ジャイプル・ウッドブロック工房秘伝 布の印刷を嗅ぎ分ける方法について

■一口に布と言っても様々
ティラキタでは様々なインドの布を扱っています。地域的にはグジャラート州カッチの布、ラジャスタン州ジャイプルの布、ウッタール・ブラディーシュ州・バラナシの布、タミル・ナードゥ州の布など、インド各地の様々な布を取り扱っています。
インド各地に布があるんだよ
まずは、インドの布地図を出してみるね

そしてまた製法もいろいろです。
布にこのようにハンコをペトペトと押して作る作るウッドブロックがあります。白い布に職人がハンコを地道に押していく時間のかかる方法です。
藍染で防染をして作って行く、ダブープリントもあります。
ダブープリントは、より多くの手作業があります。
この写真は、一度、ウッドブロックで染められた下地の布の上に、改めて、茶色(土)の防染剤を、ウッドブロックで乗せているところです。


そしてまたグジャラートのカッチ地方のアジュラックプリントもとても手間のかかる方法です。1つの布に何回も何回もハンコを押したり防染をしたり、藍染したりして作ります。
こちらの布には、赤色、黒色、白色の部分がありますが、全て別々の工程で染め上げられています。


インドでは本当に気の遠くなる工程を経て、布を作っているんだ
手間のかかる伝統的な手法の反面、現代的な手法のスクリーンプリントも多用されています。スクリーンプリントは大きなスクリーンを布に当てて、スキージと呼ばれるヘラでインクを流し込む印刷方法です。こちらも人間の手作りですが、現代的な印刷方法なので、割と大量生産が可能です。
こちらがスクリーンです。ダブルベッドサイズの大きさがあります。

こちらが印刷している所。どんどん布が印刷されます。ウッドブロックプリントの30-50倍くらいの速さだと思います。
そしてまたもっと現代的な印刷方法になると、コンピューターでデザインした、インクジェットプリントもあります。大きな機会で印刷します。こうなると、もう人手は、オペレータ1人だけです。

インクジェットプリントは簡単だけど、さっぱり魅力がないよね
でも残念なことにインドでも広まってきてはいるんだ
■なかなか難しい布の判別
色々な地域のいろいろな布がありますが。いざそれを判別しようとするとなかなか難しいものがあります。
現代的な印刷方法よりも、手間のかかった昔ながらの印刷方法の方がより魅力的です。ウッドブロックのインクの擦れ、手仕事の暖かみ、模様のずれなど。そのどれもが愛らしくて、やっぱり全然違います。
こちらがよく出来たウッドブロックプリント布。木のスタンプならではのボケ、微妙なずれがとにかく可愛いです。

インドの人たちは布を素敵にするために延々と手間をかけてきたんだな
インクジェットプリントは、すぐに判別できます。いわゆる現代的な印刷です。それはそれで良いのですが、布としてはあまり魅力がない物が多いです。まぁ、簡単に作れて自由なだけに、こんな面白いデザインも作れますけどね。

スクリーンプリントも、判別はそこまで難しくありません。印刷が平板なのと、2版、3版を組み合わせるプリントだと、同じ方向に印刷がずれています。
僕たちだけではなく、インドの方々もウッドブロックプリントが大好きなんだよ。手仕事の魅力が伝わるもんね
そうすると彼ら(印刷メーカー)はどうするかというと、ウッドブロックプリントに巧妙に似せたスクリーンプリント布を作り始めます。
ウッドブロックに似せて、スクリーンプリントの布を作られると、これがなかなか分かりづらいんです
正直言って、布を見続けているティラキタでも間違えます!
この布の判別方法がいつも大きな課題でした

■ジャイプルからインド人がやってきた!
つい先日のことです。ジャイプルから取引先のインド人がやってきました。

彼らは2005年ぐらいからお付き合いしている、ウッドブロックプリントや、泥染めの伝統を受け継ぐ家系の人々です。かつてはたくさんいた人々ですが、現代的な印刷方法が普及するにつれて、徐々にその数を減らしてはいます。
ティラキタではお父さんの代からお付き合いしているのですが、残念ながらコロナでお父さんが亡くなってしまい、今は娘さんのニートゥさん、ディーパクさんとお付き合いしています。
彼らの工房に行くと家の中に長い印刷テーブルが2-3台あり、いつも職人さんが働いています。

■彼らは突然布を嗅ぎはじめた
こんにちは~~
ジャイプルからようこそ!! 遠かったでしょう?
もちろん遠かったけど…
それよりも、昨日、飛行機が2時間も遅れて、夜中の3時に到着して。
タクシーで東京に行ったら15000円も取られてひっくり返りそうになったわ
あー日本のタクシーは高いよね
高いわよ!! ジャイプルだったら500ルピーなのに! どう言う事よ!
ティラキタの布コーナーはこんな感じ。PVCのパイプに布が巻かれ、保存されています。

この布達なんだけど、うちではなく、別の地域から持ってきているものもあるでしょう?
もちろんあるよ。インド全域から仕入れてるからね
ちょっと色々見せて
とても興味あるわ
そう言って布を1枚1枚手に取ってチェックを始めました。やっぱり布屋さんですからね。布にとっても強い関心があるみたいです。
これはどこの布?
これはグジャラートだね
スクリーンプリント? ウッドブロック?
多分ウッドブロック…かな?
え? なんで布を嗅いでるの?
手作りの布には独特の臭いがあるのよ
え? 匂い? ホント?
本当よ。手作りの布は土の匂いがするのよ
え~~~~~~~!!! そんなの始めて聞いた!!
ちゃんと嗅いでごらんなさい?
スクリーンプリントは何も匂いがしない、もしくはちょっとケミカルっぽいでしょう?
確かに
ウッドブロックプリントは、土の柔らかい匂いがするでしょ?
ホントだ!!!!!! 知らなかった~~!!!
その後色々な布を嗅ぎましたが、確かにウッドブロックプリントは土のいい匂いがして、現代的な印刷は特に匂いがしないかケミカルの匂いがしました。
以前インドに行った時、布工房を見た時に、このような感じで布を土の上で乾かしているのを見ていましたが。

なんとインドの土の匂いが布に移っているとはね…驚きだね
そして何回か洗濯した後のウッドブロックのTシャツを嗅いでみると、やっぱりそこにはまだ土の匂いが残っていました。
インドの土の匂い洗濯しても落ちないのか。びっくりだなぁ~~
ホントですねえ
そうだ! これからインドを感じたい時は、オレのシャツの匂いを嗅ぐといいよ! ほら!
キモ!!!
汗臭いオヤジの匂いなんか、嗅ぎたくありません!
絶対嫌ですよ!
インドの匂いするのにな~~。残念だな~~






































