セブンメタル シンギングボウルの真実
ここ最近、「ティラキタのシンギングボウルは7メタルですか?」というお電話をいただくことが多くなりました。
その際は「7メタルと言いたいのですが、多分違います。」とお返事させていただいております。
セブンメタルのシンギングボウルの話、一番最初に聞いたのは2008年頃の事だったと思います。
ネパールのあるシンギングボウル屋さんが「うちのシンギングボウルは7メタルだから音がいい」と言うのです。
「7メタルって何が入っているの?」と聞くと、
「まず、金だろ、それから銀、それから銅に鉄、水銀、錫と、鉛かな…」
「マジか! 金が入ってるんだ!」
「そうさ、だから高いし、音がいいんだよ」
「へーー、凄いね!!」
でも、よく考えてみるとどこか変です。シンギングボウルに金を使ったら、高くなりすぎてしまうのでは? 水銀を使ったら有毒なんでは? 鉛も有毒だよね。それっていいの? 単純な疑問でした。
別のシンギングボウルの工房に行ってその話を聞いてみた所、
「それは騙されているんだよ。7メタルは単純にセールスのための売り文句だよ」との返事。
また別のシンギングボウルの工房に行った所、
「完全に嘘じゃないけど…金属の配合がとても難しいんだ」との返事
他の人に聞いた所
「カトマンズではなくて、古都パタンにそういうものを作っている工房があるらしい」
また、他の人に聞いた所、
「欲しいんだったら、俺に金を預けてみなよ。探してきてあげるから」
セブンメタルのシンギングボウルを巡る話は人に聞くたびにだんだんと都市伝説の様相を呈して来ました。噂と、虚実が入り乱れ、誰に聞いても信頼できそうな答えが返ってきません。
単純に商売的な観点で見たら僕達も「ティラキタで売っているシンギングボウルはセブンメタルです。金も入ってます。高級品でいい音がします」と言ってしまえば良いのでしょう。作っているネパール人がそう言うのだから、それで良いはずです。
お客様からセブンメタル・シンギングボウルの問い合わせを受けてから、日本でシンギングボウルを売っているサイトを調べてみると…幾つものお店がセブンメタルだと言って売っています。高級品の7メタルだから、音の伸びや響きがいいと書いてあります(2013年6月現在。このブログを読んで、お店の人が説明を変えてしまう可能性があります)
どう見ても、扱っているシンギングボウルは同じに見えますので、じゃあ、僕達も書かなきゃいけないような気になってきます。そうしないと売れないような気になってきます。実際にお客様も気にしているようですし、書かないと損です。
でも、セブンメタルのシンギングボウルの虚実はどうなんだろう…?
そういう時は、自分たちが習った常識で考えるのが一番です。
まず、金属の観点から考えてみましょう。セブンメタルは金、それから銀、銅に鉄、水銀、錫と、鉛が使われているそうです。さて、わざわざ高い金をシンギングボウルに入れるでしょうか? 銀もそうですよね。そのままで売ったほうが高く売れる気がします。水銀と鉛は人体に有害です。そもそも水銀は常温で液体ですので、どうやって金属の中に混入するのでしょうか?
次は金属の配合の難しさです。ステンレスと言う馴染み深い金属があります。ステンレスは鉄を主成分とし、クロムを10.5%以上含む、さびにくい合金ですが、その配合により、性質は大きく変わります。
ステンレスは混合比率により、オーステナイト系ステンレスとか、フェライトであるとか、マルテンサイト系ステンレスと呼ばれる別の金属になります。オーステナイト系ステンレス鋼は非磁性ですが、フェライトになると磁性を備えます。マルテンサイト系ステンレス鋼は強度と共に耐摩擦性が高いが耐蝕性が少し劣ります。
ティラキタでは以前、ガムランの工房に行って来ましたが、金属の配合の比率は大変大雑把で、あまりきちんと管理されていませんでした。ネパールのシンギングボウル工房もこれと一緒ですので、7つもの金属をきちんと混合し、品質を保てているとは全く思えません。
また楽器としての性質です。シンギングボウルに向いた金属は固めの金属が良く、柔らかい金属だと音が甘くなってしまったり、シャープな音が出ません。これはシンギングボウルだからとそうと言う訳でなく、物理と音の性質によるものです。
もしセブンメタルのシンギングボウルに鉛や水銀、そして柔らかい金や銀が入っているのであれば金属が柔らかくなり、いい音が出ないのではないでしょうか?
