インド人の薬剤師、効果のありそうな薬をフルコースで出してきた!! 人生初 一日50回トイレに行った日
目次
■緑色の便が出てくる!!
あの…俺、マジ、今辛いっす!!どうしたの???
昨日から体調悪くって、最初は便が柔らかかったんですけど、それが水下痢になって、今は緑色の水下痢が出てくるんです。
緑色の水下痢?? 本当に? 大丈夫???
大丈夫じゃないです。自分の体から緑色の便が出てくるのなんて初めてですよ。しかも俺、昨日、1日に50回もトイレに行きましたよ。人生新記録ですよ!!!
1日に50回もトイレ!!! それは新記録だね。おめでとう!!
おめでたくないですよ!! しかも、ケツの穴から重力でスルスルと出てくるから…俺、うんこ漏らしちゃいましたよ…マジ最悪です。
あはははwww それは災難だったねぇ。 熱はあるの?
熱も出てます。悪寒、嘔吐、腹痛、下痢、頭痛、発熱もあります。マジ辛いです。一個でも辛いのが、全部まとめてきた感じです。ヤバすぎます。
そうか…それは大変だね。そしたらインドの薬を買ってくるね。インドの薬、凶悪だと思うんだけど、それでもいい?
なんでもいいです。薬ください…
今回、インドの洗礼を受けたのは1年半前にティラキタに入社してきた鈴木くん。ティラキタには、新人は、必ず一回は海外買い付けに同行するというルールがあり、今回は鈴木くんと一緒にインドにやってきました。
鈴木くんはもともと、中央アジアを旅行していたり、キューバに行っていたりしていたハードコア旅行者なので、「きっと大丈夫!! インドの洗礼は受けないだろう…」と僕も彼も思っていたのですが…
実際に来てみると、数日デリーに滞在しただけで体調を崩し、緑色の水下痢に、悪寒、嘔吐、腹痛、頭痛、発熱というフルコースの苦しみを味わうことになってしまいました。
■初めてインドに行くとほぼ必ず体調を崩す
インドに行くのがはじめての人と一緒に買い付けに行くと、ほぼ必ずと言っていいほど体調を崩します。数年前はアメスピくんが体調を崩し、インドの列車の中でゲロしたり、4つの薬が混合された、とんでもない薬を飲まされる羽目になったりと散々な目に会いました。
現地でお世話になっているドグラさんには
いつもインドに来るお前以外の日本人、全員体調崩すよな。仕事でインドに来ても半分は寝てるよな。航空券の無駄なんじゃないか??
と言われる始末。返す言葉がありません。
■なにがいけなかったのか…
インドに来るとだいたい体調を崩すので、僕たちも口にする物には、相当気を使っています。基本的に火を通したもの以外は口にしませんし、食事前にはちゃんと石鹸で手を洗って食べます。飲む水はもちろんミネラルウォーターのみ。
正直、何が原因なのか全然わからないんです。
ティラキタの買い付けがちょっと過酷だからでしょうか…。
ティラキタの買い付けは、狭い市場の中とか、曲がりくねった路地の奥や、イスラム人街のど真ん中などの、インドの最深部まで行きますので、当然、普通の観光旅行よりも、衛生状態が悪いところに行きます。
そしてまた、取引先から「チャイはどうだ? 昼飯はどうだと?」と誘われ、なかなか断れない状況に陥ることもしばしば。
だからこそ、衛生面にはだいぶ気をつけて、病気にならないようにしているんですが…日本の生活になれきった僕たちの体は、やっぱりインドの病原菌に負けてしまうのです。
インドにいる菌は日本の菌とは違う。
インドにいる菌は日本の菌よりも凶悪である。
そう思って、もっと自衛が必要なのかもしれません。
とは言っても限界があるんですけどねぇ…
■薬局に行って薬を買ってきた
鈴木くんが体調を崩してから、一日ほど様子を見ていたのですが、全く体調が良くならず、完全にヤラれてしまい、ゾンビのような目をしているので、薬局に薬を買いに行きました。テクテクと薬局に歩いていき…
あのね、水下痢が出てて。それにプラスして、嘔吐、腹痛、下痢、頭痛、発熱があるんだけど、なんかいい薬おくれよ。
そうか…下痢にはこれ。腹痛にはこれだ。あと、全部に効くのがこれ。
と、4つの薬を出してくれました。お値段は4つの薬で合計400ルピー。600円ほどです。インドはほとんどの薬を自国で生産しているので、薬の値段は他の国に比べてとても安いのが特徴です。
早速宿に帰って袋を開けてみると…
まず、どの薬もやたらデカい!!!
