突然始まる儀式はジャイアンリサイタル 熱狂的な宗教国家インド
目次
■誰もが宗教に全力投球!!
およそインド人と言うものは、宗教的な人々です。宗教儀式の中に生きて、宗教儀式で楽しみ、その合間に現世での生活を行っている様な人々です。
ティラキタの取引先のあるジャイナ教徒のお店には、自分が座る所の上に祭壇があり、朝から晩までピカピカとLEDの電飾が光っていて、お店にやってくるとお客さんの方を向くよりも先に自分の神様に挨拶し、礼拝してから、お客と話をするという念の入り様。ここではお客様は神様ではなく、神様は神様なのです。神様ファーストです。
これが異常でなく、全く普通の日曜的な光景だというから驚きます。
インド人の家には祭壇が必ずあり、毎日朝晩のお祈りと勤行を欠かしません。
旅行に行くときは、必ず旅行先の有名寺院を廻り、丁寧に参拝します。有名寺院を巡るためにインド人は旅行をするのです。インド人にとって国内観光とは、巡礼の旅と言っても言い過ぎではありません。
秋になると次々とお祭りがやってきます。ガネーシャのお祭りガネーシャ・チャトゥルティ、ドゥルガーのお祭りナブラトナ、光のお祭りで新年的な扱いのディワリと、日本の正月を超える大型イベントが1-2ヶ月の間に次々とやってきます。これらはヒンドゥーのお祭りですが、もちろんイスラムの人たちもお祭りがたくさん。犠牲祭のイード・ウル・アザーはこの季節です。
秋のインド人は宗教儀式と宗教イベントに忙しくて、普段の生活を送っている暇がなさそうです。
控えめに言って宗教中毒なのです。
お寺を作ったら作ったで、こんなコンクリ像を作っちゃうし…
また別のお寺を作ったら、現代のタージマハルみたいな建築物を作っちゃうし…
インド人は、とにかく宗教一直線。
友人のドグラさんに聞きました。
「なんでインド人はそんなに宗教が大好きなの?」
「なんでって…インドは宗教国家だからだよ。それ以外ないよ。」
めっちゃ目から鱗!!!!!
そうなんだ!!!
インドは宗教国家だったんだ!!!!
資本主義よりも、民主主義よりも、その上に宗教がある宗教国家。
それがインド!!!
宗教国家インドだと思うと、インド人たちのすべての行動が納得の行くものになります。生活の一番重要なものに宗教がやってきて、そして次に生活がやってくる感じ。。。
それくらい、インド人の生活は宗教を中心として廻っているのです。
■極彩色野外レイブ宗教儀式パーティーが突然始まった!!
この国では、想像を遥かに超える何が突然起こります。
2019年10月20日の夕方のこと。
あと10日後にディワリというインド新年が始まる日でした。
デリーで定宿にしているパハールガンジのホテルHOTEL YES PLEASEに帰ろうとした時のこと。
地下鉄の駅を降りて歩いていると、ホテルに向かう道が、いつもより綺麗に電飾されているのに気が付きました。
そしてホテルの目の前に、コンサート会場が突然出現していたのです。
疲れていて、寝たかったので、まずはホテルに帰ることにしました。
しかし敵(コンサート会場)は、そう簡単に僕らを休ませてはくれません。
ホテルに帰り、ほどなくして夜がやって来ると同時に、音楽が鳴り始めました。
ヤツらのテンションは最初からレッドゾーン!!!
ビシビシ鳴る窓枠。
両耳をふさぎたいほどの大音量。
音がうるさすぎて、部屋に居ることができないレベルの爆音がガンガン鳴っています。
「何が起こっているんだ?」と、コンサート会場に遊びに行ってみることになりました。
入口で靴を預けて、コンサート会場の中に入ってみると、そこは極彩色な野外レイブ宗教儀式パーティー会場!!!!!
敷地内にスピーカーを積み上げ。
神様はキラキラとしていて。
即席で作られた目の前のお寺は、LEDでサイケデリックな蛍光色に染め上げられ。
そしてインド人が神様の前に列をなして聖水をもらっています。
客席は布団が敷き詰められた、ゴロゴロできる快適空間。
突然出来上がったコンサート会場は、宗教の名を借りたインド人たちのトランスパーティー!!
