個性と伝統が融合する辺境の街ブージ 全力レポート!

インドは田舎に行けば行くほど、個性的で昔ながらのインドが広がっています。

もちろん首都のデリーもインドなのですが、やっぱり現代のインドなんですよね。僕らが脳裏に思い描いている「全員サリーを着ている」とか「民族衣装を着ている人がいる」と言った、古き良きインドにはデリーではあまり出会えません。

インドの都市部、特にムンバイやデリーの進歩は本当に速くって、街中で時間を過ごしていると「インドも普通の国になってしまったなぁ…」なんて寂しく思うことがあります。僕らが大好きな昔ながらのインドはどこにあるのでしょうか? という事で、古きよきインドが残る、パキスタンとの国境近くに位置する辺境の街ブージを徹底レポートしてみたいと思います。

■ブージってどこにあるの?
まず「そもそも、ブージってどこにあるの?」だと思いますので、地図で場所を示してみます。ブージはパキスタンとの国境近くにある、小さな辺境の街です。ブージに行くにはデリーやムンバイから出ている飛行機にのるのが最速の行き方で、その他の方法は電車かバスになります。
なお、ブージ周辺の事はこのブログでは何回か「ウユニを超える? インドの塩の湖が壮大で美しい!!」とか「インド辺境のスパイス倉庫に行ってきました」で紹介していますので、ぜひ併せてお楽しみ下さい。


バスは大変なので選択肢から外すとして。電車はデリー、ジャイプル、ムンバイあたりから直行の夜行列車が出ていますが、やたら時間がかかります。インドパパはジャイプルからアラー・ハズラット・エクスプレス(Ala Hazrat Express)に乗って行きましたが、20時間程かかりました。インドって本当に広い!! そして遠い!!

話はちょっとずれますが、インドの列車の名前って本当に素敵です。デリーとブージを結ぶアラー・ハズラット・エクスプレスはなんだかイスラムな香りがぷんぷんする素敵な名前です。デリーから聖地バラナシを結ぶ列車の名前はシヴ・ガンガー・エクスプレス(Shiv Ganga Express)、デリーからシーク教の聖地アムリトサルを結ぶ列車はゴールデンテンプル・メイル(Golden Temple Mail)と言った具合で、列車の予約を取って、チケットに書いてある名前を見るだけで心が浮き立ちます。

■ブージの街を歩いてみる
ブージの街を歩いてみて、まず気がついたのが牛の多さです。10年位昔はデリーでも野良牛を見かけましたが、ここ最近、近代化が進むにつれ、デリーの街中から牛の姿が消えていきました。大都市から牛の姿が消えるのも時代の流れなのかな…と思いますが、やっぱりインドがインドでなくなっちゃうような寂しさを感じます。

ブージを歩いてみると…デリーではあまり見かけなくなった牛達がたくさんいます。こっちでゴロゴロ、あっちでモグモグ。とにかく牛の数の多さにびっくり。牛を大切にしている聖地バラナシよりも多いように感じます。


また、街で売っているクルティも刺繍が入った美しいものが多い感じ。このブージ周辺はカッチ刺繍と呼ばれる刺繍が施された民族衣装が有名なので、この様な普段着にも刺繍が色々と施されています。超キュート!! カワイイ!! と思って仕入れようと思ったのですが…。「刺繍だから全部柄が違うよ」と、聞いた人、全員から言われてしまいました。「ネットショップで柄が違うものは売れないんだよ…」と、とっても残念な気持ちです。


売るものが何もないお店で店番をするおじいちゃん。


素焼きの貯金箱やチャパティパン、小皿などを売っているサリーの女性


街を歩く女性達はほぼ全員サリーを着ていました。都市部ではサリーを着る人たちが少なくなってきていると言われて久しいですが、ここブージではサリーは健在です。


街中の野菜売り。


ブージの旧市街はまるで中世のインドにトリップしたかのような懐かしさを感じる不思議な空間でした。昔からあるような石造りの建物の中で人々が暮らしています。建物をよくみると、あっという間にすぐに崩れそうですが…。

■不思議な記念写真
ブージの街を歩いていたら、何軒か写真館がありました。ここ最近、日本では少なくなくなってきましたが、その昔は日本にも数多くの写真館がありましたよね。インド人は結婚式を非常に大切にしていて、結婚式の時になるとプロカメラマンを呼んで撮影してもらい、大きなアルバムを作ります。アルバムの中を見せてもらうと、「キミ達、アイドルかよ!」と思う感じのキラキラな仕上がりになっていてビックリするのですが、ここ、ブージの写真の感覚もまたインドの他の地域と異なるものでした。