ネパールで聞いたセブンメタルのシンギングボウルの噂は、物理の常識から考えていくと、明らかにおかしい所がたくさんあり、幾ら営業的にプラスであっても、いくら工房のネパール人がセブンメタルだと言っても、当店ではまったく受け入れられないものでした。
常識から判断していった結果、セブンメタルの噂は都市伝説で、売るためのセールストークであると結論づけざるを得ませんでした。「当店のシンギングボウルはセブンメタルで、空間を浄化する力があり…」とか、他のシンギングボウルのサイトには書いてありますが、いくら売りたいからって、お客様に嘘をつくわけにはいきませんもん。
そもそも、この記事もなんだか説明くさくって、最初は書く気がなかったのですが…「書かないとダメですよ。うちがセブンメタルって書かない理由をお客様は判ってくれませんよ。嘘でもなんでも、セブンメタルの方が良い商品な気がしますもん。説明するのは僕達の責任ですよ」と助言をもらい、書くことになりました。この記事を書いている時に英語のシンギングボウルのウィキペディアを見てみたら「7メタルは噂であり、証拠はない」ってしっかり書いてありました。
シンギングボウルは楽器なのだから、いい音が出れば良いのです。
ティラキタのシンギングボウルは楽器としての使い勝手を考え、シンプルでいい音のものを選んで持ってきています。
納得して買って頂けるように、一品ごとにサンプルサウンドを付けてあります。
「嘘をつかない正直な商売がしたい」
ティラキタはそう思いながらお店をやっています。この記事を書いた後に、実際にシンギングボウルの工房に行ってくる機会がありましたので、レポートを書かせて頂きました。ぜひ、合わせてお読み下さいませ
セブンメタルのシンギングボウルの話、一番最初に聞いたのは2008年頃の事だったと思います。
ネパールのあるシンギングボウル屋さんが「うちのシンギングボウルは7メタルだから音がいい」と言うのです。
「7メタルって何が入っているの?」と聞くと、
「まず、金だろ、それから銀、それから銅に鉄、水銀、錫と、鉛かな…」
「マジか! 金が入ってるんだ!」
「そうさ、だから高いし、音がいいんだよ」
「へーー、凄いね!!」
でも、よく考えてみるとどこか変です。シンギングボウルに金を使ったら、高くなりすぎてしまうのでは? 水銀を使ったら有毒なんでは? 鉛も有毒だよね。それっていいの? 単純な疑問でした。
別のシンギングボウルの工房に行ってその話を聞いてみた所、
「それは騙されているんだよ。7メタルは単純にセールスのための売り文句だよ」との返事。
また別のシンギングボウルの工房に行った所、
「完全に嘘じゃないけど…金属の配合がとても難しいんだ」との返事
他の人に聞いた所
「カトマンズではなくて、古都パタンにそういうものを作っている工房があるらしい」
また、他の人に聞いた所、
「欲しいんだったら、俺に金を預けてみなよ。探してきてあげるから」
セブンメタルのシンギングボウルを巡る話は人に聞くたびにだんだんと都市伝説の様相を呈して来ました。噂と、虚実が入り乱れ、誰に聞いても信頼できそうな答えが返ってきません。
単純に商売的な観点で見たら僕達も「ティラキタで売っているシンギングボウルはセブンメタルです。金も入ってます。高級品でいい音がします」と言ってしまえば良いのでしょう。作っているネパール人がそう言うのだから、それで良いはずです。
お客様からセブンメタル・シンギングボウルの問い合わせを受けてから、日本でシンギングボウルを売っているサイトを調べてみると…幾つものお店がセブンメタルだと言って売っています。高級品の7メタルだから、音の伸びや響きがいいと書いてあります(2013年6月現在。このブログを読んで、お店の人が説明を変えてしまう可能性があります)
どう見ても、扱っているシンギングボウルは同じに見えますので、じゃあ、僕達も書かなきゃいけないような気になってきます。そうしないと売れないような気になってきます。実際にお客様も気にしているようですし、書かないと損です。
でも、セブンメタルのシンギングボウルの虚実はどうなんだろう…?
