錠と扉から見る地域性 インド全土で使われている南京錠の風景

今週はデリーからインドの南京錠がたくさん届きましたので、今日は愛してやまないインド南京錠のことを書いてみたいと思います。

ティラキタ買付班、色々なインドが大好きですが、特にインドの日常のモノたちが好きです。

使われて程よくペンキの剥げたバスの手すりとか、アンティークな感じのチャイカップとか。インドのモノには人間の温かみがあるような気がしています。インドの日常にあるものって、とってもいい感じなんですよね。

こんな感じの壁とか。


使い古された金属の感じとか。インドにしかない風合いです。


窓枠のペンキの剥げ方もインドです


そして長らくティラキタ買付班が気になって写真を撮り続けていたのが、インドの南京錠です。インドのどこに行っても、普通に存在するインドの南京錠。

インドの鍵ってなんだかかわいいよなぁ…


と思って、ここ10年くらい、撮り貯めていたのでした。

■スピティのインド南京錠
広いインドには辺境地帯と呼ばれるエリアがあります。辺境地帯は、主にインドの北側、ヒマラヤ山脈の中にあり、標高3000mとか、4000mとかの人間が住むにはあまり適さないエリアです。未開の自然と、雄大な大地と、土地に住み続けた人々と古代から連綿と続く文化があり、とても素敵です。

この南京錠はスピティと呼ばれるインドの北部で収集されたもの。地図ではここのエリアです。

まずはなんて事ないインドの南京錠の写真を紹介させてください。

インドの南京錠の特徴はいろいろありますが、

・無骨なこと
・リベットで留めてあること
・やすい鍵は鍵が共通なこと
・無駄に頑丈そうなこと

あたりがポイントでしょうか。人によってはどれもマイナスにしかならないポイントですが、それがイイ!と言う人もまたいるのだと思います。


インドの南京錠はいろいろな種類があります。インド全土に無数に存在する鍵メーカーが、それぞれの鍵を作っているので、バリエーションが豊かです。

こちらはスピティのお寺の下駄箱に付いていたいろいろな種類の南京錠です。



インドに行くと、本当にどこでもインド南京錠が使われています。インド南京錠はインドの鍵のスタンダード。辺境である標高4000mのナコ村でも、当然のようにインド南京錠が使われていました。

■デリーのインド南京錠
デリーはインドの首都でもあり、そして一番インドらしいお土地柄でもあります。インドイズムと言うんでしょうか、インド丸出し!っていうんでしょうか。とにかくデリーはインド一色です。地図ではここのエリアです。


崩れかけたレンガ壁、町の鉄工所が溶接で作った無骨な扉、曲がった金属とかんぬき、擦れた跡しかない青のペンキと、垂れた白いペンキのコンビネーション。とにかく味わい深いとしか言いようがありません。そして電気グライダーを持ってしても切るのに時間がかかりそうな頑強なインド南京錠。鍵を壊すよりも、扉を蹴って開けたほうが早そうです。


こちらもデリーの扉です。壊れた部分を継ぎ足ししながら使い続けられている木の扉、擦れていい感じになった黒いペンキ、残った釘、そして南京錠。こんな味わい深い扉、インドにしかありません。


デリーの旅行者地区パハールガンジの裏道で見つけた味わい深い扉。この扉を開けたその奥には何があるのでしょうか。まるでドラクエのダンジョンの扉のような感じです。


オールドデリーの奥深くで発見した味わい深い扉と南京錠。日本だったら地震があって危ないという理由で、こう言う味わいモノ、古いモノはすぐに取り壊されますが、デリーは地震がないのでずっと残ったまま。100年も200年もこのままです。


デリーの名刹ビルラマンディルの扉。多分、これは普通の勝手口みたいな場所なんですが。扉の彫刻といい、脚のステッカーといい、これぞインドです。


■バラナシのインド南京錠
ガンジス河の沐浴場にほど近い、歴史のあるサリー屋さんのバックヤードを訪問した時の一枚です。暗い照明、壁の色、クリシュナのカレンダー、ご先祖様の写真。ここでは、室内から南京錠で施錠できるようになっていました


