美しすぎる!! 世界で一番辺鄙で綺麗なところにある日本人宿
つい先日、10年来の友人がインドの山奥で宿屋を始めたとの情報をゲットして、インドパパ、インドのヒマラヤの山奥まで友人に会いに行ってきました。その友人が現在住んでいる所は、どうやらカソールという所らしいのです。
「カソール? 聞いたことないよ??」と言う事で、GoogleMapでどの辺か確認してみると…これは凄い。ものの見事にヒマラヤのど真ん中です。そもそも、カソールとはどういう場所なのか? そしてなんでそこで宿屋を始めたのか? 日本人旅行客はいるのか…知りたいことだらけでしたので早速行ってきました!!
カソールに行くにはデリーからバスを使いますが、カソール行きというのはないので、ほぼ同じ方面のマナリ行きに乗り、14時間走り、途中のブンタールで降りて、バスかタクシーで更に2時間行くのだそうです。14時間+2時間=合計16時間。日本だったらゲンナリして来る距離ですが、広いインドでは移動するのはいつもこんな感じです。
乗ったバスはボルボと呼ばれる最上級のクラス。それ以下のクラスもありますが、インド人クオリティでとても過酷だというので、ここはボルボ一択です。チケットはデリーの安宿街パハールガンジのチケット屋で買うことが出来ます。お値段は800ルピーから1200ルピーくらい。シーズンによって変わります。
ボルボクラスの座席はだいぶフラットになるまでリクライニングしますので、日本の観光バスよりも快適。ちなみに写真はボルボでないインド製の普通のバス…こんなのに14時間乗って行くのは苦行以外の何物でもありません。ちょっと高くてもここはボルボで。
夕方の17時にデリーを出発し、朝の8時にブンタールに到着して、タクシーで一路カソールを目指します。カソールに近づくにつれ、山がどんどん深く、雄大に、そして綺麗になってきます。
2時間ほどかかって、無事にカソールに到着しました。太郎君と無事に再会し、太郎くんの宿に向かってヒマラヤが美しく見える坂道を上がっていくと…
5分ほどで太郎くんの宿に到着しました。コンクリート2階建てです。インドでは結構標準的な作りです。
そして言われるがままに屋上に出てみると…何だこりゃ!! すごい綺麗!!!
両端から迫りくる渓谷の奥に、白い冠を湛えた美しいヒマラヤが「俺はここにいるぞ!」とばかりに聳え立っています。インドパパ、今まで色々なところを旅行しましたが、正直、ここまできれいな所に行ったことがありません。素晴らしい眺望、溢れる自然、絵葉書の中の世界のようです。
この宿は間違いなく.世界で最も一番美しい所にある宿の一つです。白い雪を頂いたヒマラヤの渓谷美、緑とのコントラスト、そして周りの素朴な家々を全部合わせた総合的な眺めは、ただ美しく、雄大で、神々の存在をも感じることが出来ます。美しさの前に圧倒され、言葉が意味を持たなくなるのだと感じました。
太郎君!! 君はこんなところで毎日生活しているのか!! 羨ましすぎる!!!!!
山を30分ほど見てから、ふと、屋上を見てみると、太陽熱温水器が設置してありました。上に水を循環させるタンクがあり、その下に黒いガラスチューブがついています。黒いガラスチューブの中を冷水が通ると、太陽の熱で暖かくなる仕組みです。この宿、では日中であれば問題なく温水が使えそうです。
この太陽熱温水器、インドやネパールでは結構ポピュラーな商品で、置いておくだけでちゃんと温水が作れると評判の一品で、デリーの街中からこのようなヒマラヤの山の中でも使われています。。日本でも同じような商品が1980年台に流行ったのですが…流行し始めたら「水が漏れる」とか、「重みで家が壊れる」とかの電気会社からお金をもらった広告代理店のネガティブキャンペーン(があったという噂です)でなくなってしまいました。
コンクリート2階建てで、トイレなども十分にケアされていて、安宿な雰囲気ながらゲストが居心地良く過ごせるように細かいところまで気が配られているのを感じます。さすがは日本人がいる宿だなぁ…と感じます。
さて、太郎君。そもそも、なんでこんなヒマラヤの奥地で宿を始めようと思ったのでしょうか?