そういう時は、自分たちが習った常識で考えるのが一番です。
まず、金属の観点から考えてみましょう。セブンメタルは金、それから銀、銅に鉄、水銀、錫と、鉛が使われているそうです。さて、わざわざ高い金をシンギングボウルに入れるでしょうか? 銀もそうですよね。そのままで売ったほうが高く売れる気がします。水銀と鉛は人体に有害です。そもそも水銀は常温で液体ですので、どうやって金属の中に混入するのでしょうか?
次は金属の配合の難しさです。ステンレスと言う馴染み深い金属があります。ステンレスは鉄を主成分とし、クロムを10.5%以上含む、さびにくい合金ですが、その配合により、性質は大きく変わります。
ステンレスは混合比率により、オーステナイト系ステンレスとか、フェライトであるとか、マルテンサイト系ステンレスと呼ばれる別の金属になります。オーステナイト系ステンレス鋼は非磁性ですが、フェライトになると磁性を備えます。マルテンサイト系ステンレス鋼は強度と共に耐摩擦性が高いが耐蝕性が少し劣ります。
ティラキタでは以前、ガムランの工房に行って来ましたが、金属の配合の比率は大変大雑把で、あまりきちんと管理されていませんでした。ネパールのシンギングボウル工房もこれと一緒ですので、7つもの金属をきちんと混合し、品質を保てているとは全く思えません。
また楽器としての性質です。シンギングボウルに向いた金属は固めの金属が良く、柔らかい金属だと音が甘くなってしまったり、シャープな音が出ません。これはシンギングボウルだからとそうと言う訳でなく、物理と音の性質によるものです。
もしセブンメタルのシンギングボウルに鉛や水銀、そして柔らかい金や銀が入っているのであれば金属が柔らかくなり、いい音が出ないのではないでしょうか?
ネパールで聞いたセブンメタルのシンギングボウルの噂は、物理の常識から考えていくと、明らかにおかしい所がたくさんあり、幾ら営業的にプラスであっても、いくら工房のネパール人がセブンメタルだと言っても、当店ではまったく受け入れられないものでした。
常識から判断していった結果、セブンメタルの噂は都市伝説で、売るためのセールストークであると結論づけざるを得ませんでした。「当店のシンギングボウルはセブンメタルで、空間を浄化する力があり…」とか、他のシンギングボウルのサイトには書いてありますが、いくら売りたいからって、お客様に嘘をつくわけにはいきませんもん。
そもそも、この記事もなんだか説明くさくって、最初は書く気がなかったのですが…「書かないとダメですよ。うちがセブンメタルって書かない理由をお客様は判ってくれませんよ。嘘でもなんでも、セブンメタルの方が良い商品な気がしますもん。説明するのは僕達の責任ですよ」と助言をもらい、書くことになりました。この記事を書いている時に英語のシンギングボウルのウィキペディアを見てみたら「7メタルは噂であり、証拠はない」ってしっかり書いてありました。
シンギングボウルは楽器なのだから、いい音が出れば良いのです。
ティラキタのシンギングボウルは楽器としての使い勝手を考え、シンプルでいい音のものを選んで持ってきています。
納得して買って頂けるように、一品ごとにサンプルサウンドを付けてあります。
「嘘をつかない正直な商売がしたい」
ティラキタはそう思いながらお店をやっています。この記事を書いた後に、実際にシンギングボウルの工房に行ってくる機会がありましたので、レポートを書かせて頂きました。ぜひ、合わせてお読み下さいませ