水晶輸入の落とし穴-その2 スリランカからクリスタルを輸入してみた

先週のメルマガにて、「水晶輸入の落とし穴!! インドからヒマラヤクリスタルを輸入してみた」という記事を書かせていただいたのですが、実は、インドだけでなく、スリランカにもまた落とし穴がありました。
輸入のお仕事は、その国の規制と思惑に大きな影響を受けます。僕らの気持ちは、ただ素敵な商品を紹介したいだけなのに、現地事情が沢山絡んでトラブルだらけです。
という事で、今日はスリランカの落とし穴の話を書かせてください。
■宝石王国スリランカ

ご存知の方も多いかと思うのですが、古代からスリランカは宝石の産地として大変有名です。
今日はスリランカの話ですよね?
そうそう。スリランカってさ、宝石がとても有名なのは知ってる?
なんか聞いたことあります! 世界的にはブラジルが有名で、あと最近ではミャンマーも有名らしいですよね
そうそう。スリランカは伝統的な宝石の産地でね。スリランカから出た宝石がインドのジャイプールに運ばれていって、加工されていた歴史があるんだよね
へ~~。やっぱりそこは繋がってるんですね
地理的に近いしね。当然だよね。以前、スリランカの鉱山の人と、ジャイプルの仲買人と言う組み合わせのチームにも出会ったことがあるよ。
スリランカから出てくる宝石はルビーやサファイア、ガーネットなどで。地質学的にスリランカは、そういう宝石たちが産出される場所に当たるんだって
ちなみに、スリランカの鉱山の人と、ジャイプルの仲買人はこちらの方々。

地球上の特定の場所にだけ宝石って出てくるんですねぇ…
不思議なもんだよね
コロンボの中心部に行くと宝石商が軒を並べている場所があり、その多くは強盗を防ぐために、入り口は金属のゲートで仕切られていて、ちゃんと警備員に挨拶をし、訪問理由を告げないと中に入ることもできません。
世界中の女性が好きな宝石が、スリランカでは歴史的に重要な産業として成り立っています。今回のクリスタル輸入の落とし穴は、宝石がスリランカの主要な産業であるという理由によって起こったものでした。

■ティラキタは宝石商になりたいのか
スリランカに、宝石があるか、ないかと言ったら、あります。リーズナブルな値段かと言ったら、リーズナブルな値段だとは思います。
こんなゴージャスな内装の宝石商ですら、日本よりは大分オトクな値段を提示してくれます。

とは言うものの…。彼らが売りたい宝石はこう言うモノです。
こちらはスリランカ産のブルー・サファイア。色の違いでお値段が変わるんだそうですよ。

ねえねえ。これ、うちの店で扱いたい?
いや、どうでしょう。僕ら、これに興味ありましたっけ?
実はあんまないよね…。世の女性たちは好きだと思うけど、自分たちが好きかどうかってちょっと微妙だよね
やっぱり僕らはアジアとインドの文化を紹介するお店ですし…。宝石屋さんじゃないですよ
そうだよな~~

ルビーやガーネット、ブルーサファイアなど、魅力的と言えば魅力的ですが。私たちが紹介したい、素敵なアジアというテーマに沿うかと言うと、そういうものでもありません。
今回スリランカに来たのは宝石だけじゃなくて、他にもいろんな文化を見に来たんだよね。とりあえずそんなの見に行こうか♪♪
手作りのテラコッタプレート工房に行ったり

先日書いたドロマイトの鉱山を見たり

それからみんなジャックフルーツ食べたり

そういえばティラキタさん。ちょっと水晶を掘ってる人の家に寄ってきますか?
あ、はい~。せっかくなんでちょっと見に行きたいです♪♪

ねえねえ、ここにすごい素敵な水晶があるんですけど
どんな水晶?

水入り水晶と、エルスチャル水晶ですね
水入り? エレスチャル? なにそれ?
水晶って一度作られるじゃないですか。土の中でできて尖った形してるじゃないですか。でもあれって時間が経つにつれて徐々に徐々に溶けてくるんですよ
え?水晶って溶けるの?
長い年月をかけて溶けるんです。溶けるというよりも形が変わってくるんです。それをエレスチャル水晶って呼ぶんですよ
えーそんなことあるのか!
そう。溶ける過程で、お水を巻き込んだり他の土とかを巻き込んだりするんですが。それがインクルージョンになるんです
へ~~~!
水晶ってやっぱり割と身近な鉱物だと思うんですけど。だからこそ土地の文化に根ざしてたりたりしますよね
するする。ネパールでは水晶を仏具にしたりとか、神様にしたりするよ! だから宝石にはあんまり興味がないんだけど、水晶は割と好きだよ
この水入り水晶も、エレスチェル水晶も本当に特別なものなんで、もらっていきましょうよ。
ちなみにこちらの水晶は、ブラックトルマリンが水晶に貫入したもの。これもまた、珍しいんだそうです。

■水晶を輸入することになった
ということで。ひょんなことから水晶を輸入することになりました。スリランカの大地で長い年月を経て作られた水晶たち。それはそれで面白いなと思います。
すいません。サナタさん、水晶を日本に送ってもらえますか
もちろんだよ! コンテナに入れて送ってあげるから、安心して日本に帰ってね
は~い!!
あの~~すいません。水晶なんですがコンテナに入れて送ることはできなくなりました。
え? 他の荷物とは一緒に送れないの?
そうなんです。スリランカの国の規制で航空便じゃないと送れないんです。
どういうこと?
スリランカって国として宝石が大切な産業になっていますよね。だから宝石の買い手を国が保護しているんです
騙されないように?
安全な取引ができるように?
そうなんです。そういうことが国の法律として決まってるんです。
それはいいことだね。みんな安心して取引できるもんね。で、航空便で送るの?
はい。ちょっと料金を調べますので、待っててくださいね
■ほんのちょっとの水晶に高額な送料がかかる!
ということで待つこと1週間。
ティラキタさん。水晶の送料が出ました。16万円です。
は!!!????
ドユコト!!!?
今回買ったのってサンプル的なのでそんな重くないよね? なんでそんなに高いの!??
仕方ないんです………
EMSで送ったら1/5ぐらいの値段なんだから。EMSで送ってよ
ダメなんです。EMSだと紛失の危険性があるから国が許可しないんです。国の基準に沿った特別な発送方法じゃないと送れないんです
だってそれじゃ、お客様にお安いお値段で譲れないじゃない
仕方ないんです。スリランカからは宝石は特別便でないと送れません
嘘でしょありえない~~~~!!
■国が宝石を産業として保護するの意味とは
ということで。泣く泣く高い送料を払って今回は送ってもらいました。仕方ありません。
高い勉強代ですが、このブログでみんなに読んでもらうネタになったのでヨシとします!!!
あたらめて話をまとめると。
スリランカでは歴史的に宝石が国の重要な産業になっているので、国は、大切なお客様を保護しなければならないとの立場に立っています。その為の規制やルールがスリランカには存在していて、スリランカの宝石商たちはそのルールの中で仕事をしています。
お客様保護のために、発送から到着まで、荷物を保全して追跡するような特別便でないと発送できないという事になっているのだそう。
結果として、どんな少量の宝石であっても特別便を使わなければいけないので、送料が極端に跳ね上がるという仕組みになっているのでした。
本当に輸入のお仕事って色々あるなぁ…
そしてこんなこと、トラブルが起こってみないと想像もしなかったな
インドでは金が含まれてないという証明書が必要になり。スリランカでは国の政策で顧客保護のための政策が仇になり。本当に輸入のお仕事って色々あるな、その国によって様々だなとしみじみと思うのです。






































