濃密な神性の漂う霊峰。フィリピン・キタングラッドを彷徨う

■目指すはフィリピン最高峰♪
世界を股にかけ、いろんな知らないことを探索し続けるティラキタ買付班、まだまだ好奇心は終わりません!

今回はフィリピンミンダナオ島に山に登りにやってきました!!!
基本的に高いところが好きなので、目指すは最高峰です!!

今回の話の舞台は、地図ではこちらになります。

■最高峰は自然を守るための休山期間だった
皆さんフィリピンの最高峰って知ってます?

日本の最高峰は富士山じゃないですか、ネパールの最高峰はエベレストで…
でもフィリピンの最高峰ってば、誰も知らないですよね…

ミンダナオ島にアポ山という火山があって、そちらがフィリピンの最高峰だそうです。

アポ山に行こう!ということでフライトチケットを取って旅行の予定を立て始めてみたら…なんと旅行した8月はアポ山は山の自然を守るための休山期間ということで立ち入り禁止

アポ山には登れないのかぁ…自然を守るためだから仕方ないか
他に登れる素敵な山はないものか?
せっかく南国の山に登るんだから熱帯雨林の中を登ってみたい!


といろいろリサーチし、ターゲットをミンダナオ島の真ん中にある、キタングラッド山に定めました。キタングラッド山はフィリピンNo.4のお山だそうです。



■日本と大きく違うフィリピンの登山スタイル
フィリピンの登山は日本と大きく違います。日本はどこの山でも登り放題で、登山道は整備されていて、ちゃんと看板もあって、何ならGPSで全部ガイドしてくれて。思い立っての登山ができますが、フィリピンで登山はお手軽なのものではありませんでした。

フィリピンには数多くの先住民族たちが住んでいますが、その先住民族たちの許可を得ないと登山ができません。先住民族に許可をもらい、儀式を経て登ります。

日本でも、富士山をはじめとする多くの山は信仰の対象で、修験道の舞台でもありましたから、土地は違えど大いなるものに対する敬意は一緒なのかもしれません。

登山があまり一般的でないのと、自然保護の観点から、特定の山は許可とガイドが必要です。現地ガイドが道案内してくれますので地図は持ちません。現地の雇用を生む観点から、ガイドの同行がほぼ必須になっています。

日本の登山スタイルと大きく違う登山スタイルなので、まずそれを理解して行動し始めます。



■登山許可を求めて
いざ、キタングラッド山に登ろう!と思った時、まず必要なのは入域許可。

どこに行ったら入域許可がもらえるんだろう??


まずはマライバライ市の観光局に訪問してみます。

すいません。キタングラッド山に登りたいんですけど…

あーそれはここじゃないわ。
それは州の管轄なのでブキノドン州の観光局に行ってね!


ということで州の観光局に行ってみたら、そこはなぜか工事中。工事の人に別の場所だよと言われ行ってみます。ちなみにミンダナオ島の乗り物、こんな感じでとっても可愛いですよ。


5分ほど走ってブキノドン州の観光局に到着しました。


キタングラッド山ね。それはうちの管轄ではないわ。
プロテクテッド・エリア・マネジメント・オフィス(PAMO)に行ってね


最終的にたどり着いたのがこちらです。キタングラッド山の名前が書いてありますので、間違いなくここでしょう! フィリピンは縦割り官僚社会だと聞いたことがありますが、このたらい回しされる感じ、まさしく!でした。



■1日15人しか登れない
ということで建物の中に入り、色々なことを聞いてみます。

こんにちはー。日本からやってきました! キタングラッド山に登りたいんですが。

日本から? ようこそ、ようこそ。
キタングラッド山に登るには、ガイドが必要で、3人の認定ガイドがいるからその人に連絡してね♪♪

ねえねえ。あの。
今、Webで見つけた人に連絡取ってるんだけど、この人のこと知ってます?

いや知らないわ。私たちが認定してるのは3人だけよ。
そうそれでね。キタングラッド山は、自然保護の観点から、1日15人しか登れないの。

毎日15人はいつも埋まってるんですか?

いやそうでもないけど、でも週末は必ず埋まっちゃうわね


そしてプロテクテッド・エリア・マネジメント・オフィス(PAMO)から教えてもらった人たちに連絡を取り始めます。3人いるのだけど…これが全然連絡がつきません。やっとこ連絡がついたERICさんも、常に山に登っているらしく、あまり連絡をくれません。

3人の中のエリックさんに頑張って連絡し、調整ができて、やっとこ登れることになりました。

フィリピンの登山、ハードル高いなぁ…
山に登るのに許可は必要だし、ガイドといっしょに登らないとだし、ガイドは3人しかいないし


■山麓の先住民族の家に移動
ミンダナオ島では必ず昼過ぎになると雨が降ってくるのですが、待ち合わせの日もやはり雨。ガイドのエリックさん、雨の中をバイクでやってきました。マライバライ市から30分ほど走って、今日の宿になるベースキャンプ先住民族の方の家に到着。

家はコンクリートブロックと竹、そしてトタンで作った家で、まるで先日訪問した国立民族学博物館の展示の中にいるかのようです。


民博が先か、現地が先かっていったらもちろん現地だけど。
博物館の中にあったものがそのままある感じがなんか嬉しい!


