オニオンもガーリックもなし。けれど満たされる─その名は「ISKCON」

■オニオンもガーリックもなし。けれど満たされる─その名は「ISKCON」
インドを旅していると、「食べること」と「祈ること」に関連性があることに気が付きます。シーク教徒の総本山アムリトサルのゴールデンテンプルで、毎日出される無料のランガル(無料食堂)はことさら有名で、ドキュメンタリー映画『聖者たちの食卓』にもなりました。ティラキタ買付班も、デリーのチャンドニチョウクのシーク教のお寺でご飯を頂いたことがあります。ランガルの様子は「デリーでも無料でご飯食べさせられ放題! シーク教徒の寺院グルドワラを訪問する」を読んでみてください。

お寺の料理はシンプルで美味しかったな
ISKCONはムンバイのチャトラパティ・シヴァージー国際空港のほど近く。数多くの映画スターたちが住むエリアの一角にあります。今回の話の場所はこちらです。
ちなみに、ISKCONとは、「国際クリシュナ意識協会(International Society for Krishna Consciousness)」の略で、1966年にニューヨークで設立されたヒンドゥー教の一派です。『バガヴァッド・ギーター』と『シュリーマド・バーガヴァタム』の教えを基本とし、ヒンドゥー教の最高神であるクリシュナへの信仰を世界に広めることを目的としています。 現代社会にクリシュナの教えを広め、寺院の建設、食料の配給、教育プログラムの提供などを行っているのだそうですよ。
■ISKCONの門をくぐると、そこは宗教世界
車を降り、ISKCONのゲートをくぐると、そこは宗教世界でした。本堂の方へ歩いていくと、中ではちょうど礼拝の真っ最中でした。「ハレ・ラマ、ハレ・クリシュナ」というマントラが鳴り響き、参拝者たちは右へ左へとリズミカルに体を揺らしながら踊っています。太鼓の音とチャイムの音が重なり、祈りと音楽が一体となった不思議な高揚感が場を覆っていました。

こういう場所に来ると、インドが資本主義ではなく、本当は宗教主義国家なんじゃないかって思うんだよな。しかし、写真がほとんど撮れないのが残念だ…
■レストラン「GOVINDA'S」へ
その本堂のすぐ横にあるのが、ISKCON直営のレストラン「GOVINDA’S(ゴービンダス)」。中に入ると、美しく整えられた店内にまず驚きます。床はピカピカ、テーブルの上には塵ひとつありません。
こちらがメニューです。ビリヤニ、ドークラ、グラブジャムンなど、いろいろな料理の名前が並んでいます。


これ、どれを選ぶの?

ここにあるものはぜんぶ食べられるのよ!750ルピー払っといたわ!

……え、全部!? そして、ネハちゃんありがとう!!

どうやらここは食べ放題のビュッフェ形式。テーブルの上には、ISKCONの教義に沿って調理された、肉・魚・卵・オニオン・ガーリック一切なしの完全ベジ料理がずらりと並んでいます。


ここにあるものは、お肉、魚はもちろん、オニオンもガーリックも入っていないのよ

オニオンとガーリックも? どうやって料理するの? そして美味しいの?

もちろん、とっても美味しいわよ。お腹いっぱいになるまで食べ放題だから楽しんでね!!
早速お皿に少しずつ取り分けて、いただきます。香ばしいチャパティ、ほんのり甘いカレー、優しいスパイスの効いたサブジ。
どの料理も「えっ、本当にオニオンもガーリックも入ってないの!?」と疑いたくなるくらい、味に深みがあります。スパイスの組み合わせと、豆や野菜の旨味の引き出し方が絶妙でした。

こちらに、全体の紹介ムービーを作りましたので、ぜひ見てみてくださいね。
インドでは人口の半分以上がベジタリアンなのですが、正直、インドのベジタリアンはとても美味しいです。インドには完全ベジの食文化がしっかり根づいているなと感じます。日本では「お肉抜きで」と言うと少し我慢のイメージがありますけど、肉や魚がなくても、食はこんなに多彩で満足できるんだと、改めて実感しました。
清潔さ、美味しさ、文化体験。
この3つがすべて揃っているのが、ISKCONの食堂のすごいところです。
そしてこちらは、「GOVINDA'S」の軽食部「GOVINDA'S Bistro」の様子。案内してくれたネハちゃんと、パラスさんがピザを食べています。もちろんこちらのピザも完全ベジ&オニオンとガーリック抜きです。手前のサンドイッチも、フライドポテトも、全部ISKCONの教義に厳格に従っています。


清潔だし、いろいろなものが食べらるし、そしてインドの文化にも触れられるし。
次に誰かと一緒にムンバイに来るときはまたここに来よう!
あなたの中の「食べる」という概念が、きっと少し変わるはずです。
■そしてムンバイ色々
ムンバイって、なかなか旅行者の方は来ない場所ですよね。20年間通ってて、日本人に出会ったのは1回だけです。でも、インドらしくて好きな街です。好きなので、ムンバイらしい写真たちを並べてみました。ムンバイはインフラの問題からか、日常的に給水車が街を廻っています。

インドと言えばオートリクシャ。デリーでは見かけなくなった伝統的な黒&黄色のオートリクシャが走っています。

インドの方々は写真が大好き! カメラを向けると大喜びでみんな写ってくれます

電線の上には鳩が鈴なりです。日本で鳩、あまり見なくなっちゃいましたけど、インドにはたくさんいます。

ひげもじゃで、ルドラクシャの数珠をつけて、白いクルタ。こんなおじさん、インドにしかいません!

ティラキタ買付班、こんな人混みの中をいつもてくてくと歩いています。
