バリの神様が遠く離れた スリランカで売っている謎について

■スリランカで買付したい♪
ティラキタ買付班、先日はスリランカをウロウロしておりました。仕入先と言えば、今まではインド、ネパールが多かったのですが。
たまには別の国も仕入れに行こうよ!
そうですね。スリランカとかいいですよ。僕、友達いますし!

スリランカってば、やっぱりインドとは違います。文化圏としては亜インド文化圏で良いと思うのですが、島国ですし、仏教国ということもあり、国のサイズ感や人々の優しさなどが違います。
買付する時は、まずはだいたい市場に行きます。こちらがスリランカのメインの市場。

この仕事してて思うんだけど。新しい国、新しい市場に行くといつもドキドキするよなぁ
社長、市場大好きですよね
うん。海外を歩き始めた頃からずっと大好きだった。ティラキタは天職なんだと思うよ
こちらのビルが立ち並んでいるのが、コロンボのメイン市場になります。かつての香港程ではないですが、看板が道にせり出していて賑やかな感じです。人はとにかくたくさんいます。

赤色のオートリクシャが居ました。インドのように燃料によって色が決められているわけではなく、色々な色があるようです。

アジアの市場らしく、鞄を売り歩くおじちゃんがいたり

手押しの台車で荷物を運ぶ人がいたり

これからスリランカの各地に届けられるモノが詰まりまくったトラックがいたり。

新しい国の知らない市場に来ると、なんだかドキドキするなぁ
■新しいものはないかな?
せっかく来たんで、色々新しいものを発見しましょうよ♪
まずは、食器屋さんに入ってみました。
早速面白いもの発見したよ。何だこりゃ! 鍋から筒が飛び出してるぞ
それはスリランカで料理を作る時に使うものです。ピットゥ(Pittu)って言うんですよ
ピットゥ…。それにしても変な形してるな

ありそうで見かけない形の柄杓? 大きなカップ?

3本の足がついている謎の物体だね。何に使うんだろうか…

長い木の棒もありました。これもまた使用方法が不明です

これはタイやベトナムにもあるね。お菓子を作る道具だ!

これは何でしょう? 歯がついているから包丁かなんかだと思うんですが、形が変です

■バリ島のお土産がなぜかスリランカにあった
次は伝統的な手工芸品を扱う、お土産屋さんを訪問してみました。
素焼きの蚊取り線香たてがありましたよ。これはちと大きいし、運搬の途中で壊れそうですね

あれ? バリのお土産があるよ?? なんでだ?

こっちにもあります。確かにこれ、バリ島のお土産ですよね

こちらがバリ島のお土産の写真なのですが、色はちがくとも、ほとんど同じ仮面が並んでいるのがわかりますでしょうか?

突き出した大きな目玉が特徴的で、間違えようがありません。間違いなく、これはバリから来たものの筈です。
こちらがバリ島の神様たち。目が突き出ています。

すいません、セナタさん。なんでバリ島のお土産がスリランカにあるんですか?
え? これですか? これはスリランカ製ですよ。スリランカの人々が作っています
いやいやいや。セナタさん、行かれたことがないから知らないんだと思いますが、これは間違いなくバリ島のものですよ
いや、違います。これは我々の文化で、Naga Raksha/ナーガ・ラクシャの神様です
え?? そうなんですか?? これはここで作られているんですか?
でも、あまりにも酷似していますよ…????
■海洋アジアと文化の伝播
帰国して色々調べてみると、大変興味深いことがわかってきました。スリランカで見た仮面は、コブラを大きく扇状に広げた意匠、赤い顔、飛び出した目、舌、強い魔除け感が特徴のNaga Raksha/ナーガ・ラクシャの仮面とのこと。
スリランカでは Raksha は「悪鬼・魔的存在」系の仮面で、Kolam などの仮面劇・舞踊・儀礼に関係し、Naga Raksha はコブラ/蛇霊を表す代表的な仮面なのだとか。
バリ島でも同様のモチーフを目にするのは、単なる偶然ではなく「海洋アジア」を舞台とした、数千年にわたる壮大な文化のシンクロニシティの結果なんだそうです。
5世紀から15世紀にかけて、シュリーヴィジャヤ王国やマジャパヒト王国といった海洋帝国が、インドからスリランカ、そしてインドネシアの島々へと続く交易路を支配していて、遠く離れたバリとスリランカが文化的に結びついていたのだそう。
商人とともに僧侶や彫刻家などの職人も移動し、彼らが各地で現地の信仰とインドの神話を融合させた結果、視覚的に非常によく似た「ハイブリッドな芸術様式」がアジア各地に根付いたんだそうですよ。
海のアジアがあると知ってはいたけど。まさか遠く離れたバリとスリランカが文化的に繋がっているとは思わなかったなぁ…
なんだかロマンのある話ですね。我々人類は、色々な所で交流し、文化を繋いできたんですねぇ…。知らなかったなぁ
こちらはスリランカの海。

そしてバリの海。

海同士が古代からつながっていたんだな…と深く納得させられる一件でした。
ブリタニカ百科事典によれば、スリランカとバリは地理的には遠いですが、文化史的にはかなり近い場所にあるとのこと。
古代からインド商人、仏教僧、バラモン、航海者が東南アジアへ渡り、ヒンドゥー教・仏教・サンスクリット語彙・神話モチーフを運びました。東南アジアの文明形成にインド文化が大きな影響を与えたこと、また海上交易路が宗教や美術の伝播に重要だったことはよく指摘されているのだそうですよ。






