これは何の記念写真でしょうか。カッチ地方の伝統的な民族衣装を着て綺麗に着飾っていますので、結婚式の時の写真かもしれません。砂漠の国に住んでいますので、水や緑に強い憧れがありますので、背景は美しいヒマラヤの方の背景を借りてきて合成されています。女性の美しさを際だたせるためにハートマークの中に顔をコピペ。そしてダメ押しのように青空の真ん中にも顔を浮かべています。


やはり結婚式のものと思われる記念写真です。マハラジャの宮廷を思わせるゴージャスな背景が合成されています。美しい顔を更に表現するために背後霊のように背景に重ねあわせている所が、この地方の独特のセンスなのでしょうね。


1歳位の赤ちゃんの写真です。キュートな赤ちゃんの写真はインドでは大人気。赤ちゃんの写真だけを集めたカレンダーなども作られているくらいです。一番手前と一番後ろはオリジナルのままですが、もう一枚はなぜか顔だけを白黒にして僕らの視点から見ると亡くなっちゃったかのような加工が施されています。なんでこうなるかな…と僕らは思いますが、彼らにしてみれば人生の大切な1ページです。文化が違う、センスが違うとはこのようなことを言うのでしょう


10歳位のかわいい少女の記念写真もこの通り。フォトショップでコピペして、窓の所にペタ。ごめんなさい。怖いです。僕らの視点で見ると、正直に怖いっす。でも、彼らにとってはこれが一番最高なのでしょう。わかります。大変よくわかります。


ああ、文化の違いってこう言う事なんだなぁと深く思わずにはいられません。この文化の違いを理解し許容するのが本当の異文化交流なんだろうなと思います。なお、この写真たちは写真館のオーナーに許可をもらって撮影させてもらっています。

■不思議な色のケーキ
ブージの街中を歩いていたら…ケーキ屋さんがありました。

こんなのとか


こんなのとか…


こんなのとか……


なにこれ!!! とっても体に悪そうだし、色合いが毒々しすぎて食べるのムリなんですけど…。
僕ら日本人は絶対こんなの作らないし、食べないですよね。

でも、彼らにとっては美味しいケーキなんだと思います。ケーキの横からにょろにょろと白い糸が出てるのを素敵だって言うのでしょう。

■ホーリーの日のブージ
ブージに滞在していた最後の日が、丁度インドの春を祝う祭り、ホーリーの日でした。ホーリーとはインドの色掛け祭りで、誰かれ構わず色粉をかけ、春の到来を祝うお祭りです。

ホーリーの日、朝起きてみると、何やらたくさんのバイクの音がします。「どうしたのかな?」と思って外に出てみると、若者がスクーターに2人乗り、3人乗りして色粉を掛けあっています。ただバイクに乗っているだけで彼らは凄く楽しそうです。



「ねえ、みんなでどこに行くの?」と聞いてみると…
「ただ走ってるだけ!!」との答え。

ああ、ここの子たち、バイクにみんなで乗って街中をぐるぐる走って遊んでるのか。みんなでそうやって遊んでるのか。そう言えば、日本でもず??っと昔にそんな事あったって聞いたよなぁ、と、遠い記憶が思い出されます。



初めて行ったブージはあまりにも文化が違く、まるで違う惑星に降り立ったかのような錯覚すら覚えました。違う文化に触れるのが旅行の醍醐味ならば、まさにブージはうってつけの場所です。あまりにも文化が違いすぎて拒否反応すら出そうですけれど、好奇心旺盛な人にとってはたまらない場所なのかなと思います。

正直、ブージはマイナーな場所であまり多くの人は訪れませんが、マイナーなインドの良さが存分に発揮された素敵な場所でした。古きよきおもしろインドに触れられ、かつ巨大な塩湖カッチ湿地に行けるブージ。本当に見所たくさんです。

オススメな場所ですよ!!

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1 Comment + Add Comment

  • 3年前にブージにアーメダバードから電車で行きました。
    駅から乗合オートリキシャーで街中のターミナルへいって、
    安宿に歩いて向かおうと磁石と地図を取り出して、北の方角を聞いたら、
    そこにいた若い娘が、バイクでその安宿まで送ってあげると言いました。
    インドに何十回も来ていますが、若い女性のバイクにのせてもらったのは、初めてでした。
    男なら何回もありますが。
    やっぱり、インドの田舎(地方)には
    「古き良き素朴なインド」が残っていますね。
    デリーやボンベイではありえない!

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