伝統的な手法で作られるインド・プシュカルのローズウォーターとローズオイル

■薔薇を愛するプシュカルの人々
今回の話の舞台は、古来よりマハラジャが統治していた砂漠の国ラジャスタンです。インドの砂漠地帯の真ん中に、プシュカルという小さな聖なる街があります。プシュカルはデリーから電車で6時間ほど西に進み、アジメールで電車を降りて、バスかオートリクシャで1時間ほど走ったところにある小さな小さな田舎町。町の人口は2万人ほどで、砂漠の中に小さな湖がポツンとあり、湖の周りをぐるりと囲むようにして家々が建っています。

このプシュカルは、毎年10月にはラクダ市が開かれたり、ホーリーのときには狂乱のレイブパーティーが開かれるなど、砂漠の中の小さな小さな小さな田舎町にも関わらず、国際的に有名な町でもあります。
プシュカルはヒンドゥー教の聖なる町ですので、日常的に牛ちゃんがウロウロしています。

立派な建物と牛ちゃん。いかにもプシュカルらしい風景です。

この町、そしてこのアジメールエリアの特産品の一つが薔薇と薔薇製品です。プシュカルの町中をテクテクと歩くと、おじちゃんやおばちゃんたちが薔薇を売っている風景が見られます。

バラ水やグルカンドと呼ばれるバラジャム水を飲ませる屋台ではチャイカップの中にバラを入れてお店を飾り。

ミターイと呼ばれる甘味屋さんでは甘く美味しいラッシーと、砂糖たっぷりの揚げ物に薔薇の花を添えてくれます。

ホテルの中庭の噴水には水の代わりに、薔薇の花びらが散らしてありました。

普段の生活の中でも薔薇をふんだんに使用し、薔薇を愛でて生活しているプシュカルの人々。そして、町の中には老舗の薔薇屋さんがあります。
■150年の歴史を刻む薔薇屋さん
プシュカルの聖なる湖の横の道をテクテクと歩いていくと、インドの名家らしい真っ白な豪邸が出現します。こちらがプシュカルにて150年の歴史を持つMantri社です。今でこそ観光客に人気のプシュカルですが、150年前は砂漠の中の小さな巡礼地でした。巡礼の客を相手にして、地道にローズ製品を作り続けてきた老舗です。

お店の中には薔薇の香油が置かれ、いかにもインドの老舗らしい雰囲気。

欲しい香油の量を伝えると、その場で量って販売してくれます。瓶の中に入っている油の量は一定しておらず、大きな瓶の下の方に数センチだけ液体が残っているもの、たっぷり入っているものがあり、色の濃さも様々です。
文字を見ただけでは、どの様な香りが中に入っているのか、まったくもってわかりません。試しにひとつふたつと嗅がせてもらうと、その中には異国の魅力的な香りがぎゅうと詰め込まれているのでした。

■インドのローズウォーターとローズオイルの作られ方
香油はペルシャの医師イブン・シーナが最初に蒸留して作成したと言われています。現代では化学的方法で香油を作成することもできますが、やはり、古来から伝わってきた方法で蒸留される香油が最高品質であることに疑いはありません。Mantri社では、いまだに伝統的な手法でローズウォーターとローズオイルの製造を行っています。香油製造に使われる花は品質に定評のあるアジメール、プシュカル周辺の地場の物を使います。
花の蒸留は開花期にのみ行われます。花の香りが一番強い夜明けに新鮮な花を摘み取って使用します。

花びらだけが集められます。

花びらは人間の手で一枚一枚、丁寧に取り外されて集められます。

蒸留用の龜の中に集めた花びらを入れ

水を加えます。

粘土と布で蓋をして、水蒸気が漏れないようにします。

蓋を閉じて…

大きな蒸留装置の出来上がり。

容器に蓋をして、底から加熱します。

蒸気は凝縮管を通過し、水に沈められた別の容器に集められます。

ダマスクローズには多少の油分が含まれているので、上層部にはローズオイル、下層部にローズウオーターと2層に分かれます。ローズオイルも、ローズウオーターも、どちらもバラの香油成分や美肌成分をたっぷり含んだ天然のエキスです。
たっぷりの朝摘みの薔薇の花と、伝統的な蒸留装置で作られるプシュカルのローズ製品。その製法と香りに惚れたティラキタ買付班が独自に交渉し、プシュカルのMantri社とコラボレーションし、日本に輸入してきました。
インドの伝統の香り、ぜひお試しくださいませ。
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