激しさを増すインドのインフレ事情 2022年3月 現地レポート

■激しさを増すインドのインフレ事情
激しさを増すインドのインフレと、インド物が扱えなくなる未来ということで、先日、ブログを書かせていただきました。この記事は、先日のその記事に対しての結論というか、現地レポートと言うか。実際に現地に行ってみたら、実際はどうだったのかのレポートです。

私達は商品の6割以上をインドから輸入しています。インドが経済成長する中、物価が年々上がる中、「僕たちは本当に将来、インドとお付き合いしていけるのだろうか?」というのが疑問でインドに渡航してきました。

ティラキタはインドのバラナシで産声を上げた会社です。バラナシで起業することを決め、バラナシの人々に手取り足取り教えてもらいながら、ここまで21年間やって来た会社です。だから、私達ティラキタにとって、これからもインドとお付き合いできるかどうかは、本当に大きな問題なのです。

インドに入国してから10日間の間、100人を超すインド人たちに実際に会い、話をしつつ、今のインド、そしてこれからインドはどこに向かっているのかを探ろうとしてきました。


■将来に不安を持たないインド人
インド人の誰に聞いても感じるのは、彼らは将来に対して全く不安を持っていない、ということでしょうか。

超高齢化社会が進み、政府がどう頑張ってもインフレせず、どんどんと国力が弱くなっていく様に見える日本。今まで日本を支えていた団塊の世代が一気に高齢化する時期に当たっているのですから、当然の現象といえば当然なのです。日本は他の国々と比較しても、本当に素晴らしい部分をたくさん持っているのでそんなに悲観する必要はないとは思うのですが、暗いニュースばかり読んでる(ニュースは常に悪いことしか書かないからね!!)と、将来に対し、暗くなってしまうのもわからないではありません。

インドはというと。1990年代に改革開放路線に舵を切って、海外資本を受け入れる様になってからというもの、順調に成長路線を歩んできました。街はどんどんきれいになり、人々はどんどん裕福になり、車はますます増え続け、きれいなスーパーマーケットができて。インドはここ30年の間、昨日よりも明日、去年よりも今年のほうが良くなってきています。

そしてまだまだ、インドは国際社会から見ると相対的に貧しいけれども、若い人口構成も相まって、ただひたすらに将来が明るくなると多くの人々が感じています。明日は今日よりもいいのだと単純に信じることができる。そういう雰囲気が社会に満ち溢れています。

まぁ、そんなこんなで、インフレが激しくとも、少なくともインド人たちはそんなに悲観していない。
だから、インドはこれからも高インフレの国であり続けるでしょうし、成長路線を歩み続けるのだろうと思うのです。

さて、そんな訳で、インドがこれからも成長するのは疑いのない事実だとしても。
気になるのは今、インドの物価がどうなっていくのか、でしたっけね。


■物価はその人の社会階級によって違う。
まず、インドでは物価は、その人が属してる階級や収入によって大きく異なります。

ムンバイに住んでいるプログラマーは1年間に400万円以上貰っていますが、ムンバイの食品工場で働いてる単純労働者は1ヶ月12000ルピーでボーナスを含めて年間で18万ルピー(25万円)の収入です。ムンバイのような大都市で働いている人たちが年間25万円の収入なのですから、地方や農村部に行くと、もっと収入レベルは落ちるものと思われます。

工場に勤めていて固定した仕事がある人々はいいですが、固定した仕事がない、底辺の人たちの収入はもっと少ないでしょう。インドでは毎月定額の給料をもらい、年金や医療保険などの社会保障もしっかりしている会社に勤める人の割合はごくわずかです。だからどんなに安月給だろうとも、公務員になりたいと思う人が多いと言われています。

外資系金融機関に努めている様な、裕福な人たちは、スターバックスに行って日本やヨーロッパとほぼ同じ値段のコーヒーを飲むことができます。1杯のラテの値段は300ルピー位なので、日本円換算すると500円ぐらいです。スターバックスの値段はインドも日本もそう大きくは変わりません。

しかし、月収12000ルピー(17000円)の人たちがスターバックスで300ルピーを払えるかというと、ちょっとそれは無理でしょう。

月収12000ルピーのうち、家賃に3割、食費で半分持ってかれて…きっと家族は3-4人いるのだろうから、可処分所得はいくらになるでしょうか。多分、一ヶ月に1000ルピーもないでしょう。一ヶ月1000ルピーの可処分所得の中から、一杯のコーヒーに300ルピーを出すとはとても思えません。

実は、一般の庶民は1杯 8ルピー(13円)から 15ルピー(23円)のチャイを飲んでいます。ですので、インドでは一杯の飲み物の値段差が30倍もあることになります。

この様に、インドには最貧困層から、お金持ちまで対応できる、様々な商品や値段帯があります。国の中にヨーロッパやアメリカの値段帯と、庶民の値段帯、そして底辺のスラムの値段帯が共存してるというイメージです。

20年前はインドの中に上流層が存在していなかったので、その価格帯がありませんでした。また中間層もそこまで大きくなく、その価格帯の商品もありませんでした。

現在インドでは中間層が非常に多くなり、また一部に先進国と同じだけの給与を貰っている富裕層も存在するようになったので、市場に用意されている商品の幅がどんどん広がり続けている。それがインドの現状として見えてきました。

