部地域の話なのでしょうね。
フィリピンは全体的にみんな優しくて、親切で、ご飯も美味しくて、とてもいい所でした。
■独自発展した乗り物の国
フィリピンには他の国にはない独自の乗り物がいくつかあります。いちばん有名なのは、街でよく見かけるジプニーでしょうか。ジプニーは街で簡単に乗ったり降りたりすることのできるローカルバスなのですが、このデコレーションが面白いのです。
ジプニーは基本的に個人所有で、オーナーのおじちゃんたちがお金をかけて改造しまくり、それぞれのデコレーションの美しさを競い合っています。
この辺の感覚はパキスタンのデコレーショントラックや、バングラデシュのサイクルリクシャ、そして日本のデコトラと一緒ですね。
男の子ってば、なんで自分の乗り物をギンギラにデコレーションしたくなるのでしょうか。そういう習性なんでしょうかね。
ジプニーのボディの横には、大きく行き先が書いてあるので、ひょいと乗ってひょいと降りることができます。ジプニーはみんなの毎日の楽しい足。ギンギラギンのボディではありますが、通勤に通学にそして買い物にと、みんな気軽に乗っては毎日を楽しんでいます。
■サイドカーを魔改造した不思議な乗り物
セブ島からフェリーを2時間乗って到着したところにあるボホール島には、他の国では見たことのない不思議な乗り物がありました。ボディにはナンバーが大きくペイントされ、まるでレースカーのようです。よくよく見てみると、それはオートバイにサイドカーをつけその上に屋根をくっつけた乗り物でした。
これ、フィリピンの工房で一個一個手で作られているんだろうなぁ…と思われる仕上がり。道路交通法の規制が厳しい日本では決して走れない乗りのだとは思いますが、これはこれで自由でヨシ!
そういえば、オートリクシャもたくさんいましたっけ。オートリクシャ、構造が簡単で壊れづらく、燃費が良くて良いのでしょうね。オートリクシャは全般的にインドよりもきれいでした。インドにいると何でも埃っぽくなるのはなんでかなぁ…
■フィリピンの伝統的な船 バンカーボート
そしてフィリピンの伝統的な船も、また海のアジアならではの不思議な進化を遂げていました。フィリピンの伝統的な船バンカボートは昔から作られ、使われている船の形で、船体が細長く、左右に大きく腕を伸ばしたいわゆるカタマラン型をしています。
外洋でも安定し、できるだけ少ないエネルギーで動くことを追求した結果の形なのでしょう。両側に大きく腕を伸ばしていたら左右には揺れませんし、船体は細ければ細いほど水の抵抗を受けませんもんね。
海洋政策研究所のレポートによれば
船体はベニヤ板を、その他の材料は、椰子の木、竹、その他の木材、漁網用のナイロン糸等を使う。いわば身の回りで幾らでも手に入る格安の材料を使って建造し、古くなれば材料を取り替えれば良いという非常に安価な船舶。漁業をやっていても初期復原性が大きく、揺れにくいために安定して網を上げ下ろしでき、魚の選別も、網や漁労器具等の格納も、アウトリガーの上に渡した腕板の間に板を敷き甲板としてその上で行える。
大きな波には大きく浮力が増し、小さな波には浮力は若干増加するということになるため、実に柔らかく波に突っ込まないように船が航走するのである。ちょうど飛行機の上半角のように自動的に波に追従して船が安定して走る。そしてもう一つ、ビームが木製や竹製で作ってあり主船体とロープで固縛され、波の圧力(浮力)に対して適当にたわみながら復原力を保つため、船の揺れが吸収され乗り心地が良いのである。
大きな波には大きく浮力が増し、小さな波には浮力は若干増加するということになるため、実に柔らかく波に突っ込まないように船が航走するのである。ちょうど飛行機の上半角のように自動的に波に追従して船が安定して走る。そしてもう一つ、ビームが木製や竹製で作ってあり主船体とロープで固縛され、波の圧力(浮力)に対して適当にたわみながら復原力を保つため、船の揺れが吸収され乗り心地が良いのである。
とっても効率的でよくできた船ではありますが、他の地域ではあまり見かけない船でもあります。実際に乗ってみましたが、左右に大きく腕を張っていることから、中のデッキもそれなりの大きさが取れ、そして安定していています。
なぜこの船が、他の地域に存在しないんだろう?と不思議に思うほどです
とはいうもののあまりにも左右に腕を伸ばしているので船の形が大きくなりすぎて停泊する時にはやっぱり邪魔っけ! だからかな?なんて思ったり
広い海の中で孤立した島国フィリピンは、乗り物1つ、そして船1つとっても、独自の進化があって面白いのでした。
残念なことに、ティラキタで紹介できそうな雑貨はフィリピンにはあまりなく、なかなか口実を付けて訪問しづらいのではありますが、島ごとに個性がある国と考えると、フィリピンってば、面白いところだなぁ…何回でもスルメのように訪問できる国だなぁとしみじみと思うのです。