タイの今を全力レポート! バンコクの屋台と電気自動車、物価の最新事情

目次
■人の形にシミができたベッドの国タイ
ティラキタ買付班、30年近くタイを訪問し続け、タイを定点観察しています。バンコクに一番初めに行ったのは1993年のこと。初めての宿はヤワラーと呼ばれるバンコクのチャイナタウン。旅人界隈で伝説の宿として語り継がれる楽宮旅舎でした。その頃のタイは貧困と言うほどではありませんでしたが、貧しい部分が色濃く残る国でもありました。

バンコクのあちこちにはスラムがあり、人々が肩を寄せ合って暮らしていて。乗車料金3バーツの赤バスが、黒煙を上げながら満員の乗客を乗せて走っていました。
貧乏旅行社のたまり場だった楽宮旅舎は、その中でも最底辺ともいうべき宿でした。ベッドは人の形にくぼみがつき、シーツは汗の跡が染みつき、シャワーはハンドルだけが光っていて鉄のパイプにはぬめぬめとした苔がこびりついていました。
これが夢見て来たかったアジアなのかと思いながら、ふとゴミ箱を見ると、前の住人が捨てていったであろうゴムが残っていました。

俺はなんてところに来たんだろう
この旅を無事に終えられるのだろうか?
次の朝、窓のすぐ外でタイの子どもたちが笑いながら水浴びしていて。簡単に部屋の中を覗いたり、手を伸ばしたり出来るような状態でした。

とりあえず、ここからは出るか
ここよりはマシなところがあるだろう…
移動したのは近隣の日本人宿ジュライホテル。そこもまた、似たりよったりでしたが、どうにか人間の住める場所ではありました。
貧困ではないけど、豊かでもない。
その頃のタイはバックパッカーにはひどく居心地のいい国だったなぁと思います。
記憶にある中で一番安かった宿は60バーツ。240円程でした。その頃のインドは一ヶ月4万円あれば滞在できる国でしたから、インド程ではなかったにしろ、やっぱりお金が減らない国でした。
それから30年。窓の外で水浴びしていた子どもたちが、中年おじさんになるくらいの時間が経ちました。
■タイは本当に豊かになりました
という事で、ここ最近のタイをレポートしてみます。昔と比較して、色々なことが変わりました。時間が経過して、タイは本当に豊かな国になりました。
30年間の大きな違いといえば、やっぱり屋台でしょうか。特にバンコク市内は屋台の数が少なくなりました。あったとしても路上ではなく、小さなお店に形が変わっていたり、これからマンションが建つような空き地で固まって営業するようになっていました。


屋台は美味しくて楽しいし
お金のない人たちが毎日の現金収入を得るのにいい仕事だと思うんだけどな
とは思いますが、政府から見ると、税金が取れない、不衛生など、排除したい、様々な理由があるのでしょう。
屋台が出店している場所が公道上ではなくなり、開店前のお店の敷地を借りていたりして、警察に排除されない場所に移動しています。

昔は屋台であったであろう人たちが、徐々に自分たちの店を持つようになってもいます。

ちょっとしたコーヒースタンドもまだまだ健在ですが、屋台は少なくなり、建物の中に入って営業しています。

でも、その風景はやっぱりタイ。本当に屋台文化が好きなのでしょう。お店の外に屋台椅子を持ち出し、雨であってもテントを伸ばしてみんなで楽しんでいます。ティラキタでも販売していますが、この屋台椅子、本当に便利で楽しいんですよね。

■電気自動車が一般的なものに
数年前にタイに行った時は、まだまだガソリン車ばっかりでしたが、今回訪問したら、タクシーの3台に1台は電気自動車でした。メーカーはBYDやMG、NIOなどで、タイ製の電気自動車は見つけられませんでした。ほとんどは中国からやってきているのでしょう。実際に乗ってみると、エンジンの振動がなくて静かですし、加速も滑らかで力強く、乗り心地がいいものです。中国製とはいえ、内装も本当によくできていて、日本で売っても問題なく売れるレベルであると感じます。
タクシードライバーに聞いてみました。

ねえ、この車、電気自動車でしょ?
充電ってどれくらいかかるの?

充電はね、ガススタでできて250バーツだよ
一回1時間くらいかな
一回の充電で400キロ位走れるんだよ

そうすると、100キロ走っても60バーツ(280円)位しかかからない計算になるよね?

ガソリンに比べると天然ガスも燃費が安いけど、電気自動車はもっと安いよ
そういえば、電気自動車の燃費の良さは、ムンバイ在住でTATAの電気自動車を使っているパラスさんも言ってましたっけ。

毎日通勤で使うんだけど、1週間に一回充電して、200ルピーくらいかな?
とにかく燃費がものすごくいいんだよ!
燃料代がかからない感じがするよね
実際に日本で使ったらどれくらいの燃費になるのだろうか? と調べてみると、EVはガソリン車の約1/3〜1/4の燃料代のこと。

燃料代が圧倒的に安いんだったら、電気自動車、いいよなぁ
なんで日本で電気自動車が普及しないんだろうか?
■日本とほぼ変わらない物価

もう物価は日本とあまり変わらないな
為替レートがその昔は2.4と言う時代もありましたが今は4.7。インフレはここタイでも着実に進行していて、屋台のお値段がその昔は20バーツ。20バーツ x 2.4 = 50円だったのに。今は50バーツ x 4.7 = 190円。一皿の値段が実に4倍になっています。

タイは、もはや安い国ではありません。タイの方から

日本って思ったよりも安いって息子が言っていたわ
■おしゃれなカフェが出現
国が豊かになると出現してくるもの…それはおしゃれなカフェ!!ここ最近、ネパールにもおしゃれカフェがたくさんありますし、タイにもたくさんありました。
こちらはティラキタでも取り扱いのあるタイティーのトップブランド、チャトラムーのチェンマイ店。

伝統的なタイティーだけでなく、スタバみたいに様々な味を楽しめます。

こちらはチェンマイのおしゃれカフェ。

内装がただひたすらにおしゃれでした。

30年前のタイはどこに行ったのだろうか…素敵で快適だけどなんか淋しいかな…

■日本人旅行者の数は少なくなったけど
これは全体的な傾向であるとは思いますが、アジア全域で日本人旅行者の数が少なくなりました。バックパッカーの集まる街であり、居心地の良い滞在先として知られるチェンマイですら、出会った日本人は数えるほどでした。欧米の方の数は変わらず、むしろ増えたような気もします。そこにに中国人、韓国人が混じっている印象でした。


レストランに行っても外国人の7割が欧米系だな。そして、昔多かった、イスラエル人がぐっと減ったなぁ
■大麻ツーリズムの終わり?
チェンマイの街を歩くと、とにかく、大麻ショップが目につきました。お店の5軒に1軒が大麻ショップのエリアもあるほどで、夜、街を歩くと独特のツンとした匂いが鼻をつきます。
法律が変わって、医療用途でないと大麻の販売ができなくなったと言う事ですが。おおらかなタイらしく、2025年7月頭の段階ではまだまだ、当局の手入れは入ってない模様でした。


タイですからね。そのうち、厳しくなってくるんじゃないですかね?

日本でドラッグが蔓延してないって、あたり前のことだけど、本当に素晴らしいことだよなぁ。薬物が身近にある環境の中で子供を育てたくないもんな
