インドとの取引は根気が勝負! 注文から半年たっても商品ができない件について
目次
■昨年の10月に注文したのに
インドとのお仕事って本当に一筋縄では行きません。ティラキタが今年苦労しているのは、インド各地に注文している衣料品です。衣料品たち、昨年の10月に写真付きで注文し、色々な手を尽くして素敵な商品を確保しようとしているのですが、なかなか思ったようにやってきません。今回はさっぱりやって来ない衣料品をネタに、インドとの取引事情を書いてみたいと思います。
アパレル業界の方には当然のことかもしれませんが、その年の夏物は3月に販売開始できるようにして準備します。この辺の事情は各社違うと思うのですが、一般の感覚よりもだいぶ早く準備している感じになります。
昨年の10月のことです。
来年の夏物なのですが、いつも3月に欲しいと思って注文しても来ないので、今年は半年ほど前に注文を入れてみますね
うん。流石に半年あれば届くだろうね
ねえねえ、今年の注文はどうなってるの?
今頑張って作ってて、5月の半ばには出来上がるよ
え? 5月半ば? そしたら届くの7月か8月だよ。今年の夏に売れないよ? じゃあ、お前のところは来年のオーダーはなしだな…
それは困る! 4月末には作るから!!
■いろんなバリエーションの服を作りたい
プシュカルの注文が難航しているので、なんとかして別の方法を考えなければいけません。それぞれに味わいが異なるので、衣類をお願いする先は幾つあってもいいですしね。ティラキタでは「インドの素敵な布を使って、素敵な服を作りたい。」との強い希望があります。インドの服ってば本当に素敵で、これを日本の皆様にたくさん紹介したいなぁといつも思うのです。インドには素敵な布も服も、本当にたくさんあるんです。
どうやって素敵な服を安定的に作り、供給することが出来るか…ここが腕の見せ所であり、インドの取引先との関係性が試されるところでもあります。そして、何年経ってもさっぱりうまく行かない所でもあります。
つい先日、デリーの布市場を廻っていたときのことです。
ここにある布を使って服を作れないかな? 素敵な布がたくさんあるし、できそうな気がするんだけど
知人のつてをたどって、きちんとした仕事をしてくれる縫製工場を発見しました。デリーの一角にある小さなブティックを経営している家族で、愛嬌のある素敵な一家です。
早速、布のお店から布を取り寄せて、サンプルを作ってもらいました。待つこと数日…無事にサンプルが出来上がってきました。
いいですね!! 男が着てる姿はイマイチですけど。縫製はしっかりしてるし、ミシンの目も細かいですよ。カッティングもちゃんとしてます
そりゃそうよ。うちのマスターは腕がいいのよ
布のお店から布を持ってきたら、好きなデザインで作ってもらえる?
もちろんよ!! うちは何でも縫うわよ
という事で、布屋さんに言って布のサンプル帳を作ってもらいました。集めてくれた布はざっと200種類。素晴らしいインド布のコレクションです。これからこれを使って好きな服を作れるのか…デザインも好きに選べるし、これは最高だな!!
■衣類担当は大喜び♪♪
ティラキタ買付班、布のサンプルを持って意気揚々と日本に帰ってきました。衣類担当の女性に今回は大収穫なんだよ。デリーでね、好きな布で、好きなデザインで衣類が作れるようになったんだ。ここに布帳があるから好きな布を選べばいいだけなんだ
えーーー!! こんなにたくさんの布から選べるんですか? ステキー!!!
でしょう? これから、いろんなバリエーションの衣類が作れるんだよ
じゃあ、早速布を選んで、オーダーシートを作りますね
■布屋からぜんぜん返事が返ってこない
オーダーシートを作って、デリーにオーダーを入れて。あとは待つだけです。待つこと一ヶ月。
進捗はどうなっているのかな?と思って、ブティックに連絡します。
こないだのオーダーはどうなってるの? いつ頃できそう?
実はそれ、私が聞きたいのよ。布が全然届かないの
え? キミに注文したら、布屋さんと連絡を取って、必要な布を注文して確保して、仕事してくれるんじゃないの? 布屋さんには別に連絡しなきゃダメなの?
布がやってこないと作れないわ
すいません。こないだもらった布帳から、No.10,12,16,30が100mづつ欲しいのですけど
あ、それはないよ。別の布だったらあるけどどう?
え? 全然ないの?
あ、No.30は100mはあるね。No.16も30mだったらあるよ
え? 他に頼んだ布は?
布はたっぷりあるよ。写真を送るから選んでね
と送ってくれた布は、全然欲しくない布ばかり。インドで一生懸命作ってくれたサンプル帳は一回も使うことなく、あっという間に無用の長物になりました。
次はインドにいつ来るんだ? その時にある布から選んでくれよ!!! ニューデザイン用意して待ってるぜ!
布屋、なんのために布のサンプル帳を作ったんだかわかってないのか…
ブティックはブティックで、ただ待つだけだったとは…
結局、デリーで考えた新しい服を作る方法は、現在の所、まるで成功していません。
ここで、今までのインドでの経験から考えてみます。
インドはやはり、日本とは全く違うのです。
■デザインは常に変わり続ける
今までの経験から考えると、インドでは定番の布というものはほぼなく、いつもデザインは変わり続けています。とにかく新しいデザイン、とにかく違うデザインを、インド人たちは作り続けています。布のサンプル帳をつくってもらって、そこから選べば楽ちん♪と言う考えは、そもそも、インドの習慣に即していないのだと理解するしかありません。
とは言うものの。わたしたちはネットショップですので、新しいデザインの服がきたら、デザインごとに写真を撮らなければいけないのです。できたら、できるだけ同じものが常時欲しいんですよね…。
でもインド人たちは
ジャパニ! ウィー ハブ ニューデジャイン!!
と毎回必ず言ってくるのです。
うちはできるだけ同じものが欲しいんだけどなぁ…
インドとネットショップは相性が悪いよなぁ!
長くこの仕事をしていますが、こと衣料品となると、ずっとそう思わされる日々なのであります。
■その人はその人の仕事しかしない
これもまた、インドの方々と長く付き合って来て思うのですが。その人は、その人の仕事しかしない傾向があるなぁ…色々気を利かせて、仕事をスムーズに進めていく文化はないなぁ…
インドでは職能制でもある、カースト制度の国でもありますし。人口が非常に多く、社会の中での分業が進んでいる国でもありますし。日本みたいに、言わなくても気を利かせてスムーズにやってくれるということはありません。
スムーズにやってくれる場合は、ほとんどの場合において、その人がそれをすると得になる場合だけで、無償の仕事を進んでやるような文化はないのです。
■できなくても出来ると言う
そして、インドの方々の特性として、インドは人口が多く、非常に過酷な競争社会の中で生きているので、自分のところに儲け話が来ると、できなくても出来るという習性があります。できないことでも、まずは出来ると言っておかないと生きていけず、仕事が取れないのでしょうね。まずは話を繋いでおいて、走りながら考えるというのが基本スタイル。
例えば今回の敗因である、変わり続けるインドにおいて、布のサンプル帳を作らせると言うのは、今まで見てきたインドの実情に即していないわけです。そこは布屋が口先で出来ると言っても、できないものだと思うしかない。
長くお付き合いしてて、解っているようでいて、やっぱり解ってないインドのこと。
さて、このインドの方々の特性をうまく理解して、来年はうまく、衣料品の注文を進められるのでしょうか…
ティラキタ買付班の腕の見せ所であります。