素朴でおしゃれなインドのウッドブロック[インドモノ辞典]
■布の王国インド
インドは布の国です。ティラキタ買付班はインドが世界で一番の布の国であると思っています。
インドの人々は古来から自分たちの生活のために布を織り、染めてきました。広いインドですから、その染めや織り方は地域によって様々です。インドの各藩王国ごとに、各地域ごとに、各宗教ごとに。ユニークなデザインを彼らは連綿と紡いできました。
有名な布をちょっと地図にしてみましたが、代表的なものを挙げるだけでインド全域に布の産地が広がっていることがわかります。
布の作り方は様々ですが、数ある製法の中でも一番多く使われているのが、木のスタンプをペタペタと手で押していくウッドブロック法です。
ウッドブロック法というと、何やら難しそうな響きがありますが、そんな事は全くありません。木のハンコを延々と押していくだけ!!という非常にシンプルで原始的な方法です。だからこそ、インド全域で普遍的に使われている方法になったのでしょう。
■ウッドブロックは手作りで
ウッドブロックで布をプリントするには、一番最初にスタンプを彫らなければいけません。
トレシングペーパーに下絵を描きます。下絵をポンチでコツコツと叩き、木に絵を転写していきます。白く塗られた木に上にパターンが奇麗に写っています。これだけでも凄く細かい作業ですよね。でも、これはほんの始まり。これからもっともっと膨大な作業が待っています。
白い木の上にデザインが転写されました。
それを基にコツコツと彫っていきます。
お兄さんが写された線に沿って木を彫っています。私たち日本人が木を彫るというと「まず彫刻刀が用途別に10本欲しい」とか言いますが、インド人はセンターポンチみたいな工具一本だけで掘り進めます。
きちんとしたトンカチも使わず、木の棒でコツコツ叩いて作ります。それでも、見る見るうちに模様が彫り進められていくのは凄い!!の一言。この写真に出ている大きさのウッドブロックを彫り上げるのに大体1週間くらいかかるのだとか…
■そして延々と押していく
そして出来上がったスタンプを布に延々と押していくと、私達の知っている布が出来上がります。これはサリーを作っているところですが、1枚の布に何人もの人の手で、別々のデザインをスタンプしています。
一枚の布に何回スタンプしたら、布が完成するのでしょうか…
気が遠くなりそうです。
■おしゃれなウッドブロックとその製品たち
こんなに長い時間をかけて作られるウッドブロックとその製品たち。
布の雰囲気も、木の肌触りも素敵ですし、デザインも素敵です。
もちろん布として。インドの砂漠地帯からやってくるアジュラック布もウッドブロックで作られています。
布を小さくカットしたら、素敵なハンカチができました。
ウッドブロックで素敵なテーブルクロスも作れます。
ウッドブロックでかわいいポーチも作れます。
用途そのままにスタンプとして使っても、お部屋のデコレーションとしてもいいですよね。
布をプリントするための道具だったウッドブロックは、いつしかおしゃれなアイテムとして私達の元にやってくるようになりました。ウッドブロックのキャンドルホルダーは、白いマンダラデザインに模様が映えておしゃれです。
ウッドブロックの布で作ったクッションカバーも素敵です
一つの木から彫り上げられた木のハンコで作られるかわいいインドの伝統工芸品。いくつあってもいいものです。
ぜひ、お気に入りを探してみてください。
いつも更新楽しみにしています。内容が面白すぎてかなり過去まで遡って、読んで、読んで、読みまくって明け方だったことがあります。
ありがとうございます!!!!
そう言っていただけて本当に嬉しいです。
これからもできるだけ素敵な記事をお届けできるようにしていきますね!!
頑張らなきゃ!!
こんばんは。
ウッドブロックプリント、魅力的ですよね。
工程を見られて嬉しかったです。
日本だとおそろしく精巧に進化してしまう気がしますが、
それだけにまた伝承も難しいし、高価な物になってしまう。
どちらがいいということではないけれど、
手仕事が素朴なまま受け継がれているのは素敵だと思います。
読んで頂き、ありがとうございます。
>日本だとおそろしく精巧に進化してしまう気がします
全くそのとおりでして。そのような織物が奄美大島にあります。
大島紬という素晴らしい織物なのですが、想像を絶する工程で現代でも制作しています。
>手仕事が素朴なまま受け継がれているのは素敵
そうですね。手仕事の味ってありますもんね。
でも、精巧なのも私達も好きですよ。
どっちがいいとというのではたしかにないですよね。