一店に345種類!! 無駄にメニューの多いインドのレストランの不思議
■メニューを絞ると繁盛する
レストランを経営する時、成功の秘訣は「メニューを少なくする」事です。「え? メニューを少なくするの? 逆じゃないの?」と思いますが、実際の所、レストランはメニューが少ないほど繁盛する確率が高くなります。
ご飯を食べに行く時、自分が食べられる料理は一つだけですよね? いくらメニューがあっても、同時に2つの料理を食べることはできないので、そのお店で一番いい料理を食べたいとみんなが思います。
だから繁盛店は、ラーメンだったらラーメン、とんかつだったらとんかつと、自分たちが自信を持ってお客様に出せる料理だけを徹底的に磨き上げ、他のお店では出せない特別な一品にします。
そのお店だけでしか食べられないから、みんな足を運んでくれます。
そのお店が特別だから行く価値があります。
これって、本当に当たり前のことです。
よく考えてみると、繁盛店ってみんなそうですよね?
せっかくの空腹時に、メニューを埋めようとして掲載されている様な、どうでもいい料理なんて食べたくありません。メニューが少ないと繁盛するというセオリーは、どっからどう考えても論理的。だからどの国でも同じだと思っていましたが…
でも、不思議の国インドでは逆を行くのが成功の秘訣の様です。
なんででしょうか?
そんな不思議なインドのレストラン事情をレポートします。
■無駄にメニューが多い国
メニューが多いとは言いますが、どんな感じなのか、まずは実際に見てみましょう。僕がしばしば行くムンバイのスジャータレストランを例に取ってみます。スジャータレストランはムンバイでも乗降客が非常に多いダダール駅の北側にあるお店で、席数は30席ほど。中くらいの大きさのお店です。
中に入って早速メニューを見てみます。
1ページ目には42種類のメニューが乗っています
2ページ目には36種類
3ページ目には41種類
4ページ目には32種類
5ページ目には40種類
6ページ目には41種類
7ページ目には40種類
8ページ目には37種類
そしてやっとこ最後!
最後のページには36種類
合計すると、345種類!!!!
一軒のレストランに345種類のメニューって…どんだけ?
でも、その中から一回に注文できるのは2?3種類だけなのに?
そんなに要らないよ!!
半年毎日一回通っても全メニューを制覇できないよ!!
■ルームサービスでもメニュー多すぎ!
一軒だけだと「いやいや、そんな事言って。メニューの多いレストラン探したんでしょ?」って言われそうなので、次はホテルのルームサービスを見てみたいと思います。ムンバイのクロフォードマーケット近くにあるHOTEL BENGALのメニューです。
こちらはちょっと控えめにA4のメニューですが…
嫌がらせな程の文字の小ささでメニューが書かれています。
メニューの数を数えてみると…表面が112種類
そして裏面には152種類!!!
合計で264種類の料理が掲載されていました。
何回も言うけど、この中から一回にオーダーできるのって多くても2?3種類だけだよ!!!
■場所が変わってもやっぱり多い
「ムンバイだから多いのでは?」と思って、北インドのマナリでレストランのメニューを見ていた所、やはりここでも、メニューが無駄に多い事を発見!!
こんな牧歌的な風景の中にレストランがありました
1ページめは43種類
2ページめは42種類
3ページめは51種類
もう数えるのがイヤになってきましたが、続けます。
4ページめは44種類
5ページめは27種類
6ページめは53種類
7ページめは34種類
合計で294種類!!
こんなメニューの中から選ぶのムリだよ…
選ぶ前に、紹介するだけでゲンナリです。
そもそも、お前たちメニューに書くだけ書いて、材料持ってないだろ!!
