車を買うともれなく鶏が生け贄に-インドヒマラヤ地方の伝統
インドは広い国です。経済成長に湧くデリーやムンバイのような場所もありますが、まだまだ昔ながらの考えが色濃く残っている場所もあります。
今回のブログでは、マナリに住んでいるハリー君の弟が、車を購入してきた時の話を元に、インドに昔から残る神様に動物を捧げる習慣を紹介してみたいと思います。
ハリーくんの車といえばこちらのスズキ・マルチのジープなのですが、これがまたすごい状態の車で、走るとギシギシ言うし、扉は開かないし、色々な所から配線はでているしと、インドのオンボロを詰め込んだかのような一台でした。日本だったら即廃車になるレベルの一台です。
それがある日…
と言い始めたのです。聞く所によれば車はオンラインで発見したらしく、デリーの中古車屋さんから買ったのだそうです。ハリー君が住んでいるマナリからデリーまでは片道500Km以上ありますが、往復2日かけて中古車を買いに行くのだそう。
インドの田舎では中古車を買うのも大きな仕事です。
インドの各都市にはご本尊とも言うべきお寺があるのですが、マナリにはハディンバテンプルと呼ばれる古来から続く由緒正しいお寺があります。
境内はこんな感じで…
メインの建物はこちら
いつも参拝客で賑わっています。
そこまで大きな寺院ではないですが、ゆかりある、由緒正しい感じが伝わってきます。インドの寺院にしては珍しく、木で作られているのも暖かい感じがして素敵です。
ハリーくんによれば、新車を購入したら、安全を祈願するためにハディンバに生贄を捧げなければいけないのだとか。これはこの地方で昔から行われてきたことで、伝統的な儀式だと言うのです。
犠牲を捧げるのは夜が良いらしく、ハリーくん達、どこからかニワトリを買ってきて、真夜中の、人が誰もいないハディンバテンプルに行って犠牲を捧げていました。
デリーでお世話になっているドグラさんにも聞いてみました
マナリからちょっと南に行った、クルの街でも「動物を犠牲に捧げるのをやめよう」という大きな看板を見ましたが、こんなに大きな看板を作らなければいけないと言う事は、実際に行われてて、人々がやめることができないという事を意味しているのでしょう。
という口実で、みんなでヤギを買いに出かけました。ヤギはマナリのバス停の近くの羊飼いから直接買うことができるのだと言う事でみんなで行きます。一頭5000Rs(8000円くらい)とインドでも結構いい値段がします。
連れてこられたヤギちゃん…黒毛の結構大きなヤギでした。嫌がる所を無理やり車に載せられ…
ハディンバテンプルの駐車場で降ろされ、境内を歩かされます。
ヤギはハディンバテンプルの横の暗がりに連れ込まれ、体中に水をかけ、ヤギの身体が震えるのを待ちます。ヤギの体がブルブル言わないと、神様が降りてきたことにならず、犠牲を捧げても意味がないそうなのそうです。
ヤギの体が震えたのを見届けると、大きな刀で山羊の頭を一刀両断。切ったところは撮影しちゃダメ!とのことで、僕らは、後に残った血を撮影。
Photo by Munehide Ida
ヤギを生贄に捧げた後はどうなるかというと…両足を持ちながらバラバラに解体され…
このようなお肉になり…
みんなで楽しく料理して…
最終的には楽しい酒宴になりました!!
なるほどね、そりゃ、生贄を捧げたがるよ!!!
生贄を捧げるっていう名目でみんなで美味しいご変食べたいだけの話だもん!!
Photo by Munehide Ida
犠牲を捧げるという事で、最初は「なんか野蛮な気がする」とか「政府が禁止するのもの当然」と思っていましたが、実際に彼らと一緒に全部を体験してみると想像と現実はやはり違うものでした。
彼らが犠牲に捧げた動物は全部ちゃんと食べているのですよね。僕らがお肉を食べるのと何ら変わらないということが判ってなんだかちょっとホッとしたものです。
え? お肉の味はどうだったかって?
フレッシュなヤギ肉で作ったマトンカレーは、野趣あふれて最高に美味しかったですよ。
今回のブログでは、マナリに住んでいるハリー君の弟が、車を購入してきた時の話を元に、インドに昔から残る神様に動物を捧げる習慣を紹介してみたいと思います。
■ハリーくんの弟が車を買ってきた
話はハリーくんの弟が車を買ってきた時に始まりました。ハリーくんの車といえばこちらのスズキ・マルチのジープなのですが、これがまたすごい状態の車で、走るとギシギシ言うし、扉は開かないし、色々な所から配線はでているしと、インドのオンボロを詰め込んだかのような一台でした。日本だったら即廃車になるレベルの一台です。
それがある日…
俺の弟が車を買う事になったんだよ | |
へ??。新車? 中古車? | |
中古車だよ。いいクルマを発見したから、これからデリーに行ってこなきゃ!! |
と言い始めたのです。聞く所によれば車はオンラインで発見したらしく、デリーの中古車屋さんから買ったのだそうです。ハリー君が住んでいるマナリからデリーまでは片道500Km以上ありますが、往復2日かけて中古車を買いに行くのだそう。
インドの田舎では中古車を買うのも大きな仕事です。
■マナリの山奥にあるハディンバテンプル
無事に帰ってきたハリー君。新車を前にゴキゲンです。今日は車がやってきたから、色々忙しくなるぞ | |
どういう事? | |
まず、鶏を買ってくる。夜が更けたらハディンバテンプルに行って、その鶏を生贄に捧げるんだ |
インドの各都市にはご本尊とも言うべきお寺があるのですが、マナリにはハディンバテンプルと呼ばれる古来から続く由緒正しいお寺があります。
