インドの素敵な布を求めて – スクリーンプリントの工房を訪問する

■素敵な布を求めてジャイプールへ
2025年3月、ティラキタ買付班、素敵な布を求めてジャイプールへ旅立ちました。時刻は朝の5時。早朝のデリー駅です。
久しぶりのインドなので、まずはチャイを購入してホッとして。ここでインドに意識をチューニング。

チャイが出てきました。電車のチャイはそんなに美味しくないけど、まずはインドのチャイだし!と言う事でOKにします。

電車を待っていたら、車内販売スタッフたちの点呼が始まりました。インド人たちが並んでの点呼は、なんだかどこかユーモラスでかわいい雰囲気があります。

30分ほどして私達が乗るシャダブディ・エクスプレスがやってきました。

いつも見てもインドの列車はかっこいいなぁ…
電車がやってきたので、行き先を確かめてから

早速乗り込みます。インドの列車は1等、2等、2等座席、2等寝台などにクラスが別れていて、さらに同じクラスでも何両も車両が繋がっているので、自分たちの乗り込む車両を探すのに一苦労します。

車内は新幹線みたいな感じです。丈夫な棚があって、20kgくらいの大きなスーツケースも載せられます。シートの横にコンセントも付いていて、自由に充電もできます。20年前に乗った時と同じ構成ではあるものの、随分きれいになりました

快適な列車に揺られて、4時間ほどしてジャイプールに到着です♪
ジャイプールはかわいいものに溢れた街なのですが、駅のホームで早速かわいいものが待っていました。電車に乗ってきた荷物だと思うのですが、この使い込まれた感じが本当にかわいい…

■スクリーンプリントの工房を訪問
ジャイプールへ来た目的は幾つかあるのですが、そのうちの一つが工房の訪問です。ジャイプール郊外にはサンガネール、バグルーと呼ばれる布の名産地があり、そこを訪問したかったのです。
ウッドブロックプリントは、これまでも紹介してきましたので、今回はあまり紹介することのなかったスクリーンプリントを紹介してみます。スクリーンプリントも人の力で作られている製品なのですが、どちらかと言うと大量生産品です。
スクリーンプリント印刷とは、とても細かいメッシュに特別な感光膜を作り、紫外線でパターンを転写して、インクの通るところに穴を開けて印刷する方法です。一回スクリーンを作ると何千枚も同じデザインが量産可能なのと、スクリーンが安く作れるので、日本ではオリジナルT-シャツ作家さんなどが積極的に活用していますね。
こちらがジャイプールで使われているスクリーンです。T-シャツ用のスクリーンは30cm x 40cm位のサイズだと思いますが、こちらは2m x 1.5mという巨大なサイズです。
大きなスクリーンに模様が描かれているのが見て取れるかと思うのですが、青い部分が感光保護膜が残っていて、インクが抜けない所、白くなっている部分がインクが抜けるところです。

もうちょっと拡大してみましょう。模様が鮮明にわかりますね。かわいいインドの小花模様が描かれています。品番も一緒に印刷できるようになっていますね。

こちらは違うデザインのスクリーンです。さっきのは青色用のスクリーンで、こちらは赤色用のスクリーンです。

拡大してみても、さっぱりよくわからないデザインですが…。
何色か重ねることにより、これがとても素敵なデザインになるから不思議です。

もう覚えている人いないかな…と思いますが、その昔、年賀状を印刷する道具でプリントゴッコというのがあったのですが、それとほぼ同じ方式です。その話をするってだけで、これを書いている人が昭和の育ちなんだなってバレちゃいますね。
土台になるテーブルの長さは30mはあるでしょうか。テーブルの端っこには位置がずれないようにスクリーンのハンドルが嵌まる穴が空いています。熟練の職人さんたちが2人1組で働き、スクリーンの上にインクを流し込み、大きなスキージでインクを平均的に流して印刷をします。
複雑なデザインを作るには何色か擦りますので、別々のスクリーンを使って、インクの色を変えて何回かに分けて印刷します。印刷し終わった布は、印刷台の上に干して乾燥させます。
その後、水で洗って余分なインクを落とした後にこのような大きな物干しで乾燥させます。このときは、印刷前の白い布を乾燥させていましたが、同じ物干しで印刷後の布も乾燥させるんですよ。
このようにして作られるインドのスクリーンプリント製品。量産できるのでお値段がリーズナブルで、手に取りやすいのが特徴です。インド国内の布屋さんでもよく見かけます。
よくできたスクリーンプリント製品は、ウッドブロックと同じように素晴らしいですが、やはり画一的なデザインが多い気もします。ウッドブロックは人間がハンコを押して作るので、一つ一つのパターンに揺れがあって人間らしい味わいがありますね。
どちらが好きかは人それぞれですが、一般的には手間のかかるウッドブロック製品の方が高値をつけられ、モノを見分ける力のある方からの評価が高いです。ウッドブロックとスクリーンプリント。両方知っている身からすると、メリットとデメリットがありますので、それはそれ、これはこれだと思います。

ティラキタでも、スクリーンプリントのベッドカバーやマルチクロスなどを取り扱っています。大判で布がしっかりしているのにリーズナブルなんですよ。