食器を輸入しようと思ったら、インド人が働きにやってきそうになった話



■インド全土を歩いて商品を探します
ティラキタ買い付け班、インド全土を歩いて取り扱える商品を探しています。
旅行する前に「この辺に素敵なものがありそうだ」と当たりをつけて、実際に訪問します。

手織りのカッチショールを作る、ブジョーディ村のムケーシュさんちを訪問する話が一番の好例で、生産者の工房を一軒一軒まわって、実際に作っているところを見せてもらってから、商品を譲ってもらえたら最高です。

今回はオーロシカ社を訪問するついでになにかいいモノないかな…と思って、タミルナードゥ州のポンディシェリーをウロウロしていた時の話です。


■南インドの食器が欲しかったんだけど
ティラキタでは、インドの食器を数多く取り扱いしていますが、その多くは北インド用の食器たちでして、南インドで使われているような食器はまだ、ちゃんとした仕入先が見つかっていません。

実際の所、南インドでも、大半は北インド用の食器と同じものをみんな使っているのですが、やっぱり、地域性というか、南インドらしさっていうか、そう言うものってあるんですよね。

現在、ティラキタ買い付け班が探しているのはこちらのプラスチック製のバナナリーフプレート。これはプラスチック製なので、原材料に何が使われているかのMDS(マテリアルデーターシート)みたいなのが輸入に必要なので、メーカーからしか輸入できません。

実はプラスチック製の食器って輸入が割と難しいアイテムの一つに入ります。使用しているプラスチックの材料、配合比率、組成、そして人体への安全性まで全部文書を提出しないと輸入ができません。有害な食器が輸入されたら国民の健康に被害を及ぼすからというのが理由です。



あと、花崗岩で作られている平べったいスパイスグラインダー。これは、インド人が昔から使っている伝統的な調理用具なのですが、現代の大都会…デリーやムンバイでは手に入れることができません。



こちらはケララ州や、タミルナードゥ州で使っているのを見かける鉄製の黒いお鍋。ぷっくりとして重さがあって、可愛いのでぜひ欲しいんですよね。すぐサビてお客様から怒られそうなアイテムではありますが。

■巨大な食器のお店を発見した
探しているものは色々あれど、すぐに見つかるわけではありません。まずは街を歩いて探してみることにします。

ポンディシェリーの街をウロウロ歩いていたら…凄い大きな食器屋さんがありました!!!
ビル5階建てで、この中が全部食器で埋め尽くされています。


1階はこんな感じ。


2階もこんな感じ


3階も、4階も…


親切な警備員の方が丁寧に全部教えてくれます。ちなみに親切な警備員の方は1階にいたピンク丸の方。警備員の方、名刺を欲しがって来て、ついでにWhat's Appの連絡先まで聞いてきたんですけど、それはインドではよくあることなので、拒否せずに教えてあげました。

しかし、ポンディシェリーってそんなに大きな街ではないと思うのですが…。
どこにこんな食器の需要があるんだろ?って思うサイズ感のお店です。


■仕入れができないか聞いてみる
ダメ元でこのお店で仕入れができないか聞いてみることにしました。
店内をぐるっと見回した所、欲しい南インド系の食器が一通りあったので、ここで仕入れられたら楽だなぁ…と思ったんですよね。

「ねえ、これは幾ら? 卸だとどれくらいの掛率になるの?」と一つ一つ聞いていきます。もう長年この仕事をやっていますので、定価からの割引率を聞くと、そのお店の大体の仕入れルートと、ビジネス形態がわかります。



残念なことに、このお店は完全に小売専門のお店で、基本的に卸はやっていない様でした。彼らは「うちは卸もやっているし、海外にも輸出しているよ」と口では言いますが、お値段はそう言うお値段を提示してくれません。こういう店に聞いても、値段は下がらないし、卸元は絶対に教えてくれないので、頑張って交渉するだけ無駄なのです。

そのお店には1時間位居たでしょうか。
残念ながら、何も収穫ないまま、帰ることになりました。

■半月くらいしてからお店から連絡がやってきた
「Hello Brother happy afternoon iam Bosco from pondicherry」


半月くらいしてから、What's Appに連絡がやってきました。しかも丁寧に何回も電話までかけてくれています。ポンディシェリーのボスコさん…はて…ボスコさんって誰だろう?

「ボスコさん、俺はキミのことがわからないんだが…職業を教えてもらえないか?」と聞いたら、ボスコさん、食器屋さんの人でした。連絡をくれるってことは、なんかいい知らせかなぁ…と思って、会話を続けてみます。



もしかしたら、メーカーと連絡を取ってくれて、メーカーからの直輸入ルートが開けるかも!なんて思いながら返信します。

欲しいプラスチック製のお皿の写真を送り、製造元からのマテリアルデーターシートが必要なんだが…とか言ってみたりします。

「何枚欲しいんだ?」とのお返事。あまり期待せず、「このプレートについてなんだけど、1デザイン100枚づつ。パートナーが居るムンバイに送って欲しいんだ」と返事します。


ほどなくして、「お前のために製造メーカーを探している」との答えがやってきました。でも、なんか変です。お店でその商品を仕入れているんだから、仕入先にただ聞けばいいだけのはずです。なぜ特別に探す必要があるのでしょうか…



■なぜか労働VISAを欲しがってきた
そしてちょっと経った頃。また連絡がやってきました。
そろそろ、メーカーとつながった頃かな…と思ったら。

「俺に日本の労働VISAを出せないか?」と突然言ってきたのです。


ハァ????
あんなに大きなお店を持っているお店の店長がなぜ日本の労働VISAを欲しがるの?
なんでだ???


「どういう事? 日本で働きたいの?」と聞いたら、「Yes Brother!!!」


あーーー!!! わかった!!!!!!!!!!!!!
ボスコ!!! お前!!! 店長じゃなくって、こないだの警備員か!!!!
そう言うことか!!!!

ボスコ…タミル語しか話せない人が日本に来ても、一切いいことはないぞ。
ボスコ…日本で働くって大変なんだぞ。
ボスコ…でも、お前の目から見たら、きっと日本やヨーロッパ、米国は素敵なところに見えるんだろうな…でもな、正直、来てもいい事はないからやめとけ。

と思いますが、言っても伝わる気は全くしません。

もういい…俺が話したいのはお前じゃないんだよ~~~!!
という事でボスコからの連絡は無視することにしました。

でも、ボスコはめげずに毎日のようにハートとか、お花とかを今でも送ってきます。


お昼ごはんを食べたよ、とかも教えてくれます。
まるで付き合ってるみたいですが…彼なりの愛情表現なのかもしれません。


そして毎日毎日送ってこられるお花付きの素敵なメッセージ…


一昨日も。


もちろん昨日も、ボスコは諦めずにお花メッセージを送ってきました。


ボスコ、そろそろ、諦めてくれないかなぁ…
そして今日はまだメッセージ来てないなぁ…

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