原色たくさん! バングラデッシュのリキシャアート
「色は素晴らしい!! でも…」
今回ティラキタ買い付けスタッフが探していたのは、どぎつい色彩と、キッチュなモチーフのリクシャアートです。
インドやバングラデッシュ、ネパールには自転車で人を運ぶサイクルリクシャと呼ばれる乗り物があります。サイクルリクシャは運転手1人乗客2人の3人乗りで、普通の自転車の頭部と人力車の客席部分を合体させた、短距離の移動に最適な乗り物です。サイクルリクシャにヒョイッと乗って、ちょっとそこまで。歩くには遠いけど、タクシーを使うほどではない、ちょっとした距離の移動に使われています。
このリクシャと言う言葉は元々、日本のリキシャから来たとの事で、日本と全く無関係なわけではありませんが…ここ、バングラデッシュのサイクルリクシャは私達日本人が全く想像もできない次元まで進化しています。
インドのデリーでは車におされてサイクルリクシャの数がだんだんと減り始めていますが、ここバングラデッシュではまだまだ現役。メインの交通手段として、市民の毎日の足として活用されています。街の至るところにサイクルリクシャがいて、至るところで客引きをして、至るところで渋滞しています。走って止まる度に「ジリジリ」とベルがなるので、街の中はベルの騒音だらけです。
サイクルリクシャの渋滞です。ダッカは、人もサイクルリクシャも何もかもが多く、飽和気味なのですぐに渋滞が起きてしまいます。おや? 右から2番めのサイクルリクシャの後ろに素敵な絵が描かれています。これが噂のリクシャアートです。
近づいてみると…素晴らしい絵が描かれていました。幌の部分には美しい刺繍が施され、車台の部分にサリーを着た女性と、パンジャビドレスを来た女性、そして映画俳優と思われる男性の3人が描かれています。「これがバングラデッシュのリクシャアートか!! 本物だ!」 リクシャアートの存在は本で読み知識としては知っていましたが、ティラキタ買い付けスタッフ、初めて実際に見るリクシャアートに大興奮!
よく見えてみれば、ここにも、あちらにも、ほらそこにも! リクシャアートだらけです。
近くに寄ってみました。タージマハルに女性2人と男性1人の構図です。女性の髪の毛がなぜか緑なのが気になります。人物像の上には緑色の小鳥や花が描かれ、パラダイスっぽい雰囲気を演出しています。
これはまた別のリクシャアートです。ハゲタカっぽい鳥が、水鳥を狙っている構図でしょうか? 左右に書いてあるベンガル語が大味を出していますね。車台の平バネの部分にも絵が描かれていました。
女性2人、男性1人だけの構図。色の使い方は面白いのですが、うーーん、残念! 男性のデッサンが大幅に狂っています。女性たちもなんだか歪んでいます。「もっと上手に描けよ!」と言いたくなっちゃいます。これを見ると、日本のアニメや漫画がいかにレベルが高いかが分かりますよね。「え? 比べるものじゃないって?」
赤くて黒いタージマハル。怨念を感じそうなダークタージマハルです。どうやら、タージマハルババングラデッシュのリクシャアートには欠かせない、定番のモチーフのようです。タージマハルはインドにあると思うのですが…人の国の世界遺産をダーク化し、モチーフにしてしまうバングラデッシュ人、タダモノではありません。
女性2人、男性1人だけの構図。リクシャの客が座る椅子の部分に描かれていますが…何故かみんな目がロンパっています。ヤクでラリっているかのような…3人で寝不足になってしまったかのような…正直怖いです。
もしこれが、自分の車に描かれることになったら…いや、勘弁して下さい!! 下手すぎです。 せめてもうちょっとまともに描いて欲しいよね!!
サリーの女性。丸顔で可愛いんですが…なんだか微妙です。描かれているキャッチコピーは2010 LOVE
コピーはLOVEなんですが…この女性にラブを感じるのは非常に難しいと言わざるを得ません。
実は、ティラキタがバングラデッシュに買い付けに行ったのは、このリクシャアートを探しに行くためでした。福岡にアジア美術館という東南アジア諸国の美術品を収集している美術館があるのですが、そこにはもっと色がビビッドで、デザインも美しく、まさに現代アート!と言う素晴らしいリクシャアートがコレクションされているのです。
その写真を見て、行く気になったのですが…実際に目にするのはなんだか残念なこのレベル。「いいモノはどこにあるんだ?」と思っていたら、ダッカのH.I.S.の浦田さんが答えを教えてくれました!!
リクシャアートの世界で一人だけ凄く上手い人がいて、多くの作品はその人が描いているのだそう。その人はオールドダッカにお店を持っていて、バングラデッシュに駐在した人たちがバングラデッシュの記念にと一枚特別に描いてもらうというプレミア品らしいのですね。絵を一枚頼んで、出来上がるは2週間待ち。要は、アーティストに作品を頼んでいると。そういう状態なのです。
バングラデッシュに行けば、ティラキタのお店で売れるだけリクシャアートが流通しているのではないかと思ったのですが…残念ながら、輸入して売れそうな物はなかったのでした。残念!!