■コルカタの南京錠
インドの西の玄関口であるコルカタは、成長著しいムンバイやデリーとは違う、昔ながらのインドが味わえる大都市です。街の中には共産主義の赤い鉄鎌マークが描かれ、リクシャと呼ばれる人力車が走っていて、どことなく時代が10年か20年遡ったかのような感じがします。地図ではここのエリアです。



なので使われている南京錠も、扉の感じも、実際に使われているにも関わらず、それ自体がアンティックであるような雰囲気を出してきます。


ゲストハウスの窓の鍵。とにかく使い込まれた感じがたまりません。


■グジャラートのインド南京錠
パキスタンとの国境にほど近い、グジャラート州。地図ではここのエリアです。


ブージで発見した味わい深い扉と自転車と南京錠です。重厚な石造りの建築や円形のアーチが、イスラム文化の影響を感じさせます。


こちらもグジャラート州の南京錠ですが、こちらはもっと辺境地帯にて撮影しました。インドには先住民族の方々が多数いますが、その先住民族の方のおうちです


■ネパールのインド南京錠
ネパールとインドの扉と南京錠はとても似ています。そもそも、ネパールでは自国で南京錠を作っていないので、ほぼインドからの輸入品ですから南京錠自体はインドとネパールで同じものです。扉の材質は違い、ネパールでは木の扉が多いのに対し、インドでは金属製の扉が多いですね。地図ではここのエリアです。


一軒の家の玄関に11個も鍵がかかってるぞ!

って撮影した一枚がこちらです。凄い厳重で笑っちゃいまし。そんなにネパールって治安悪くない気がするんですけどねぇ。


タメル地区で発見した味わい深い扉と南京錠。


カトマンズで発見した味わい深い扉と南京錠。インドのかんぬきと違って、ネパールのそれはちょっと形やデザインが違う気がします。扉の色もやっぱり、インドとネパールでは似ているようでいて異なります。


古都バグダプルで発見した扉と南京錠。ネワール族の方々は詳細な彫刻が施された重厚な扉を自宅の玄関扉として使っています。


犬が3匹並んでなんだか平和です。アイスクリーム屋さんの木の扉と南京錠の組み合わせがいい感じです。


■ケララのインド南京錠
ここからは南インド、ケララ州で発見した味わい深い扉と南京錠をセレクトしてみました。地図ではここのエリアです。



ケララ州、特にコチの特徴はとにかくおしゃれなこと。はるか昔から交易で栄えた港町らしい壁と扉と南京錠がありました。壁のピンクがまたおしゃれ…。インドではありますが、どことなくヨーロッパを感じます。


分かって作ってるでしょ!!っていいたくなるくらいの素敵な扉と南京錠。これ、何百年使われているのかなぁ…


■タミル・ナードゥのインド南京錠
第2次世界大戦前に栄華を誇ったチェティナード商人たちの豪邸についていた南京錠。熱い鉄板をリベットで打ち付けて作った無骨で素敵な南京錠です。


南インドの布の街、エロードで発見した味わい深い扉と南京錠です。長いこと、そして毎日使っているんでしょうね。扉に人間の温かみが染み付いています。どこに毎日手を置いて扉を開けているのか、誰が開けているのかわかっちゃいますね。


こちらも布の街エロードでの一枚。白い壁に何度もペンキを塗っていったのでしょう。層になって剥がれたペンキの味わいがなんともインドです。扉もどうやったらこうなるのかなぁ…と思うイイ感じの使い込まれ具合。そして、そこにいる南京錠がなんとも素敵です。


ここから3枚は特に南インドらしい扉をセレクトしてみました。

ピンク色のカラフルな壁と南京錠


水色と濃緑、パステルカラーの緑がとても素敵です


水色の街ジョードプルでも見たことがある、ジョードプルブルーが、南インドでも使われていました。この色、全インド的に人気なのかな。


■お空の上でも南京錠
そして…なんと、インドの方々はお空の上でも南京錠♪
日本からインドに行く際に乗った飛行機のギャレーで、インド南京錠が使われていました。



空の上にも南京錠!!
南京錠万能だな!!

そして10年かけて収集してみた南京錠と扉の写真を集めてみたけど…
やっぱり地域性が出るもんだね!



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