時間って守らなければいけないもの? 約束の時間に遅れるのが普通のゴア時間

2020年2月に、インドのゴアで音楽イベントを開催してきました。2週間の滞在期間の間に、ヒンドゥー教のお寺でのコンサート等を含めて、数々のイベントを開催した際に、現地のPA会社にスピーカーを依頼したのです。

イベントをオーガナイズしていく中で、スピーカー屋さんをはじめ、ゴア在住の人々と様々なやり取りをしてきたのですが、その顛末が、あまりにもドタバタだったので、ちょっと長い話になりますが、詳しく書いてみたいと思います。


■まずはスピーカー屋さんの連絡先をゲットする
ゴアはパーティのメッカなので、スピーカー屋さんは選びたい放題です。ピンからキリまで、いろいろでした。世界最高峰のスピーカーVOIDから、インドクオリティのショボいものまで。

ゴアでイベントを行うのは初めてだったので、アンジュナにある囲炉裏というレストランのオーナーさんに、スピーカー屋の連絡先を教えてもらいました。この囲炉裏、インドにあるにもかかわらず、日本よりも美味しい日本食が食べられると大変評判のお店です。



その日、教えてくれた連絡先は4軒。その時に「ここは安いよ、ここは高いよ」という風に、丁寧に教えてくれたのですが、この高い安いが、インドでは割と重要な意味を持つことに、この時はまだ気づいてませんでした。

時間もないので早速連絡してみます。
2軒は忙しくて駄目と断られ、もう2軒に連絡がつきました。

■スピーカー屋さんに行ってみる
連絡がついたので早速スピーカー屋さんに行ってみます。
借りたスクーターで走り出し、南の方に向かいます。

最初に訪問したスピーカー屋さんは、スピーカーを10本ぐらい持っている、個人に毛が生えた感じの中小の業者でした。到着して話もそこそこに、スピーカーを見せてもらいます。

彼の所有しているスピーカーはインド製のスピーカーと、そして海外製ではあるけれども安い部類に入るMackieのスピーカーでした。

どんな音がするんだろうと思って、ちょっと音を出してみると、なにかが全然違う!!



いつも日本で聞いてる音が全くせず、スピーカーからは、聞き覚えのあるインドの音が聞こえてきます。試しにピアノ曲をかけてみたら、ピアノの音がまったく繊細でなく、ふわふわした、なんか変な音がしました。

「どうだ! いい音だろう?」と、自信満々でそのインド人は言いますが…
いやいや、お前の音、ヒドいんだけど!!!!

このスピーカー屋さんに何を言っても駄目だろうと言う事で次に進みます。

■プロのPA会社を訪問する
もう一軒目に入ったところはClockwork GoaというプロフェッショナルのPA会社でした。オフィス内の黒板を見ると、毎日の様にホテルやイベントスペースでのイベントが入っています。



ここの会社は、私たちが日本で標準であると考えている、第一線の機材を持っていました。JBLの最新スピーカーに、パイオニアのDJ機材という、いわゆる世界標準の機材たちです。

これこれ!これが欲しかったんだよ!!
インドに来てはいるけど、インドの機材じゃ駄目なんだよ!

念の為に、お店の前で音を出してもらったのですが、期待以上の音質で、その場にいたみんなが全員一致で、この機材をレンタルする事を決定。



でも、彼らが提示してきたお値段は、先ほどのアマチュアに毛が生えたPA会社と比べると、3倍から4倍ぐらいの値段です。2回のイベントで合計7日間レンタルして18万円と、インドと言えども日本と全く変わらないお値段でした。

高っけぇ…でも、元々の機材のお値段を考えれば納得するしかありません。

安いPA屋さんは安い機材を持っていて、高いPA屋さんは高い機材を持っている。
ただそれだけの話なのでした。

■一回目のイベント
一回目のイベントは、アンジュナビーチのShoreBarという会場で行いました。


ClockWorkとの事前の打ち合わせでは、14時に会場に来て、機材も最初に見たものを持ってきてくれると言う、そういう話になっていたのですが。

しかし当日になってみると…
14時には当然のごとく現れません。

何回も何回も連絡をして、ClockWorkの人が現れたのが15時半。
そして会場にスピーカーを搬入し始めたのが、当初のリハーサル開始予定時間の16時。

結局、色々と遅れて、音が出たのは開演予定時間を一時間半遅れた時でした。

お金を貰い、イベントのプロである人達が、堂々と遅刻してくるとは!
イベントのプロがイベント開演時間を遅らせるとは!!!

日本だったら、この時点で、会場から突き出されて、仕事を干されているレベルの大失態ですが、当の本人たちは、全くと言っていいほど気にしていません。

そして、さらにひどい事に。
彼らが持ってきた機材は、私達が依頼した最新鋭のスピーカーではなく、インド現地クオリティのJBL。


「こんなの頼んでないよ!!」と言っても、もう既に持ってきたのだから後の祭りです。

仕方がないのでその機材で、イベントを始めることになりました。

イベントが始まって、これで一安心と思ったのですが…。
PAのインド人たち、今日のイベントが朝までとは聞いてないと言い出しはじめました。

彼らのオフィスで何回も、イベントは夜の6時から朝の8時までのオールナイトだよ、と話してあるにも関わらず、俺たちはその話を聞いてないといい出すではありませんか。

ちょっと待て!!