日本ではお目にかかったことのない大きさで、飲むのが大変そうです。
そして見るからに危険そうな色をしています。
オレンジとか黄色とか、この色は薬の色じゃないよ!! 薬の色は白だよ!!
この薬なんて、中に変な色の小さなつぶつぶが入ってるよ!!
こんなの見たことないよ!!!
■飲んでもいいかどうか日本の薬剤師に聞いてみた
これをそのまま飲むのは怖いので、飲んでもいいかどうか、友人の薬剤師に写真を送って聞いてみることにしました。ねえねえ、あのね。
インドで薬を買ったんだけど、ちょっと見て欲しいんだよ。
いいわよ。どの薬?
えっと、まずこれ。Rabigo-DSRって書いてあって、有効成分はラベプラゾールとドンペリドンだね。
ラベプラゾールは胃酸分泌抑制薬ね。 胃潰瘍や十二指腸潰瘍、逆流性食道炎の治療に使うよ。日本だと1錠10mgだけど2倍の20mg入ってる。この量は難治性の胃潰瘍とか難治性食道炎を治すときの量よ。ドンペリドンは吐き気を抑える薬で、日本だと1錠10mgだけど3倍の30mg入ってるわよ。
2倍!! 3倍!!! そりゃあ薬が大きくなるわけだ…
それから、この悪そうな色のやつ。これは、ロペラミドとオフロキサシン、オルニダゾールって書いてあるけど。。
ロペラミドは下痢止めよ。下痢がすぐ止まるんだけど、日本では下痢を止めるのは良くないということで、最近はあまり使われないわね。これを処方してくるとおじいちゃん先生がいるなって思うのよ。
オフロキサシンは抗生物質ね。オルニダゾールは日本では発売されてなくて、アメーバ赤痢や、ランブル鞭毛虫などの感染症に使う抗生物質。
あと、このオンダンセトロンは??
オンダンセトロン? わたし内科だし、こんな薬触ったこともないよ。でも、抗がん剤の吐き気のとき使う薬だよ!!
そういえば、この薬はどこで買ったの?
街の薬局で、さらっと普通に買えたよ。
え!!! ホントに???? あり得ない…
ちなみにこれ一日何回飲むように言われたの?
一日二回だよ。
そりゃ大変だぁ…
今一度、薬局に行って出された薬をまとめると…
・胃酸分泌抑制薬ラベプラゾール 日本の処方の2倍分
・吐き気を抑える薬ドンペリドン 日本の処方の3倍分
・ピタリと下痢を止める薬ロペラミド
・アメーバ赤痢や、ランブル鞭毛虫などの感染症に使う抗生物質
・もう一個抗生物質オフロサキシン
・抗がん剤の吐き気のとき使う薬オンダンセトロン
これを一日2回飲めと言うのです。
インド人の薬剤師、効果のありそうな薬をフルコースで出してきたのでした。
■薬が簡単に買える国 インド
インドの薬局で薬を買うときは、基本的には日本と同じように薬の処方に医者の処方箋が必要なはずです。薬のパッケージにも処方箋なしでは購入できませんとちゃんと書いてありますが。でも、この国ではそんなルールがあってないようなもの。薬局に行けば、抗生物質から、麻薬に属するオピオイド系の薬まで、ほぼ、どんな薬でも簡単に購入することができます。
普通に考えると、すごい便利なようですが、薬同士の飲み合わせも管理できないでしょうし、通常量の数倍が入っているということは、副作用も強いでしょうし。
また、あまりにも安易に抗生物質が処方されることで、薬剤耐性菌ができ、結果としてその抗生物質が使えなくなります。薬剤耐性菌が多い国で、病気になったら…打つ手もなく死ぬのを待つしかなくなる可能性があります。インドだけでなく、ベトナムや中国でもこのような問題が発生していると聞きます。
ですから、薬が簡単に買えるのは全く良いことではないのですが、インドではそんなことよりも、目先の病気がすぐに良くなるほうが、みんな嬉しいんですよね。
インドは自由な国で、自由って凄くいいけど、自由すぎるのも問題だよなぁ…と、インドの薬を飲んであっという間に回復した鈴木くんを見ながら思うのでした。
いつも読ませてもらっています、今回はインドに初めて行くと発症するということで、仕事柄
薬品名も出て、興味津々で読みました。インドは凄い所ですね、いつかは行ってみたいと思ってます。
内容は衝撃的でした。
投稿、ありがとうございます。
インドに初めてと言うよりも、インドに身体が慣れるまでは、何回訪問しても下痢するんですよね。それが面倒なところです…
でも、ちゃんとしたレストランで食べて、観光だけだったらここまで体調を崩さないとは思います。下痢以外はすごく楽しいところですので、ぜひ一度、遊びに行ってみてくださいませ