インドの聖なる秘湯ヴァシストに行ってきました!!
去年はヒマラヤの奥にあるシーク教のお寺があるマニカランに行ってきたのですが、今回はマナリのちょっと奥にあるヒンドゥー教の聖なる秘湯 ヴァシストに行ってきました。
ヴァシストは日本人のバックパッカーにも非常に人気の高いところで、その理由は熱い温泉がある事と、豊かな自然、ほどよい感じのツーリスト感が非常に高いレベルでミックスされているからでしょうか。
マナリやヴァシストのある谷は自然が非常に美しく、まさにこの世の天国とも言うべき所。谷の向こうに雪を残したヒマラヤがそびえ立ち、雨季の季節になると濃い緑が谷を覆います。
細い道は至る所にあり、ちょっと歩くと民族衣装を着たおばさんが牛を追っている姿があります。地元の人達が日常的に使っているような小道を歩いているだけで、その緑の美しさ、空気の美味しさ、ふと現われる渓流の流れの清冽さに心を奪われてしまいます。
お金を払ってトレッキングに行く必要もなく、ただ道を歩いているだけで心が満たされる場所はインドだけでなく、世界を探してもそう多くありません。
小道を歩いていると、所々にあるカフェがまたどれも個性的で素敵です。道の中にぽつんと出現する手作りのカフェの中では、インドの修行僧みたいな人が煙を燻らしていたりします。
ちょっと町の中に近づいてくるとツーリスト向けのレストランが多くありますが、古い建物の中で営業していたり、景色のいい所で営業していたりと、個性豊かでどれもが素敵です。
綺麗な景色や素敵なカフェだったら他にもあるでしょう。プシュカルにもジャイサルメールにもその土地独特のものですが、すてきなものがあります。ヴァシストを日本人パッカーの間で有名にしているのが、素敵な温泉の存在です。
火山国日本に住んでいる僕らにとっては温泉は珍しいものではありませんが、インドでは温泉は本当に特別なもの。広いインドの温泉を全部合わせても10ヶ所以下しかないと思います。
温泉がある場所は神聖なものです。珍しい現象なので神様が宿っていると人々は考え、インド人たちはそこに寺院を作ります。そして誰でも自由に入浴出来るようにしているのです。
寺院の中には猿の神様であるハヌマンが祀られていました。
いくつかある寺院のうちの一つ、一番大きなこの木造のゲートが温泉への道です。
近寄ってみると、非常に美しい木造の建築であることが判ります。木造建築は日本では全く珍しいものではありませんが、基本的にすべてが石で作られているインドでは、この様な建築は非常に珍しく価値があるものです。この建築の屋根に使われている平たい石は天然石で、平たく切り出せる特別な石なのだとか。伝統的なマナリ・クル地方の建築の多くはこの平たい石葺きなのだそうです
ヴァシストは日本人だけでなく、インド人にも人気の観光地なので、家族連れが遠くから遊びに来ています。
中に入ると、石造りの中庭が広がり、その一角に寺院が、そして温泉への入り口がありました。
マニカランの温泉は硫黄の香りがせず、あまり温泉っぽくないなと思っていたのですが、ここ、ヴァシストの温泉はほのかに硫黄の香りが漂います。温度は推定46度と熱すぎるくらい。温泉に慣れている我々日本人でも熱いと思う温度なので、外人には熱すぎるのでしょうね。一緒に居たギリシャ人はちょっと浸かっただけで退散してしまいました。泉質は多少アルカリ性を帯びていて、非常に良好な泉質です。
温泉に入るにはタオルと換えのパンツが必要です。インドでは人前で裸になる習慣がないので、パンツを履いて入浴するのです。更衣室などは特になく、衣類を脱いで、カバンに入れたり、壁のフックにかけたりしてから入浴します。
インドではどこでも泥棒に注意しなければなりませんが、ここヴァシストではかばんの中に貴重品が入っていても、目を離さなければまず、大丈夫でしょう。だって、聖なる場所で犯罪を犯すインド人はいませんからね。とは言ってもインドです。気を抜かないように…
入り方は日本の温泉と一緒。湯船に入る前にこの洗い場できちんと体を洗ってから入浴します。パンツを履いて入る以外は日本の温泉とあまり変わりありません。唯一違うのは、ここがヒンドゥー教の寺院であり、入浴は単純な入浴ではなく、聖なる宗教行為だということです。
インド人に言わせると、ここ、ヴァシストの温泉は聖なる効果があり、病気を治してくれるのだそうです。彼らは宗教的な人々なので聖なる物とすぐに結びつけたがりますが、そうでなくても、温泉には健康にいい効果がありますものね。
マナリやヴァシストがあるヒマーチャル・プラデーシュ地方の人は、デリーやバラナシなどのいわゆるインドと比べると、温和で親切な人が多いようです。なにもかも過剰なインドに疲れたら、ぜひ、マナリを訪れてみてください。きっと心の底からほっとすると思いますよ。