違う機材を持ってきて、しかも遅刻して!
イベントの開始時間まで自分の都合で遅らせておいて。
それで文句を言う!!??




■さらに追加料金を言ってきた
次のイベントでもClockWorkから、スピーカーを借りることになっていたので、波風立てるのは後回しにしようと言う事で、特にその日は文句も言わず、帰しました。

まぁ、奴らも色々失態を犯してるし、さすがに何も言ってこないだろう…と思っていたのですが、やっぱりインド!!

ビックリしたことに、次のイベントの前に、さらに追加料金を言ってきたのです。
追加料金は、最初言ってた値段の1.3倍増し!!!




イベントに遅刻しておいて、別のスピーカーを持ってきておいて、さらに自分が話を聞いてないのを棚にあげて、1.3倍の料金を請求してくるなんて!!

本当にどんなメンタルをしているのでしょう…


■次のイベントはインドのお寺とコテージで
次は、ゴアのちょっと奥地にあるお寺とコテージでのイベントです。

イベント当日、約得した時間通りにClockWorkのトラックが会場に入ってきました。
約束したスピーカーとDJ機材も約束どおり。


なんだ~。
インド人やればできるじゃん!!

ということで、スピーカーを持ってきたレモン君に当初の約束の1550ユーロを手渡しました。


彼らとしては、きっと追加料金がどうしても欲しかったのでしょうね。
2回目の約束をきちんと守って、どうにかして追加料金を徴収しようと頑張ってきます。
最初の約束では1550ユーロだったのを、2000ユーロにしろとしつこく言ってきます。


イベントの最中でも、どんどん連絡がやってきます。
とにかくどうにかしてお金を支払わせようと連絡してきます。


でもね! よく考えてみてよ!

そもそもイベントに遅刻しておいて、別の機材を持ってきておいて、それで無料にするって言うんだったらさておいても、値段を1.3倍に上げるなんて絶対飲めるわけないじゃん!!

お前達、お金欲しい時にだけちゃんとするのやめようよ!!!

■お寺もやっぱりインド時間
コテージイベントの準備は一段落ついたので、次はお寺のイベントの準備に取り掛かります。

朝の10時にお祈りをするから、みんなで来てくれと言われ、みんなで時間通りに行ってみると…
お祈りをしてくれるはずのバラモンは遅刻して、どこにもいません。
結局、みんなで集合写真だけ撮影して、解散となりました。

しかもその辺のインド人に撮らせたらナナメだよ……


そして、夕方の17時にリハーサルの約束をしていたので、インド古典のアーティストさん達を連れてお寺に行くと、お寺は見事にもぬけの殻。昨日の話では17時からリハーサルって言っていたのにな~。PAさん、どこに行っちゃったのかな~。

「いつ始まるの? まだ誰も来ていないようだけど…」とお寺の人に聞いたら、PAさんは18時ぐらいに来るだろうと。

ちょっと待って!!
昨日17時からリハーサルって言ったよね!!

PAさんが18時に来るって言う事は、セッティングやら何やらしてたら、リハーサルできるの20時じゃん!!

なんで17時って言ったんだよ!?

当初の話では、コンサートは18時から始まるはずだったのに、なんだかんだ色々あって、コンサートが実際に始まったのは21時。コンサートの開演は3時間遅れでした。



日本だったら、約束の時間の5分前に来るって言うのが当然のビジネスマナーとして浸透していますよね。コンサートの開演時間が遅れるなんてことはありませんよね。

でも、インドのゴアでは、約束の時間から2時間から3時間遅れるというのが、常識としてみんなの中に刷り込まれてる模様です。スピーカー屋さんも、お寺の人も、そしてお客さんたちもみんな遅れてやってきましたもの。

この一連の話をムンバイのネハちゃんに話したら、ゴアは怠惰な人の住むところだからね~~との事。ムンバイやデリーにもそう言う面は多少あるけど、ちゃんと時間は守るわ、と。



■時計がなくても困らない生活
よくよくゴアに住むインド人たちのことを思い返してみると…

そもそもゴアに住む人達は、時計なんて必要ないのかもしれないなって思ったりするのです。

例えば、イベントを夜やるという事は、暗くなってから音楽が始まるということを意味するだけで、暗くなったら準備を始めればいいやという感覚なのかもしれません。

会社で働いていたら定時がありますし、電車に乗るのであれば終電があったり、レストランの閉まる時間があったりと、都会には色々な時間制限がありますが、ヤシの木の茂る田舎では、時間を気にしなければいけない事が、ほぼありません。

もしかしたら、ゴアに住む彼らは、太陽の運行と共に生きているだけなのかもしれないなと。彼らも現代人ですから、スマホを持っていて時計を見ることはできますが、見ることはできたとしても、彼らの生活には全く関係のないことなのかもしれないなと。

そんなこと思ってるうちに、本当に自由であるとは、実は、彼らのような生活スタイルを言うのではないか?と思い至るようになってきたのでした。色々彼らが至らないと私達が思うのは、そもそもの立ち位置や視点が違うからであると…そう考えると色々と辻褄が合うのです。

やっぱりインドは私達に新しい視点を与えてくれる国だなと。

ティラキタ買い付け班、インドに通って25年以上になりますが、やはりまだまだ、インドからは学ぶことが多いいなと改めて感じるゴア滞在でした。







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