チベットの仏画 – タンカの工房を見てきました!
チベット仏教では瞑想の手助けをする道具としてタンカと呼ばれる仏画を描き、その伝統を大変大切にしてきました。チベット仏教では瞑想するときにこの絵を自分の目の前に置き、半眼で眺めつつ図柄に書いてある宇宙を通して、この世の真実を知るのだと言われています。
タンカの図柄には色々なものがありますが、代表的なものにはチベットの高僧であるミラレパを描いたものや、千手観音などの神様を描いたもの、そしてヤントラやマンダラと呼ばれる図形を描いたものがあります。私たち日本人にとってはマンダラなどの図形を書いたものが人気ですが、本場ネパールやチベットでは神様を描いたものが人気なのだそう。
インドパパ、先日の買い付けでこのマンダラを作っている場所に行ってきました!
早速、どんな風にして作られているか紹介してみます!!
小さなタンカは私たちが画用紙に絵を描く様に描かれますが、大きなタンカは写真の様に枠に張り、引っ張って描かれます。 ここで描かれているのはダライラマのマンダラとしても知られるカーラチャクラマンダラ。カーラチャクラマンダラはこの様に絵として描かれる他、丁寧に描くのにあっという間に壊してしまう砂マンダラでも題材としてよく取り上げられています。 |
タンカを描くにはまず、下地を塗っていきます。仕上げの繊細さに比べて下地は結構アバウトな感じです。でも、この下地を描くのだって修行なしには出来ないのだとか。 タンカの図柄の良し悪しには、絵が曲がっていないか、円は真円か、構図が崩れていないかと言うベーシックな部分がありますが、その重要な基本を決めるのがこの下地の仕事なのですね。アバウトでありつつ、絵の完成度に影響のある重要な作業です。 |
カトマンズの郊外にあるタンカの工房では、ネパール在住のチベット人たちが小さな部屋の中で黙々と絵を描いていました。 「この人達は一日中ここにいるの?」と聞くと「もちろんさ」との答え。 一日中、神経を張り詰め、細い筆で神様を描いてゆく…チベット人達にとってはタンカの作成こそが修行であり、スピリチュアルな作業なのです。 |
タンカ制作の最終工程をやっている人もいました。金のタンカの上をガラスのペンでなぞっていました。ガラスのペンには絵の具は付いていません。ですが、強く描くことによって金色がなめらかに変化し美しく反射するようになります。時間をかけて絵の全面に施すことによって大変ゴージャスなタンカが出来上がるのです。
こうやって出来上がるタンカ。チベット人たちの汗と時間の結晶です。もちろんお値段が安いわけはありません。構図が曲がっていたりする安い観光客用のものは1万円くらいからありますが、美術品ですので上は天井知らず。カトマンドゥの市内にはタンカ屋さんが何軒もありますが、その中で一番素敵な絵を見つけて聞いたら…「300万円位でどう?」って言われました。300万円ってとんでもない金額です。高級車が買えてしまいますもんね。
でも、作るときの労力を考えるとそれだけ値段をつけるだけの理由はあるなって思います。今度からはもっとタンカをよく見て、その中に描かれている世界を理解しよう、なんて思うようになりました。