インドパパ「ねえ太郎くん、そもそも、なんでインドで宿をやろうと思ったの?」
太郎君 「俺、インド人とはすごくウマが合うんだよ。日本人とは全然ダメなんだけど、インド人とはよっしゃ!!やるぞ?みたいな感じでウマが合うんだ。今一緒に働いているインド人のアルジュンもジャイプルで出会って、意気投合してね。それで一緒にこのカソールまでやってきたんだ。インドでは俺はすごく色々なことをやり易い気がするんだ。日本って気を遣ってる人ばかりでなんか、やり辛いのだけど…インド人はオープンじゃない。そんな人達に囲まれていると、インドだったら何かできるって思えるんだよね。」
インドパパ「なんでこの誰も人が来ないようなカソールで?」
太郎君 「カソールは誰も来ない所じゃないんだよ。普通のバックパッカーにはあまり知られていないけど…街を歩いてごらん、イスラエル人や長期旅行者がいっぱい居る。3月にゴアのシーズンが終わると、平地が暑くなるからトラベラーがヒマラヤに上がってくるんだ。そして9月か10月まで居るんだよ。お客さんはみんな長期旅行者なんだよ。」
インドパパ「今やっているのはこの1軒だけ?」
太郎君 「実はね、今、この宿の他に、もう1軒借りてるんだ。それはね、カソールの街の中心部にあって、レストランが開けつつ、宿屋も出来る物件なんだよ。宿屋もいいけど、俺、ここのカソールで一番美味しいピザ屋を始めたいんだ。カソールのレストラン、数えるほどしかないけど…その数軒でピザ食ったら、これだったら俺のほうが旨いのできるぞ!!って思って。カソールで一番美味いレストランやりたいんだ!!」
インドパパ「2軒も!! 凄いね!! レストランの内装とか、模様替えとかはどうしてるの?」
太郎君 「壁抜いたりとかは、俺自分でやるよ。ハンマー持ってきて壁叩くと、面白いように簡単に壁が抜けるんだよ。後は地元の大工さんにお願いするときもあるし…」
インドパパ「こっちで宿をやってて、困ることとかある?」
太郎君 「インドだけに、物事が思うように進まないことかな。いつ迄にあれやろうとか思っても、全然進まなくって。全部インド人のペースになるからね。凄いイライラするんだ。でも、ここ最近、インドにもEbayとAmazonがやってきてさ。このカソールまで届けてくれるんだよ! だから物資の調達とかは凄く楽になった!!」
インドパパ「ちなみに宿代は?」
太郎君 「1泊200から500ルピーだよ」
インドパパ「200ルピー? 300円ちょっと? この眺望でその値段は安すぎ!!!」
太郎君 「まぁ、ここはカソールだからね。」
インドパパ「そういえば、今年1年目でしょ? これから、色々うまく行くといいよね」
太郎君 「俺、ここでやりたい事だらけなんだよ。宿ももう1軒オープンさせなきゃいけないし、レストランもきちんとしなきゃ。でも、なかなか思ったように進まないんだよなぁ…1年目だし、今は勉強の時かなって思ってるんだ」
インドではインドならではの苦労があるのでしょう。インド人のルーズさもあるでしょうし、日本では考えられないような苦労がたくさんあるでしょう。でも、その不便や苦労を楽しみつつ、太郎君は毎日を全力で楽しんでいるようでした。
太郎くんの宿を離れてカソールのいろいろな場所を歩いてみました。4月頭のカソールは山に雪が残り、菜の花が咲き乱れ、桃の花も咲き乱れ…まさにこの世の天国。一泊200ルピー(300円)で泊まって、こんな風景を堪能できる…あまりにもリーズナブルとしか言いようがありません。
これからインドに行こうと思っている方。首都のデリーや聖地バラナシ、タージマハルのあるアグラだけではなく、ぜひ、美しい自然のあるカソールへ!!! 美しいヒマラヤと、広いインドを堪能できる素晴らしい場所だと思います。
アクセス:デリーからマナリ行きの夜行バスに乗って朝8時頃ブンタール下車。もしくはデリーから飛行機でマナリ・クルの空港へ。ブンタールでバスか、950Rs払ってタクシーでカソールへ(ブンタール->カソール:2時間)
「カソール? 聞いたことないよ??」と言う事で、GoogleMapでどの辺か確認してみると…これは凄い。ものの見事にヒマラヤのど真ん中です。そもそも、カソールとはどういう場所なのか? そしてなんでそこで宿屋を始めたのか? 日本人旅行客はいるのか…知りたいことだらけでしたので早速行ってきました!!
