10億人の人々が神聖視する特別な油ギー Gheeとは
目次
■寺院で使われている神聖な油 ギー(Ghee)
インドやネパールでは、寺院で灯明を灯す時に、神聖な油であるギー(Ghee)を使います。寺院ではしばしば灯明を燃やすのですが、この灯明に使う燃料は、ギー(Ghee)でなくてはならないと決められています。ネパールのスワヤンブナートでも。
インドのバラナシでも。
カトマンズの王宮前でも。
ギーの光は優しく寺院の中を照らし、かすかな甘い香りで周囲を満たします。
ギー(Ghee)で作られたランプは、基本的にはその寺院で作られますが、近年は家での礼拝で使えるようにパッケージに入ったものも販売されています。プラスチックのパッケージに、数十個のギーランプが入っていて、その各々が小さなキャンドルとして使えるものです。
今回はギー(Ghee)の説明を通して、インドの信仰や、ギーの使い方などについて、話をしてみたいと思います。
■奥さん! インドは宗教国家なんですよ!
控えめに言っても、インドやネパールの人々は宗教が大好きです。大好きっていうか、私達の目から見ると、「宗教に狂っている」とも見えます。
経済活動や、日常生活の前に、宗教活動がある。
人の生と死とともに、宗教活動がある。
およそ全てのことが、宗教の影響を受けている。
誤解を恐れずわかりやすく言うならば、
「奥さん! インドは宗教国家なんですよ!」って断言していいくらいです。
インドやネパールの方々はほぼ100%の方が何かしらの宗教を信仰しています。ヒンドゥー教、イスラム教、ジャイナ教、仏教、キリスト教など、信じる宗教は様々ですが、インドやネパールの人と長くお付き合いをしてきて、「私は無宗教です」という人についぞ会ったことがありません。
ティラキタで働いているネパール人のサラダちゃんもそうですが、彼らの日常は宗教によって何をするべきか決められています。
木曜日は断食をするとか。
新月の日は何をするとか。
一緒に働いていて、お昼時になって。
「あれ? 今日はご飯食べないの?」と聞くと
「今日は断食の日なんです」なんて言われることもしばしば。
一緒に働いている私達にもよく解らない、ヒンドゥー教徒ならではのルールが存在しています。
彼らの日常はお祈りから始まります。
朝起きて、家の中の祭壇にお線香を焚き、祈りを捧げてから一日が始まります。
家の中の祭壇で足りない方は、自分のお気に入りの寺院に行きます。
ジャイプールのアショークさんは、毎朝、クリシュナとラーダをお祀りしているGovind Dev ji寺院に車で行ってお参りし、それから仕事を始めていましたっけ。毎日、毎朝、お寺に行くのは大変そうですが、彼らにとってはそれが幸せであり、日常です。
■ヒンドゥー教徒たちの聖なる生き物から作られるギー(Ghee)
さて、生活のすべてが宗教の影響を受ける彼らの聖なる動物はご存知、牛ちゃん。インドの牛ちゃん。
インドに行くと、その辺をウロウロしていてかわいいですよ。
こちらはマナリの牛ちゃん。
山の中を自由にお散歩していました。
こちらはグジャラートの牛ちゃん。
道路を占拠して我が物顔です。
こちらはゴアの牛ちゃん。
カラフルな祠の前で顔を向けてくれています。
スクーターで走っているところを、牛ちゃんに邪魔されちゃいました。
牛ちゃん、はぁ可愛い❤
「インドでは牛は神様だから食べないんでしょ」くらいは多くの人たちの知るところですが。
熱狂的ヒンドゥー教徒の方々は牛を神聖視するあまり、牛のおしっこを飲んだりもします。
牛のおしっこを毎日飲むと、コロナにかからないんだそうです。
こちらはYouTube上にある牛のおしっこを飲むと健康になる7つの理由。
彼らは本当に真剣です。
牛のおしっこは飲めないにしても、インドに来て実際に目にしてみると、牛ってものすごい有用な動物だということに気がつきます。
まず、牛は動力源になります。
牛歩ではありますが、何トンという荷物を積んで街なかをゆっくりと歩いているのを見かけます。
そして、牛のうんちは燃料になります。
牛のうんちを藁と一緒に手でこねて、円盤状にするとよく燃える燃料が出来上がります。