キッチンでは裸火が焚かれ、夜は鶏が家の中に入れられ、動物と人間が同居しています。鶏がキッチンの下でウロウロしていています。



こちらがキッチン。シンクはあるのですが水は来ていず、いちいち水をコップで汲んで使います。竹のお手製の食器棚には、コップなどがかけられ、とても可愛く仕上がっています。



■朝の5時から登山の儀式
朝の5時に、儀式を始めるよと言われて起床。まだ周辺は暗く、空の真ん中には朧月が出ていました。机の上にあったのはタバコ3本とろうそく。そして一人一枚のコインを出せと言われました。先住民族の帽子をかぶった男性2人が祈りを唱え始め、鶏が生贄として捧げられます。



登山するたびに生贄を捧げるのか…


手慣れた手付きで首の頚椎を折り、鳥が暴れないように、しっかりと身体を持ってから頸動脈を切り、地面に血をしたたらせます。


そして各人、血の上を歩くようにと言われます。


その後、もう一羽の鳥がまた生贄に捧げられ、鶏の血が皿の上に集められ、コインの上に血をつけていきます。ほどなくして儀式は終了。これで晴れてキタングラッド山に登れるかと思いきや…



■政府の方から規約の説明
次は政府の方から規約の説明がありました。

キタングラッド山は、1994年に保護地域として制定され、1日15人しか登れないなど、厳しく入域が管理されているのだ。
みんなちゃんとルールを守って登るんだぞ


山でマナーを守るのは、当然のことではありますが、自然の中でのアクティビティがあまり盛んではないフィリピンでは、まだまだ全て言う必要があるのでしょう。

聖なる場所(水源地)でおしっこをしないようにとか。石や草花を折らないようにとか。木に名前を刻むなとか。あたり前のことですね。

先ほど生贄に捧げられた鶏たちが調理され、儀式の最後の締めが始まりました。各々、鶏の一部をつまみ、そして先ほどのコインの上に血を垂らしたものを1個ずつお守りとして渡されます。



■そして登山開始!!
みんなで鳥は美味しくいただいて、そして出発!!
さて行くぞキタングラッド山!!!


朝の4時に起きたのに、儀式やら朝ごはんやらで結局、出発は8時頃。

ミンダナオ島はお昼過ぎになると必ず雨が降って来ます。南の海に囲まれた島では、昼になると大地が暖められるとともに水蒸気が発生し、雲になりスコールがやってきます。西から東に偏西風に乗って天気がやってくる日本とは気候が大きく異なり、一日の中で水蒸気循環が行われています

雨が昼過ぎに来るのはわかっているので、雨を避けるために早朝出発するのだろうなぁ思っていたのだけど。結局、出発はゆっくり。ちょっと雲が多くなって来てからの出発でした。

■素晴らしい熱帯雨林!!
標高1800m付近から登り初め、山頂が2900mなので、ちょうど1100mの登りです。

一日の行程としては、ちょうどいい感じだね♪♪


登り初めると、そこには深い深い森がありました。


原初の森でもあり、恐竜が出そうな森でもあり。


とにかく森が深く、緑はとてつもなく濃く、森林層は複雑で、樹木には寄生植物がこれでもかとへばりついて。昼なお暗い森を形作っています。





■現地の歩荷さんがやってきた
歩いていたら、何人か現地の歩荷さんがやってきました。キタングラッド山の山頂には、大きなアンテナがあり、電波を中継するのに電力が必要なのだそう。



そのためのディーゼル燃料を運んでいるのだそうです。歩荷さんの中にはなんと裸足の方もいて…ただただびっくり!

■豪雨がやってきた
お昼頃…やっぱり豪雨がやってきました。まぁ、熱帯雨林ですからね。雨林ですもんね。常に雨が降っているのが当たり前って事ですもんね。


お昼前に登頂するようにしたらいいのにな


と思いつつ。雨が降ってくるのはここでは当たり前で、それよりも儀式の方が大切なんだなって思ったり。

目の前には日本では体感したことのないじっとりとした森が広がっています。


苔むしたという言葉では足りない。苔は樹木を覆い尽くし、樹木なのか、苔なのかもはやわからない、渾然一体とした植物になり。

樹木は倒れ、その上にまた新しい生命が芽吹き、苔で覆われ、ただ朽ちていくのではなく。他者の養分として土に戻ってゆく美しい森です。

なぜ人間は森の中で腐ってはいけないのだろうか…


ただただ、そこには深い緑と、苔と、水と、水蒸気と、水滴と、全てが渾然一体となって、全体を形作っている


南国、ミンダナオ島のど真ん中。標高2700m地点で豪雨に撃たれながら、地球の美しさと、死に方について思ったりしながら登っておりました。

そして登頂して、ガイドさんが夕飯を作ってくれました。山の中でこんな素晴らしいもの食べたの初めてかも…


■翌朝はやっぱり晴れ!!
そして翌朝。南の島の天気だけあって、昨日の昼から降り続いていた豪雨は嘘のように止んで。素晴らしい朝焼けが空を染めて。



晴天の中、無事に下山。


案内してくれたカイさん、本当にありがとうございました!!!
料理、どのレストランよりも美味しかったよ!!!


■予約方法とお値段
フィリピンでは登山が一般的でなく、自然保護局の許可を貰わないといけないので、日本のようには行きません。日本では、地図を持って、道標を見て登っていく感じですが、フィリピンでは、地図は持たず、ガイドとポーターを雇ってツアー形式で登ります。

こちらが、プロテクテッド・エリア・マネジメント・オフィス(PAMO)から教えてもらった人たちです。



そして僕らが、お世話になった料理上手のガイドさんはこちらのWildlife Adventuresのカイさん。ミンダナオ島の外の山も全部ガイド可能とのこと。ハミグイタン自然保護区、アポ山などもガイドできるからよろしくね!だそうですよ。電話はContact : 09491390486だそうです


ちなみに気になるお値段は、キタングラッド山、二泊三日、ご飯6食つきで5500php(13000円程度)でした。
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