まさに爆発的と言える起業熱! 起業し、投資し、成長し続けるインドの今

■起業したい人が多い国インド
インドでは、「自分の才覚で生きていきたい」と思う人達の多さに驚かされます。知り合う人の多くが、何かしら自分のビジネスを持っていたり、これからビジネスを始めようと言う夢を描いていたりします。インドでは自分の才能を全力で使って、自分の力で世の中を切り開こう、成功してやろうと言う気概を持つ人がとても多いと感じています。逆に、ティラキタ買付班のインド人の友人で、企業に務めていて、通勤してる人は本当に数えるほどしかいません。その少数の人達も、彼らの才能が一番生かせるから、その会社で働いているように見えるのです。私達の人脈が偏っていると言うことももちろんあるのでしょうが、それにしても、インドで自営業を営んでいる人たちの多さにはいつもびっくりさせられます。
インドの新聞Economic Timesによれば、インドにおけるスタートアップ企業数は、なんと世界第3位。IT関連のスタートアップだけで9300社もあり、一年間に1300社が増加しているとのことで、まさに爆発的とも言うべきスタートアップブームがインドで起こっていると言えます。
2016年にインターネット専用線が100万円! 日本よりもお金のかかるインドのスタートアップでも紹介しましたが、2020年になってもまだまだ、インドの起業シーンは激アツなのです。

ちなみにこのブログで紹介したヴィクラント君は、数年前にこのスタートアップをたたみ、現在はDJスクールの校長先生に収まっています。
一回起業に失敗しても、諦めずにまたすぐに次の会社を立ち上げ、成功させているその姿はたくましいとしか言いようがありません。
■インドがどんどんオシャレになる
インド全土を覆うスタートアップの波は、IT関連に限ったわけではありません。ティラキタ買付班が初めてインドに行ったのは1994年のことですが、その頃のインドと今を比べると完全に別の国かと思う変わりようです。国際的な債務不履行の寸前に至るまでだったインドが、1991年に改革開放路線にかじを切ったのを皮切りに、その後の30年間でインド社会は非常に大きく変わりました。
30年で大きく変わったとは言っても、まだまだインドは発展途上の国です。
発展途上だからこそ、色々なものが、大きく変わり続けています。
ムンバイの空港でこんな卵型のキオスクが出店していましたが、これもスタートアップの仕事でしょう。

売れらているナムキンと呼ばれるインドスナックも、新しいもの。

おっちゃんが2人で経営するケータリングカーも、かつてはありませんでした。

ゴアの海岸でパラセーリングをやっていましたが、1994年のインドには、こんな楽しい遊びはありませんでした。

ビニールパック入りの美味しいパランタも、1994年のインドにはありませんでした。

ムンバイの空港も、ホテルのロビーか?と勘違いする美しさにリニューアルされました。

デリー郊外にはピカピカの巨大モールが建設され、連日賑わっています。これももちろん、30年前にはありませんでした。

モールの外にはスタイリッシュな電気自転車がおいてありました。

■インドには伸びしろしかない
インドには何もなかったからこそ。
インドが汚くて、整理整頓されていなかったからこそ。
インフラが全く整備されていなかったからこそ。
一旦伸び始めたときの、伸びしろがものすごい。
むしろ、伸びしろしかない!!

インド経済は20年弱で約6倍に成長し、2020年、GDPでフランス、イギリスを上回る見込みです。経済成長は多少鈍化しているけれども、今もインドには大きなチャンスがあります。米国に留学してGoogleやAppleに一度は勤めた優秀な人たちが、インドに続々と帰国し、起業しています。
頑張って、成功して、リッチになって、幸せになる!!!
その単純な夢を信じて、日々頑張る人たちの数がとても多いのです。
彼らの力で、インドはこれからもきっと、大きく変わり続けていくことでしょう。

■インドの辺境で一人の起業家に出会う
インド人は刺繍が大好きです。
キラキラ光ったものが好きで、豪華であればあるほど、高い値段で布が売れます。

昔は手で刺繍を全てやっていましたが、今は機械刺繍も増えてきました。

今回、ティラキタ買付班が出会ったのは、刺繍工場のオーナーでもあり、これから更に拡大をしようと意欲満々のスニールさん。グジャラート州のブージと言う、辺境地帯に住んでいます。

彼はもともと貧しい家の出身なのですが、16歳の時からインドの化繊産業の中心地と呼ばれる、グジャラート州のスーラトで働き始めました。
子供の頃はどうでしたか?
子供の頃はインドも貧しかったし。僕自身も貧しくて、何も手に入らなかったんだよ
起業する前はどこで働いていたの?
スーラトって知ってる? 布の市場でとても有名な街だよ。そこで仕事をしていたんだ。
起業したいと思ってた?
もちろんさ! 起業したくてとても頑張ったよ。仕事をしながら、コンピューターを勉強し、将来に備えていたんだ。
機械はいくらぐらいするの?
1台の機械は大体80万円から150万円ぐらいかな。銀行からローンを借りて一生懸命働いて、返していくんだよ。

この機械でどれくらい稼げるの?
刺繍の難しさによって違うんだけど。簡単なものは80ルピー。非常に複雑なものは1000ルピーぐらい儲かるよ。
凄いな! 機械に刺繍させてそんなに儲かるんだ。
刺繍したものは必ず売れるからね。みんな欲しがるんだよ。
起業して、成功して、リッチになっていく。
そういう成功ストーリーが今のインドには至る所に転がっています。
もちろん失敗する人も多いでしょうが、前述のヴィクラントのように、彼らは失敗してもめげません。
返済にはどれくらいかかるの?
銀行からお金を借りて、だいたい返し切るまでに2年から3年ぐらいかな。5年ぐらいすると使えなくなるので、スクラップとして売るんだ。スクラップとして売れたお金を頭金にして、次の機械を買うんだよ。
成功する自信はある?
もちろんさ!! この借金だってすぐに返しちゃうよ!

彼の住む、グジャラート州のブージと言うところは、パキスタンとの国境にほど近いところで、控えめに言ってもインドの中の辺境地帯。そんな辺境地帯であっても、やる気満々の起業家が存在する事に、インド全体の爆発的とも言える起業ブームを感じます。
30年前からのインドは、何もなかったところから、みんなが物を手に入れて、生活が良くなっていくしかない時代でした。
無条件にどんどん豊かになるのだという、バラ色のサクセスストーリーを多くの人が体感しているのが、今のインドだと言えるでしょう。
インドはまさに日本の高度成長期に当たる時代を過ごしているのです。

