小さくて、可愛くて、でもギューギュー! インドのトイ・トレイン – カルカ鉄道に乗ってきた



■トイ・トレインという電車

インドには4つのトイ・トレインが走っています。見た目が小さく、かわいいのでトイ・トレインと呼ばれていますが、正確には「インドの山岳鉄道群」と言う名前で世界遺産に登録されている由緒正しきミニ鉄道です。

トイ・トレインの軌道幅は762mmのナローゲージ(狭軌)で、日本の国鉄で採用されている狭軌の1,067mmよりも更に30cmほど狭い軌道です。軌道は狭ければ狭いほど、線路の敷設や列車の製造が楽になりますが、その反面、不安定になるので速度を出すことが出来ません。

インドの4つのトイ・トレインはそのいずれも、大都市の近くの山岳地帯にあります。

 ・ダージリン・ヒマラヤ鉄道はコルカタの近くの山岳地帯
 ・カルカ・シムラー鉄道はデリーの近くの山岳地帯
 ・ニルギリ山岳鉄道はチェンナイ(マドラス)の近くの山岳地帯
 ・マテラン登山鉄道はムンバイの近くの山岳地帯

なぜトイ・トレインは大都市の近くの山岳地帯にあるのでしょうか?
実は、これには大きな理由があります。




トイ・トレインが敷設されたのは1900年台ですが、その頃、まだ車は発明されていず、大量に素早く人間を運ぶ手段と言ったら鉄道だけでした。そしてまた、インドの夏は支配していた英国人にとっては耐え難いほど暑く、彼らは夏の間だけ行政府を避暑地に動かしていたのです。車がない時代、トイ・トレインは、英国人がインドの夏の暑さから逃げるための重要な移動手段でした。

英国人は夏が来ると、首都のデリーから列車に乗って、山の上の夏の間だけのインド総督府シムラーに向かいました。涼しさを求めたからこそ、あえて英国人達は鉄道には不向きな急峻な山岳地帯に、小さな鉄道を走らせたのです。

現在、トイ・トレインは世界遺産に登録され、多くの観光客を運んでいますが、インド政府はただ観光のためだけにトイ・トレインを作った訳ではないのです。

■一度トイ・トレインに乗ってみたかった
インド旅行は列車の旅です。ヨーロッパ大陸と同じくらいの面積を持つ広大な国土の隅々まで鉄道網が張り巡らされ、低コストで旅行しようと思うバックパッカーにとっては最高の移動手段です。

デリーからバラナシまでは14時間、寝台列車のお値段は500円位でしょうか。一晩列車に乗って移動して500円!
正直な話、宿代よりも安く移動できます。



もちろん広大な土地を寝台列車に乗って移動するのは特別な経験です。インドの列車は自動ドアではないので、走っている最中でもドアを開けることができます。時速140Kmで走っている列車のドアの所から外を眺め、風を感じるのは本当に素敵です。

インドの旅は列車に始まり、列車に終わります。
僕は、インドの列車旅が、大好きです。

列車は旅情もあり、経済的でもある、インドにおける最高の移動手段の一つ。とは言うものの、インドパパ、実はトイ・トレインに乗ったことがありませんでした。

だって、トイ・トレインってば辺鄙なところにばっかあるんだもん…正直、行く理由ないよ。
とは言うものの、一度くらいは乗ってみたかったんですよね。

■Kalka-Shimla Railwayのドキュメンタリー
インドのKalka-Shimla Railwayがどんな列車でどんな雰囲気なのか、ビデオを作ってみました!!
まずはビデオをお楽しみください


■Kalka-Shimla Railwayに乗ってみた
今回は山の中の始発駅であるシムラー駅から、平地の終着地点のカルカ駅まで実際に乗ってみました。僕達が乗った列車は一般のインド人と同じ普通(general)クラスで、シムラーからカルカまでのお値段は90Kmの区間を6時間乗って、たったの50Rs(80円)です。