境内はこんな感じで…
メインの建物はこちら
いつも参拝客で賑わっています。
そこまで大きな寺院ではないですが、ゆかりある、由緒正しい感じが伝わってきます。インドの寺院にしては珍しく、木で作られているのも暖かい感じがして素敵です。
ハリーくんによれば、新車を購入したら、安全を祈願するためにハディンバに生贄を捧げなければいけないのだとか。これはこの地方で昔から行われてきたことで、伝統的な儀式だと言うのです。
犠牲を捧げるのは夜が良いらしく、ハリーくん達、どこからかニワトリを買ってきて、真夜中の、人が誰もいないハディンバテンプルに行って犠牲を捧げていました。
ねえ、なんで夜にやるの? | |
ハディンバテンプルの正面には、人々が犠牲を捧げないようにする監視カメラがあって、それに見られちゃいけないんだ | |
へ??。監視カメラね… |
■生きている動物を犠牲にするのは既に違法らしい
後になって知ったのですが、生きている動物を犠牲にするのは、昔は問題なかったのだそうですが、数年前に違法になったのだそう。でも、違法になったとしても、人々はやっぱり古来から続く習慣を捨てることができないのだと言うのです。デリーでお世話になっているドグラさんにも聞いてみました
ねえ、ドグラさん。マナリでハリーが車を買った時に、鶏を生贄に捧げていたんだけど… | |
ヒマーチャル・プラデーシュ州の人はみんなやるよ | |
今は、違法なんでしょ? | |
違法なんだけど、昔からのことだから、やらないと安心できないんだよ。みんなやってる事だよ |
マナリからちょっと南に行った、クルの街でも「動物を犠牲に捧げるのをやめよう」という大きな看板を見ましたが、こんなに大きな看板を作らなければいけないと言う事は、実際に行われてて、人々がやめることができないという事を意味しているのでしょう。
■事あるごとに神様に犠牲を捧げる
その後、ハリーくんたちと行動していたら、彼らが事あるごとに口実を作って神様に動物を捧げたがることに気が付きました。今日は俺達の成功を祝ってヤギを生け贄に捧げるぞ | |
え、ヤギ!! 今度はヤギ? | |
そうだ。俺たち、成功しただろう? だから、ハディンバにお礼を言わなければいけないのだ |
という口実で、みんなでヤギを買いに出かけました。ヤギはマナリのバス停の近くの羊飼いから直接買うことができるのだと言う事でみんなで行きます。一頭5000Rs(8000円くらい)とインドでも結構いい値段がします。
連れてこられたヤギちゃん…黒毛の結構大きなヤギでした。嫌がる所を無理やり車に載せられ…
ハディンバテンプルの駐車場で降ろされ、境内を歩かされます。
ヤギはハディンバテンプルの横の暗がりに連れ込まれ、体中に水をかけ、ヤギの身体が震えるのを待ちます。ヤギの体がブルブル言わないと、神様が降りてきたことにならず、犠牲を捧げても意味がないそうなのそうです。
ヤギの体が震えたのを見届けると、大きな刀で山羊の頭を一刀両断。切ったところは撮影しちゃダメ!とのことで、僕らは、後に残った血を撮影。
Photo by Munehide Ida
ヤギを生贄に捧げた後はどうなるかというと…両足を持ちながらバラバラに解体され…
このようなお肉になり…
みんなで楽しく料理して…
最終的には楽しい酒宴になりました!!
なるほどね、そりゃ、生贄を捧げたがるよ!!!
生贄を捧げるっていう名目でみんなで美味しいご変食べたいだけの話だもん!!
Photo by Munehide Ida
犠牲を捧げるという事で、最初は「なんか野蛮な気がする」とか「政府が禁止するのもの当然」と思っていましたが、実際に彼らと一緒に全部を体験してみると想像と現実はやはり違うものでした。
彼らが犠牲に捧げた動物は全部ちゃんと食べているのですよね。僕らがお肉を食べるのと何ら変わらないということが判ってなんだかちょっとホッとしたものです。
え? お肉の味はどうだったかって?
フレッシュなヤギ肉で作ったマトンカレーは、野趣あふれて最高に美味しかったですよ。
いつも楽しみに読ませて頂いています。
ウッタラ・プラデシュ州の地図で白いエリアへ行ったときのこと。明日から麦の刈り入れ。女神様にお礼に行くという。誘われたのですが、既にかなり高い高度の部落から見える更に峻険な山の頂に白くぽつんと見える!遠慮しました。その夕方、2人の男がそれぞれ生け贄の山羊の前足と後ろ足を持ってたき火で焼いています。その夜は部落に内蔵の分配があり内蔵カレー、翌日はマトンカレーでした。女達が次々に危なっかしい道を麦の束を頭に乗せて下りてきます。40キロでした!懐かしい!!
いつも読んでいただいて、ありがとうございます!!
インドの田舎に行くと、心に残る素敵な経験が待っていますよね。それは日本では決して味わえないけど、僕ら人類が昔から普通に営みとして行ってきたはずのことが多いと思います。日本では普通じゃないけど、人類としては普通の事に気がつけるのも、インドの良さかなと思います。
焚き火の焦げ味がついたマトンカレーはとっても美味しそうですね。想像するだけでよだれが出ます
そうか、今では一応違法になったんですね。昔は普通に見られた光景でしたが。
一方ウダイプルにはアニマルエイドという団体があって、街中の動物達のレスキュー活動をしています。交通事故や虐待、病気などで苦しんでいる動物達を保護していますよ。
ところでヤギもマトンカレー? ヤギはよく食べましたが、普普通にゴートって言ってた気がします…。ヤギの内蔵で一杯やると美味しいですよね! 水牛の肺もまた食べたいなー