4000年前から伝わる、100%エコロジー、100%のリサイクルの未来の燃料だったりします。
そして牛は牛乳を出してくれます。
牛乳は人々の重要なタンパク源です。
このように牛は動力源になり、うんちは燃料になり、そしてミルクを出してくれる。
いわば、牛は、車と、発電所と、食料を兼ね備えた魔法の動物なんですよね。
実際、インドの農村では牛さえいれば、生きていくことができます。
古来の人たちは、殺すよりも生かして利用したほうが有用だと考え、聖なる動物という事にして、食べないようにしたんだろうなぁ…と思ったりします。殺して食べてしまったらそれで終わりですもんね。
そして、今回の本題であるギー(Ghee)は牛乳から作られます。
聖なる牛の乳を精製することによって、作られるのが澄ましバターであるギー(Ghee)なのです。
■ギーの使われ方
聖なる油ギー Gheeは栄養があり、美味しい油ですから、寺院で灯明用としてだけで使われるものではありません。ギーは料理をとても美味しくしてくれます。
ダルカレーにギーをちょっと入れるとコクが出ていいですし。
グレイビーなカレーにどっしりとした旨味を出すのはギーの役割です。
焼き上がったチャパティにギーを塗って食べるのはインドやネパールでは一般的なことですが、チャパティにギーを塗ることによって、美味しくなるだけでなく、血糖値が急激に上がるのを防いでくれるのだそうです。
アーユルヴェーダではギーは、体を温める食べ物とされていて、特に冬に摂取することが推奨されています。数多くのメリットがある特別な食べ物と位置づけられています。
また、インドでは女性が出産したあと、一ヶ月半位の期間に間に、ギーを5-10Kg食べると、母体の体調が保たれると言われているのだそう。インドでは白米にギーを載せて、そこに砂糖をかけて食べたりもします。
鼻が詰まったときに、寝ながら鼻の中に溶かしたギーを数滴垂らすと、鼻詰まりが早めに治るとか。
ギー(Ghee)は、灯して良し、食べて良し、健康によしのスーパーフードなのです。
■魔法の油ギー
こちらの9 Benefits Of Ghee You May Not Have Knownによれば…
・ギーは栄養価豊富で100mlのギーには883kcalもの熱量がある
・ギーは純粋な脂肪分だけでできていて、タンパク質、食物繊維、炭水化物、砂糖などは含まれていない
・ギーにはビタミンA、ビタミンE、ビタミンKが含まれている
・ギーは消化を助ける効果がある。古来のインド人たちは毎食、スプーン1杯のギーを食べ、健康な胃腸を保っていた
・抗炎症、抗癌作用がある
・火傷を癒やす
・美肌効果がある
・骨を強くする効果がある
・減量に役立つ
・ギーは純粋な脂肪分だけでできていて、タンパク質、食物繊維、炭水化物、砂糖などは含まれていない
・ギーにはビタミンA、ビタミンE、ビタミンKが含まれている
・ギーは消化を助ける効果がある。古来のインド人たちは毎食、スプーン1杯のギーを食べ、健康な胃腸を保っていた
・抗炎症、抗癌作用がある
・火傷を癒やす
・美肌効果がある
・骨を強くする効果がある
・減量に役立つ
などなど、いろいろな効果がいっぱい書いてありました。
ギーを食べると減量できるとかっていうのは流石にどうかな、って思いますが…。ギーってば脂分ですからね…。
まぁ、それはさておいても。
ギー(Ghee)がどれだけインドやネパールで重要視されている食べ物なのか。
そしてなぜ神聖視されている油なのか、ご納得頂けましたでしょうか?
■ギー(Ghee)の選び方
ちなみにギー(Ghee)の選び方ですが、100%の牛乳から作られている純粋なギーが本物のギーになります。植物油脂などから作れているギー(Ghee)はすなわちマーガリンみたいなものですので、ご注意ください。そちらはギー風に味を整えてあって美味しいのですが、本物ではありません。植物油脂などから作れているギー(Ghee)はお安いのでティラキタでも取り扱いをさせて頂いております。本物ではなくても、お味的には割と満足できたりしますので、時と場合によって使い分けてくださいね。