カソールに行くにはデリーからバスを使いますが、カソール行きというのはないので、ほぼ同じ方面のマナリ行きに乗り、14時間走り、途中のブンタールで降りて、バスかタクシーで更に2時間行くのだそうです。14時間+2時間=合計16時間。日本だったらゲンナリして来る距離ですが、広いインドでは移動するのはいつもこんな感じです。
乗ったバスはボルボと呼ばれる最上級のクラス。それ以下のクラスもありますが、インド人クオリティでとても過酷だというので、ここはボルボ一択です。チケットはデリーの安宿街パハールガンジのチケット屋で買うことが出来ます。お値段は800ルピーから1200ルピーくらい。シーズンによって変わります。
ボルボクラスの座席はだいぶフラットになるまでリクライニングしますので、日本の観光バスよりも快適。ちなみに写真はボルボでないインド製の普通のバス…こんなのに14時間乗って行くのは苦行以外の何物でもありません。ちょっと高くてもここはボルボで。
夕方の17時にデリーを出発し、朝の8時にブンタールに到着して、タクシーで一路カソールを目指します。カソールに近づくにつれ、山がどんどん深く、雄大に、そして綺麗になってきます。
2時間ほどかかって、無事にカソールに到着しました。太郎君と無事に再会し、太郎くんの宿に向かってヒマラヤが美しく見える坂道を上がっていくと…
5分ほどで太郎くんの宿に到着しました。コンクリート2階建てです。インドでは結構標準的な作りです。
そして言われるがままに屋上に出てみると…何だこりゃ!! すごい綺麗!!!
両端から迫りくる渓谷の奥に、白い冠を湛えた美しいヒマラヤが「俺はここにいるぞ!」とばかりに聳え立っています。インドパパ、今まで色々なところを旅行しましたが、正直、ここまできれいな所に行ったことがありません。素晴らしい眺望、溢れる自然、絵葉書の中の世界のようです。
この宿は間違いなく.世界で最も一番美しい所にある宿の一つです。白い雪を頂いたヒマラヤの渓谷美、緑とのコントラスト、そして周りの素朴な家々を全部合わせた総合的な眺めは、ただ美しく、雄大で、神々の存在をも感じることが出来ます。美しさの前に圧倒され、言葉が意味を持たなくなるのだと感じました。
太郎君!! 君はこんなところで毎日生活しているのか!! 羨ましすぎる!!!!!
