スリランカが生んだ偉大な建築家バワ 日本人好みの素敵な南国建築を巡る
目次
■開放的で素敵な南国建築の王 ジェフェリー・バワ
今回は、スリランカが生んだ偉大な建築家バワのことを書いてみます。正直、ティラキタ買付け班も実際にスリランカを訪問してみるまで、バワのことを全然知らなかったんです。いつも思うのですが、本当に世の中、知らないことばかりですね。今日、これからスリランカに飛ぶんですけど、なにかオススメってあります?
スリランカはやっぱりバワよ。バワが建築したホテルや建物はどれも素敵だから行ったほうがいいわよ
え? バワ? ホテル? 高いんですか?
もちろん一流で、それなりのお値段はするけど、それ以上だから、絶対に行ったほうがいいわよ
そうなんですね…。高いホテル嫌いなんだけどな…
オススメされるがままに、
■リゾートとは無駄のこと
ティラキタ買付け班が一番最初に訪問したのは、スリランカで一番長いプールがあるという、ネゴンボ市にあるJet Wing Lagoon Hotelでした。オススメされるがまま予約を取って、なにも知らないまま向かって、チェックインしてホテルの敷地内に入ったら、シンボルである100mプールがドドン!と我々を迎えてくれたのです。
凄!!!!! 何だこりゃ!!!! プールが美しすぎるしデカすぎる!!!
プール横に脱衣所があったのですが、自然とマッチした風景の美しいこと。一つのホテルに100mプールはいらないと思うし、大きすぎて清掃も大変だと思うけど、そう言う事じゃない、と自然と納得させられます。
客室の中に入ると、余裕を持った空間にきちんとセレクトされた調度品が品よく配置されていました。床は裸足で歩くとひんやりとするタイル。使われている木材はチーク材でしょうか。壁のブロックプリントの飾りもまた素敵です。
こちらはお風呂。溢れ出る上質感というのでしょうか。余裕のあるリゾート建築です。壁はありますが、上部は空いていて半野外でした。開放的です。
ホテル内をウロウロしてみます。ホテル内は余裕を持って空間が使われ、一つ一つのしつらえと、構図、配置がまた完璧で美しいこと。
決して華美ではなく、調和と落ち着きがあります。大きく絵画のフレームのように切り取られた入口の後ろに木が見えるとこなど、ギャラリーみたいだけど、自然な感じが素敵です。
一つ一つのパーツに個性と工夫があって、見ていて飽きません。こんなカラスくちばしの雨樋、初めて見ましたが、おしゃれですよね。
もてなしてくれたスタッフたち。一流ホテルらしく、きちんとした、おそろいの制服が素敵でした
■ジェフェリー・バワとは
さて、こんな素敵な南国建築を作っているジェフェリー・バワさんとは何者なのでしょう?Wikipediaによると…
ジェフリー・マニング・バワは、スリランカ・コロンボ出身の建築家。スリランカを代表する建築家で、トロピカル・モダニズムの第一人者として、アジアンリゾートホテルなどを手掛けた。
「建築家ジェフリー・バワは東南アジアの相貌を変えたと言っても過言ではない。とはいえそれはかくも微妙なため、今日では当然のことに見えるほどである。つまりバワは近代建物をこの環境に合うよう仕立てたのである。それは画期的に見えないにしても、この地域では誰もなしえなかったほどのことなのである」
とのこと。「建築家ジェフリー・バワは東南アジアの相貌を変えたと言っても過言ではない。とはいえそれはかくも微妙なため、今日では当然のことに見えるほどである。つまりバワは近代建物をこの環境に合うよう仕立てたのである。それは画期的に見えないにしても、この地域では誰もなしえなかったほどのことなのである」
スリランカの超有名な建築家、ということでいいんでしょうね。現代リゾート建築を定義したお方なのだそうです。
■植物を生かした建築
バワの建築ですが、特徴的なのは自然や木々を借景として取り入れ、ナチュラルで自然な美しさを追求しているところとのこと。コロンボにあるバワの自宅は、木々の借景をふんだんに取り入れた自然な美しさで溢れていました。リビングルームの外では雨が降り、木々が育ちます。フレッシュな空気と心地よい風、そして緑が美しい、心休まる場所です。
バワの自宅のコリドールの真ん中にあった室内庭園。ちょっとした空間に緑があるとホッとしますね。狭小住宅に住んでいる私達から見ると、なにも使い所のない無駄な空間ではありますが。その無駄こそが美しさを生むのでしょう。
こちらはバワの設計したギャラリー兼レストランですが、大きな木がこれでもかと建物内に配置されていて、まるで木の天蓋に覆われているかのようでした。
■デザインとは空間制御である
とにかく思い切って空間を切り取って使っている所にとても惹かれました。デザインとは空間制御であると、Webデザインの教科書に書いてありましたが、建築や空間デザインでも、やはりそうなのでしょうね。こちらは大きな通路を建物の真ん中にダイナミックに配置したバワの自宅の1階。
こちらは大きな部屋の一面の壁だけにインドネシアのバティックを配置し、他はすべて真っ白にし、天井照明すら削り取って、全体を調和させた部屋。魅せるところ、見せないところ、シンプルにするところのコントラストが絶妙です。
ギャラリーのコリドール。普通だったら誰もが通路にする場所に池を作り、ぐるりと通路を配置して絶妙に美しい空間を作っています。
■中と外の融合
コロンボ市内にあるバワ設計のお寺も訪問してみました。中に入ってみると…まぁ、シンプルで美しいこと!! キラキラ豪華な既存のお寺の概念を打ち砕く、シンプルで整理整頓された美しい空間が広がっていました。そして、やっぱり南国建築だなぁと思わせるのは、壁は壁ではなく、ただの柱だけで、ガラス窓などが入っていないこと。要はほぼ外なんです。大きな屋根を作り、シンプルに美しく装飾をした建物でした。
■南国建築ってずるい!!
バワの建築を駆け足で見てきたのですが。いやいや、本当に素敵でした。
で、も、ね…。
この構造ってば、常夏で冬が来ず、地震もやって来ない恵まれた地域の建築なんですよね。家の中なのにお風呂とトイレが外だったり。家の中なのに植物がそのまま生えていたり。寒くなることを意識しなくていいからできる作りなんですよね。
日本だと地震が来るから構造をしっかりさせないといけないし。一年のうち200日くらいは寒いから窓ガラスだってちゃんとしないと住めないし。建築基準法もあるし。色々な自然条件に耐えなければいけないから、ただお洒落さだけを追求すればいいってもんじゃないですよね。
まぁ、日本にも素敵な建築は色々ありますしね。
方向性と味わいが違うっていう事にしておきましょうか。
建築とはすなわち私達人間の営みそのものなので、その土地、その気候風土ごとに形をかえつつ存在するのだと思います。
そしてティラキタ買付け班。まだ、バワ建築の最高峰であるヘリタンス カンダラマに泊まってません。いつか、スリランカを再訪問した時に泊まってみたいなぁ…
とは言うものの…まだコロナが終わりきってない頃のスリランカは安くって、Jet Wing Lagoonが7000円で宿泊できましたが。今見たら一泊3万円かぁ…高すぎるぅぅぅぅぅ(涙)