お前らプッシュ激しすぎ! 世界で一番DJが多い国、インドのDJ事情
■世界で一番DJが多い国インド
「インドって世界で一番DJが多いんだよ」っていう話はつねづね聞いていました。ここ最近のインドを見ていて「まぁ、そうだろうな」とは思うんです。インド人、昔と違って本当に新しいもの好きな人達になりました。そしてDJってば、正直、選曲できれば誰でもDJになれます。
音楽が好きで選曲やったことないヒトっています? 音楽がちょっと好きだったら、選曲をしたことない人はいないと思うんですよね。インドではそれをちょっと人前でやるとDJって言えるんだそうです。人前で曲選ぶとDJって言えて、そしてDJだって言うと、もれなく女子にモテまくるというオプション付きなんだそうです。ちょっと機械がいじれればもう完璧です。
インドでは「DJだって言うと女にモテる」って友人のインド人が超真剣に言ってました。
マナリの友人のDJは「DJは全員S○X中毒だ。S○XしたいからDJになるんだ。」と公言していましたし、また別のDJも「パーティーシーズン来ないかなー。 女の子来ないかなー。 冬の間は欲求不満だよ。 DJやれば女の子は入れ食いなんだよ。」と冬があけるのを楽しみにしていましたっけ。
DJと自分で言うだけでOKで、自然とカッコいい感じになり、そして女子にモテる!!!
身長が高くなくても、トークが上手くなくても、DJと言うだけでモテる!!
「マヤンク、ハリー、ホントかよ?」と聞いたら
「オフコース。ブラザー! アイム・シリアス。」
そんな状況だそうなので、自分大好きの若いインド人達が、「俺はDJ」って言いたくなる気持ちは本当によく判ります。インドの若い人達、今、イケイケだもんなぁ…
DJの名誉のためにキチンと書いておきますが、DJってそんな簡単なものじゃありません。ちゃんとしたDJは、本当にちゃんとした人達です。自分の好きな音を大切にしていて、人生を賭けて音源を探し、いい曲を作るアーティストとのコネクションを大事にしている、音楽的にも人間的にも本当に尊敬できる人達です。
それは日本でもインドでも一緒です。
上記のハリーもマヤンクも、DJとして生き残るために、やるべき事はちゃんとやってました。
曲探しも、コネクション作りも毎日のようにやっていました。
もちろん、そういう人達でなければ、どんな仕事でも生き残ることは出来ませんし、誰も相手にしてくれませんが…。
カッコイイとか、モテると思ってDJと言い出したばかりの人に、それを気づけと言ってもムダな話です。 だから雨後の筍のようにDJが増えるのでしょう。
■DJの売り込みがわんさか来た!!
日本でイベントをやる時、基本的にアーティストからの売り込みって来ません。もちろん多少は来ますけど、ほとんどはラインナップを考えて、オーガナイザーサイドからオファーしていきます。日本では自己主張を余りしないことが美徳ですし、あまりしつこい人は嫌われるので、結果、誰かのオファー待ちという形になるのでしょう。
そう言う日本の常識で考えていたら…インドは全く違いました!!
半年前にイベントの告知をしたら、DJからの売り込みがわんさか来るわ来るわ。多分、30人以上からオファーが来て、延々断りのメールを書いたと思います。
アーティストの皆様の名誉やプライバシーの問題があるので、名前の部分は全部分からないようにさせて頂きましたが…
今年の1月くらいから3日に1人のペースで来たんじゃないかな。
4月になったらペースアップして、ほぼ毎日のように来ていた気がします。
内容は「まだラインナップに空きある?」って言う簡単なのから
こんなズラズラ書いてくるのまで。摘んで翻訳すると…「俺はいろんなパーティーで活躍してるんだ。音楽は状況に応じてforest, darkpsy, night full on, hi-tech, psychedelic tranceまで全部大丈夫だ! しかも海外アーティストのブッキングマネージャーもしてるぞ」って言う、自分ができそうなことを全部書いてきた強力な売り込みまで。
フォレスト、ダークサイケ、ナイトフルオン、ハイテック、サイトランス全部できるって…幅広いね。「ダークなトランスが好きである」って言う理解でいいのかな。しかもブッキングマネージャーまでやってるんだって。
上手にできるかどうかはさておいて、やったことを全部書いてきたんですかね…
もっとマルチな方からも売り込みが来ました。
「俺のできるジャンルはEDM,PROGRESSIVE,PSY TRANSE,TECHNO,ELECTRO,HIP HOP,DUBSTEPだ。」
あはははは。マルチ過ぎる!!
意味分からないぐらいマルチ過ぎる!!
キミは電子音楽系だったら何でもやるの!?
一つのジャンルだって極めるのにみんな苦労してんのに。
他にも…Puneに住んでる24歳の弁護士からとか。弁護士でDJもやってるんだそうです。
弁護士でDJはちょっと便利かもしれませんね。イベントで暴力事件とかが万が一起きた時に、法律的に対処してくれるDJ。
とは言うものの、別にDJじゃなくってもいいよね。弁護士としてだったら、来てもくれてもいいかもね!
本当に、様々な方々から売り込みがやって来ました。正直、途中で完全にパンクして、対応しきれなくなり、売り込みの皆様は完全に無視する形になってしまいましたが…売り込みしてきた皆様、ごめんなさい!!
■実はDJじゃなくってもプッシュ激しすぎ!!
インド人のプッシュが激しいのは実はDJに限ったわけではありません。
ある日突然、ティラキタにたどたどしい日本語の電話がかかってきました。
「ワタシ、インドのプネーにスンデイマス。」
「はぁ…」
「ニホンゴガできるので、ニホンにイッテ、ハタラキタイ」
「え…日本語できるの?」
「デキマス。3ネンもベンキョウシマシタ」
「日本に来るの?」
「ニホン、ダイスキデス」
インドのプネーから慣れない日本語で、知らない会社に国際電話をかけて、就職先探しとは!!! ダメ元で電話かけてるんでしょうけど、凄いガッツ!!
僕らとしても初めてのケースで、興味深く話を聞いちゃいましたもん。
万が一くらいの可能性で、日本の会社が拾ってくれるかもしれません。
逆に考えると、日本人がヒンディー語を覚えてインドの知りもしない会社に電話するってことですよ。
日本人の誰がインドにヒンディー語で電話して職探しするでしょうか?
「日本人にそんなヤツは一人もいない!!!」と断言できます。
今回の話は極端な例かもしれないのですが、インド人と日本人はこんなにも違います。
本当に僕らは全然違います。
内向的すぎる日本人と、外交的過ぎるインド人。どちらもいい面と悪い面があり、一長一短なんですが、「世界の市場を切り開く力があるのはどっち?」と言ったら、押しの強いインド人なのではないでしょうか。断られてもメゲない、ダメでもともと精神でとにかく頑張るインド人。
彼らは僕達から見たら過激ですが、そんなインド人から見習う所はあると思います。
彼らのことを知れば知るほど、日本の国内にこもって「不景気で就職先も仕事もないんだよ」とか言ってる場合じゃない気がしてきますよね。 ダメ元でもいいから頑張ろうよ!
この写真の様にやれば出来るけど、やっぱダメだろ!って言う時もありますけどね…