このカルカ・シムラー鉄道は観光列車でもあるので、観光客用の特別列車も走っていて、そちらはヒマラヤン・クイーン・エクスプレスと呼ばれ、予約が必要で500Rs(800円)程。値段の差は10倍もありますが、正直な話、一般車両は混みまくるので、全くオススメしません。

シムラー駅は山の中の小さな駅でした。 ホームは一つしかありません。



電車のチケットを買うカウンターは2つだけですが、カルカ・シムラー鉄道だけでなく、インド全土のチケットを購入することができます。



カルカ・シムラー鉄道の列車の数は1日5本だけ。Himalayan Queen Expressと、Shivalic Expressが観光用の列車で、他の3本のPassenger、Rail Car、Mail、が一般の列車です。



駅の構内に掲示されていた冬のシムラー駅の様子。ホット・ホッター・ホッテストの国と言われる暑いインドにも雪が降るんですねぇ。



トイ・トレインだけでなく、駅の構内も1903年に作られた歴史ある建物だそうです。



駅の構内に入ってみました。風情ある田舎の駅という感じで、狭いレールの幅が可愛らしく、いかにもトイ・トレインと言った雰囲気です。一番先頭にディーゼル機関車がつき、その後ろに乗客数に応じて4両から7両くらいの動力無しの客車がつくといった編成。



各列車はシンプルに連結されていました。



連結器の部分に近づいてみました。重厚で無骨な鉄の雰囲気が非常にいい感じです。



手動式のブレーキでしょうか



線路のポイント部分もミニサイズ。このポイントは人力で動かす手動式でした。



構内の信号もなんだか小さくて、アナクロで可愛い感じです。



懐かしい信号機がまだ現役で働いていました。こんな信号機、昔、日本にもありましたよね。



駅で仲良く寝る人達…インド人、どこでも寝るよね!



実際に列車の中に乗ってみると、一般車両なので本当にぎゅう詰めでした。狭い車内にこれ以上乗れないだろ!! って言うくらいインド人達が乗り込み、みんなで楽しくおしゃべりしています。ラッシュの時、日本人だったらただ黙っていると思うのですが、インド人達は知らない人同士でも仲良くお喋りを始めたりします。インド人たちって人と人の距離感の近い人達だよなぁ…。



列車は山の中をどんどん走っていきます。とは言うものの、そこはトイ・トレイン。速度が出るわけではありません。平均した時速は多分35Km位かなぁ…最初は楽しいのですが、直線距離90Kmを6時間で走るというノロさに、そのうち「もっと速く走ってよ!」って言う気分になってきます。



ゆっくり走っている列車の中はやっぱりぎゅう詰め!! 写真の男の人は、椅子の背もたれの部分に座っています。



走る列車のドアの部分に腰掛ける人も。社内がぎゅう詰めだから、ドアの部分が一番快適なんでしょうね。



トイ・トレインの小さな一車両に何人乗っているのでしょう? この写真に写っているのが40人で、カメラの後ろに座っている人や、人の影になっている人を合わせると70人近くが乗っていました。椅子の数から数える定員は32人だけなんですが…ぎゅうぎゅう詰めて倍以上の人が乗っています。



ぎゅうぎゅう詰めの車内に6時間ほど拘束されて、やっとこ終着地点のカルカ駅に到着。初めて乗ったトイ・トレインの感想は…「キツくて、トイレの近くでアンモニア臭くて、一回目は楽しかったけど、二回目はあんまり乗りたくないなぁ…」でした。

毎日この列車に乗っている現地インド人の皆様、本当に大変だと思います。インドでの生活って過酷な所あるよなぁ…
僕ら観光客はちゃんとお金を出して観光用のヒマラヤン・クイーンエクスプレスに乗れば良いのだと思います

ご飯はついてるし、ぎゅうぎゅう詰めじゃないし、とっても快適だったと思うんですよね。しかも朝の10時に出発するので美しい景色が存分に楽しめたはず。

後悔先に立たずって、こういうことを言うんだなぁって、しみじみ痛感したインドのトイ・トレインの旅でした。




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