ロマンあふれる自然染料 – インディゴケーキを求めて
目次
■ロマンあふれる染料インディゴケーキ
インディゴケーキとは、人類が何千年も使ってきた、伝統的な自然染料です。インド藍を農園で栽培し、発酵させ、固形にして、長期保存可能で誰でも簡単に使えるようにしたブロック状の自然藍です。
古来から、インディゴ染色の最も古い中心地はインドでした。インディゴと言う名前の中にインドの名前が含まれていますもんね。
その昔、インドで作られたインディゴブロックは、駱駝や馬の背中に乗せられて、はるかヨーロッパへと、隊商を組んで輸出されていました。
荷物が到着するまでにきっと、何年もかかったことでしょう。
雨の日も、風の日もあったことでしょう。
照りつける灼熱の日もあったことでしょう。
隊商の積荷は、過酷な長旅に耐えるものでなくてはいけませんでした。
古代のインド人たちは、自分たちの畑で作った藍を加工し、固形のブロック状にすることで、持ち運びに優れ、長旅に耐える素晴らしい商品に仕立て上げました。
インディゴケーキは、はるか昔から引き継がれてきた、人類の遺産と言ってもいい、知恵とロマンのあふれる染料なのです。
■消えゆくインディゴケーキ
何千年も人類に愛されてきた自然染料のインディゴですが、1900年ごろに合成インディゴが出現して、天然藍はほとんど作られなくなりました。今日では、衣類などに使われている藍は、ほぼ全てが合成藍を使っています。合成藍は気候に左右されず、安値で供給が可能だからです。
合成の化学藍に押され、何千年も続いてきた伝統的な藍の歴史は、徐々に徐々に消えていきました。かつては一大産業であり、東インド会社に莫大な富をもたらしたインド藍ですが、合成インディゴの出現とともに、その多くは消えていったのです。
しかし、南インドのある地域において、いまだ古式に則った方法でインド藍のブロック(インディゴケーキ)が生産されていると聞き、訪問してみました。
イラストは19世紀に描かれたインド・ベンガル州のインディゴ工場ですが、現代でも、これとほぼ変わらぬ形でインディゴが生産されているのです。
■南インドのインディゴ農園を訪問する
南インドのインディゴ農園は、チェンナイから車で数時間走ったところにありました。途中、ガソリンスタンドに寄ったら、なんともかわいいトラックが給油していました。あまりにもかわいいので、全面からパシャリ!!
道の途中で、作物が道路に敷かれているのを発見!!
なになに? どうしたの? なんで?
「これはね、作物の上を車が走ることで脱穀しているんだ」とのこと。
「えーーー!! そんな事ってある? そもそも、通りかかる車に脱穀させるってどういう事?」
と言いながら、作物の上を走ります。
そしてとうとうインディゴ農園に到着!!
到着したインディゴ農園はちょっと茶色…?
奥の方は緑ですね。
インディゴは植えたばかりで、小さかったのですが、ちゃんと藍の葉っぱの形をしていました。
■インディゴケーキの工房を訪問する
その後、インディゴケーキの工房を訪問。インディゴ畑と、インディゴケーキの工房はすぐ近くでした。おっちゃん達が出てきて、自分たちの作品であるインディゴケーキを並べてくれます。
「これがグッドクオリティー」、「こっちがミディアムククオリティー」と説明してくれます。
藍色が濃いほうがグッドクオリティーなのだそう。
手に持ってみます。
これが歴史あるインドのインディゴケーキ!!!
これを求めてここまで来たんだよ~!!!
おおおお!! 嬉しい!!!
インド藍の葉っぱから、インディゴケーキをどう作るか、実際に説明してもらいました。
畑で収穫されたインド藍の葉っぱを、発酵専用のプールで発酵させます。
大きなプールですね。
今は空ですが、収穫期になると使われるのだそうです。
こちらはALJAZEERAの記事から引用させてもらった写真です。インディゴプールの中に、たくさんの生葉が入れられています。
source:ALJAZEERA - Indigo: The story of India’s ‘blue gold’
プールの端っこには発酵が終わった藍汁を次の工程に流すための穴がありました。
インディゴは水に溶けないため、プールの底に沈殿しています。
こちらの作業場の
このプールの中に藍汁が流れ込むのだそうです。
その後、この圧搾機でぎゅうと圧力を加え、水分を抜いて徐々に固形にしていきます。
こちらはだいぶ固形になり、切られる直前のインディゴケーキです。
source:ALJAZEERA - Indigo: The story of India’s ‘blue gold’
切られ、乾燥されて、出荷を待ちます。
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■人類遺産級の自然染料インディゴケーキで染めてみよう
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