■富裕層の価格帯
ある日、ムンバイのネハちゃんに、Juhuという、インドのセレブ層が住んでるエリアのレストランに連れて行ってもらいました。
Chin chin chuと言う名前のアジアンレストランで、中に入ってみると、そこには東京のおしゃれなレストランと同じ光景が広がっていました。


そして、メニューを開いてみたらびっくり! 値段が日本とそんなに大きくは変わらないのですよ。
一皿が大体500ルピー(700円)ぐらいかな。


そんな所でご馳走になってしまったティラキタ買付班…ネハちゃん、本当にごちそうさまでした!!!
お味はインド人の舌に合わせたアジアンフードで、「日本食やアジアンをインド人向けに作るとこうなるのか!」という新しい驚きがありました。

さてさて、ここではスターバックスと、富裕層向けレストランの例を挙げましたが、インドの富裕層は日本と変わらない価格帯で生活している人たち、もしくはそれを払える人たちと言えます。

■庶民の物価は
いくら富裕層が増えたと言っても、もちろんインド全土がそうなった訳ではありません。富裕層は上位の1%くらいの方々で、多くの人たちは庶民の価格帯で生活しています。

そして毎年インフレし続ける中ではありますが、庶民の物価はさほど上がっていないのでした。
もちろん、それなりには上がっていますが、私達がインドから報告を受けていたような、3割、4割と言った暴力的な値上げではありません。全ての商品の価格が、もの凄く上がっているかと思っていたので、正直ちょっと拍子抜け。

物価のベンチマークになるミネラルウォーターのお値段は、ここ10年くらい変わっていません。ムンバイの近郊電車が1時間乗って15ルピーでした。これもちょっと値上がりしたんだろうなとは思いますが、そこまで大きくは変わっていない印象です。ジャイプールからプシュカルまで、4時間バスに乗って150ルピー。これもやはり、そこまで大きくは変わっていませんでした。



■最下層の価格帯
さて、最下層の価格帯はどうかというと。例えばこちらのカレーパウダーやコリアンダーパウダーが参考になるでしょうか。10Gづつにで小分けしてあって、5ルピーから10ルピーと非常にリーズナブルな値段に設定されています。



こちらは町中のラッシー屋さん。1杯15ルピー(23円)位です。ラッシーは確かだいぶ前もこのお値段だったはず。


極端に安いのが駅の中の売店です。駅の売店は、日本で言う駅そばみたいな感じなのかな。とても安い印象を受けました。


■インドの物価が一気に上がることはない
インドの中にはいろいろな所得階級の人たちがいて、その人たちに合った価格の商品が用意されていました。

上には上があり、下には下がありました。

価格が上がりやすいのは富裕者層の商品です。富裕者層はアメリカに留学をしたり、働きに行ったりしている人も多いので、国際価格を知っていますし、その価格で物をお金を払うことをいといません。

しかし低所得者層、そして中間層は収入に限りがあります。だからそこまで大きく値段が上がらない商品がこの所得者層の商品です。特に低所得者層の商品の値段は上がりづらいことが確認できています。安い商品ほど値段が上がりません。

インドは国の中に貧困層と富裕層を抱えていて、両者の所得の幅があまりにも大きくて。スターバックスで一杯500円のコーヒーを飲んで外に出ると、道端にスラムがあって、食うや食わずの貧困者が住んでるというような塩梅です。

これからもこう言った物価の傾向が変わらないのならば、富裕層の方の物価はヨーロッパやアメリカの値段にどんどん近づいていくとしても、貧困層の物価は割と変わらないのではないだろうかとも思われるのです。

■ティラキタの商品に関わる値段のこと
インドから値上げの連絡が色々な所からやってきましたが、確かに実際に値段は上がっています。

特に値上がり幅が大きいのがステンレスの食器類とコットンです。ステンレスの食器類は原材料の値上げにより、倍の値上がりを余儀なくされました。これは鉄の国際価格がコロナによって単純に倍になったからだとのこと。



コットンも同じ様に、国際価格がコロナの間に大幅に上がっています。しかし、コットンはクオリティによって値段の上がり幅が違いました。服に使っている薄手で強いコットンは、30%から40%ぐらいの値上がり。しかし標準的なコットンを使っているベッドカバーの値上がり幅を聞くと、さほどでもありませんでした。3年間で10%ぐらいの値上がりでしょうか。

鉄の値段も、コットンの値段も。そのうち落ち着く日がやってくると思うのですが。今のところは高止まりしている状況です。



アクセサリー類などはやはり金属の値上がりの影響を受けていて10%ぐらいの値上を求められます。他の商品も大体10%位の値上げが普通です。

現地に来てみて肌感覚て感じているのは、もちろん値上がりはしてるっちゃしてる。
一部の商品は国際価格の影響を大きく受けている。 でも、全体を通してみると、まだ受け入れられる範囲内である。

って言う事でしょうか。

と思って、インドでちょっと安心していたら、今度は円安がどんどん進んできました(涙)

お仕事というのは、社会の情勢に合わせながらやるものとは言え。
こう色々、急速に変わっていくと、対応するのが大変ですね
■気に入ったらシェアしよう!

Comments are closed.

インド雑貨・アジアン雑貨・民族楽器- ティラキタのブログです。僕たちが大好きな面白インド&アジアを楽しく紹介しています

BLOG内から検索

今日の新入荷商品

今日のセールをピックアップ


今日人気の記事

人気の記事-全期間