どの場所にいても、低音で脳みそがシェイクされるかのような、超絶大音量の宗教歌バジャン!!
とんでもない宗教的サイケデリック夢幻空間が、よりによって俺のホテルの前に出現していまいました。
■宗教儀式の実態は、驚異のジャイアンカラオケ大会
トランスパーティーであればDJが曲をかけて、徐々にムードを作っていきますが、ここはインド。
インド人たちが、確実に宗教的法悦領域に突入できるようにセッティングされています。
まずいちばん大切なのはボリューム!!!!
デカければALL OK!!!!!
音が歪んでいようが、耳が痛くなろうがお構いなし!!!
音はDJではなく、生バンドとヴォーカルでよりLIVE感を演出!!
このボーカルがひどくて、マジ音痴で。
がなり立てて歌うオッサンが次から次へと出現します。
おっさんたち、最初はおとなしく歌っていても、どんどんヒートアップ!!
最後は絶叫系に進化していきます!
とにかくうるさい!! 最高にうるさい!!!
オッサンの歌声で、体が振動するはじめての体験が待っていたのでした。
これが噂に聞くジャイアンリサイタルか!!!!!!
インドでジャイアンリサイタルに招待されるとは思ってもいなかったよ!!!!!
衝撃を受けまくっているティラキタ買付班に対し、インド人たちはここぞばかり、宗教歌バジャンを歌い続けます。みんなの顔を見ると、とても楽しそうに歌っています。
超絶爆音での宗教歌バジャンカラオケ大会。
宗教歌なので、歌詞はインド人全員が知っていますよね。
いわば、みんな知っているヒットナンバーを、舞台装置を作り上げて、爆音でカラオケしている状態なのです。
やってる本人たちにとっては、気持ちいいだろうなぁ~~~!
でも、俺のホテルの前ではやめてくれ!!!!
■PAブースに行ってみると
PAブースに行ってみると、そこでも驚きの光景が広がっていました。
とにかくものすごい大音量をどれだけ出すかというのが、彼らの音の根本的テーマです。
ミキサーのボリュームは完全マックスで、赤の上限まで行かせなければいけません。
アンプのボリュームも完全マックスで赤いランプが常時点灯している状態です。
日本だと絶対にやってはいけないことが、インドでは平然として行われています。
必要以上に入力をさせると音が歪みますし、下手したら機材が壊れますので、日本では過入力は絶対にしません。
インドでは逆に、どうやって最大音量を出すかと言うことに重点が置かれていて、音が曲がっていようが、ザビザビ言っていようがお構いなし!!!!
インドは日本とは全く真逆のPAテクニックなのでした。
■パーティーは夜の2時までぶっとおし!!!!
ホテルに帰ると、爆音は当然のように鳴り続けていました。
9時を過ぎても、10時を過ぎても、11時を過ぎても音量が落ちる気配は一切なし!!
むしろ夜が更けるとともに、どんどんヒートアップしていきます。
相当な準備をして彼らも望んでいるので、そんな簡単に音が止むとも思えません。
なんで俺の泊まっている部屋の前で爆音野外フェスやるんだよ!!!!!!
部屋がビシビシ振動して寝られないじゃないか!!!!
野外フェスは人の迷惑にならないところでやってくれよ!!!!!!!
最後には殺意しか感じなくなってきました………
結局、音が泊まったのは朝の2時。
頭の中には宗教歌バジャンがこだましています…。
やっぱり寝られないよぅ…
ここインドでは、宗教儀式と言うと、結構、何でも大目に見て許されるような傾向がありますが、朝の2時まで、ホテル街で爆音を出し続けるというのはいくらなんでもどうかと思うんですよね。人のことをちょっとは考えて頂けませんでしょうか、インド人様…
■次の日に同じ場所に行ってみると。。。
そして次の日になり。
同じ場所に行ってみると、完全にもぬけの殻。
狐に化かされたような状態が広がっていました。
どうなってんの? 昨晩のは幻???
一夜にして設営し、カラオケ大会を行った後、一夜にして撤収したんでしょうね…
インド人、やるときはやるんだな…