■メニューが多い背景とは
実は、インドでメニューがこれだけ膨れ上がるのには彼らなりの事情があります。一番の大きな事情は宗教的な理由により、食べられるものがみんな違うことです。ヒンドゥー教の人は牛を食べません。それだけでなく、人によってはお肉全般を食べなかったり、魚を食べなかったりします。卵はOKという人もいるし、牛乳もダメという人もいて、本当に様々です。
イスラム教の人は豚を食べません。もちろん豚の加工品もダメです。お肉はイスラム教の教義に基づいて正式な方法で屠畜された肉しか口にすることは出来ません。
ジャイナ教の人はお肉だけでなく、地面の下に出来る作物、例えばじゃがいも、玉ねぎ、にんにく等を食べません。
シーク教の人達はほとんどの物を食べることができます。
この様に、インドには様々な宗教の人達がいて、食べ物に対して様々な制約があるので、必然的にメニューが多くなりがちです。ドーサ一つとっても、通常のドーサに、チーズを載せたドーサに、ジャイナ教用のドーサに…とあっという間にメニューの数が増えていきます。
メニューが多い問題をインド人の友だちに聞いてみたら…
「全員が好きな物を食べられるからいいのよ」
「全員でレストランに行けるでしょ?」
との返事。なるほど。一個一個の料理に魂がこもっていなくとも、全員が安心してご飯を食べられるというのは一つの大きなメリットなのですね。
■人と違うのが大好きなお国柄
基本的な考え方の違いというのもあるのだと思います。
インド人はバリエーションが大好きな人達。
例えば1枚のワンピースがあるとして、日本だったらそこまでバリエーションはありません。通常4から5種類。あっても10種類くらいでしょうか。でもインドでは無限とも思える数のバリエーションが出てきます。
「俺は凄いバリエーションを持っている! だから買え!」
とはインドで買い物をしていると毎日のように言われる言葉です。そんな言葉、日本で生まれてから40年、一度だって言われた記憶がありません。日本人にとってバリエーションは面倒なだけですが、インド人にとっては重要ポイントなのだろうなと思います。
これはお香屋さんの棚ですが…一つの棚にざっと100種類以上はありそうです。
これは箱を開ける毎に、違う色のサリーが出てくるサリー問屋。気が狂いそうです。
こんなにバリエーション、要らないよ!!
もっとシンプルにしようよ!!!
日本人としては心から叫びたくなりますが、彼らはそれが大好きなんですよね。
その結果、ティラキタには毎回毎回、別の色の商品達がやってきます。
一度きちんと写真を撮ってHPを作っても、次の商品がやってくると全然違うものがやって来るのでまた最初からやり直し。
「もうバリエーションいらないから!!」
「お願いだから同じものを送ってよ!!!」
と何度言ったかわかりませんが、
僕らの意見が聞き入れられた事はありません。
その結果、ティラキタはこういう商品ページになっちゃうのです…
40個の商品があったら、40枚写真撮るって、本当に苦行以外のなにものでもありませんYo!!
本当に面白いですよね!
絶対メニュー全部作れないですよね!
以前大人数で行ったレストランで、みんな一気にいろいろ注文して、全然出てこないから厨房見に行ったら店員がみんなで相談してました^^
ほんと笑えるけど・・・^^
私も今年1月にプッタパルティに行きましたが、やはり、レストランではメニューが多く、でも、結局、焼きそばとか、ピザ、チャーハンの様なものを食べていました。ただ、時々、頼んだものと違うものが出来ていたりして、キチンと「これ、違う」と抗議しないとそのまま食べることになりますので、注意が必要だと思いました。反対にお祭りの日だったりすると、プラサード(神様のお下がり)といって、一品無料で戴けることもあり、神様に対しては、とても尊敬の気持ちの強い国だと思いました。
私も今年1月にプッタパルティに行ってきましたが、やはりレストランではメニューがとても豊富で一通り見るだけでも時間がかかりました。でも頼んだものと違うものが出てくるときがたまにあり、こちらがきちんと「これ、違う!」と抗議しないと、スルーされて、それを食べることになりますので、要注意だと思いました。ただ、お祭りの日だったりすると、プラサード(神様のお下がり)といって無料で一品戴けたのはうれしかったです。神様に対しては、大変強い思いのある国だと思いました。
本当にレストランはメニュー多いです。たまに頼んだものと違うものが出て来ても、何も言わなければ、スルーされちゃいます。きちんと「これではない」と言う事が必要です。でも、お祭りの日とかになると、お店の好意で一品、プラサード(神様のお下がり)として無料で戴けることもあり、本当に神様への思いの強い国だと思いました。