山を30分ほど見てから、ふと、屋上を見てみると、太陽熱温水器が設置してありました。上に水を循環させるタンクがあり、その下に黒いガラスチューブがついています。黒いガラスチューブの中を冷水が通ると、太陽の熱で暖かくなる仕組みです。この宿、では日中であれば問題なく温水が使えそうです。
この太陽熱温水器、インドやネパールでは結構ポピュラーな商品で、置いておくだけでちゃんと温水が作れると評判の一品で、デリーの街中からこのようなヒマラヤの山の中でも使われています。。日本でも同じような商品が1980年台に流行ったのですが…流行し始めたら「水が漏れる」とか、「重みで家が壊れる」とかの電気会社からお金をもらった広告代理店のネガティブキャンペーン(があったという噂です)でなくなってしまいました。
コンクリート2階建てで、トイレなども十分にケアされていて、安宿な雰囲気ながらゲストが居心地良く過ごせるように細かいところまで気が配られているのを感じます。さすがは日本人がいる宿だなぁ…と感じます。
さて、太郎君。そもそも、なんでこんなヒマラヤの奥地で宿を始めようと思ったのでしょうか?
インドパパ「ねえ太郎くん、そもそも、なんでインドで宿をやろうと思ったの?」
太郎君 「俺、インド人とはすごくウマが合うんだよ。日本人とは全然ダメなんだけど、インド人とはよっしゃ!!やるぞ?みたいな感じでウマが合うんだ。今一緒に働いているインド人のアルジュンもジャイプルで出会って、意気投合してね。それで一緒にこのカソールまでやってきたんだ。インドでは俺はすごく色々なことをやり易い気がするんだ。日本って気を遣ってる人ばかりでなんか、やり辛いのだけど…インド人はオープンじゃない。そんな人達に囲まれていると、インドだったら何かできるって思えるんだよね。」
インドパパ「なんでこの誰も人が来ないようなカソールで?」
太郎君 「カソールは誰も来ない所じゃないんだよ。普通のバックパッカーにはあまり知られていないけど…街を歩いてごらん、イスラエル人や長期旅行者がいっぱい居る。3月にゴアのシーズンが終わると、平地が暑くなるからトラベラーがヒマラヤに上がってくるんだ。そして9月か10月まで居るんだよ。お客さんはみんな長期旅行者なんだよ。」
インドパパ「今やっているのはこの1軒だけ?」
太郎君 「実はね、今、この宿の他に、もう1軒借りてるんだ。それはね、カソールの街の中心部にあって、レストランが開けつつ、宿屋も出来る物件なんだよ。宿屋もいいけど、俺、ここのカソールで一番美味しいピザ屋を始めたいんだ。カソールのレストラン、数えるほどしかないけど…その数軒でピザ食ったら、これだったら俺のほうが旨いのできるぞ!!って思って。カソールで一番美味いレストランやりたいんだ!!」
インドパパ「2軒も!! 凄いね!! レストランの内装とか、模様替えとかはどうしてるの?」
太郎君 「壁抜いたりとかは、俺自分でやるよ。ハンマー持ってきて壁叩くと、面白いように簡単に壁が抜けるんだよ。後は地元の大工さんにお願いするときもあるし…」
インドパパ「こっちで宿をやってて、困ることとかある?」
太郎君 「インドだけに、物事が思うように進まないことかな。いつ迄にあれやろうとか思っても、全然進まなくって。全部インド人のペースになるからね。凄いイライラするんだ。でも、ここ最近、インドにもEbayとAmazonがやってきてさ。このカソールまで届けてくれるんだよ! だから物資の調達とかは凄く楽になった!!」
インドパパ「ちなみに宿代は?」
太郎君 「1泊200から500ルピーだよ」
インドパパ「200ルピー? 300円ちょっと? この眺望でその値段は安すぎ!!!」
太郎君 「まぁ、ここはカソールだからね。」
インドパパ「そういえば、今年1年目でしょ? これから、色々うまく行くといいよね」
太郎君 「俺、ここでやりたい事だらけなんだよ。宿ももう1軒オープンさせなきゃいけないし、レストランもきちんとしなきゃ。でも、なかなか思ったように進まないんだよなぁ…1年目だし、今は勉強の時かなって思ってるんだ」
インドではインドならではの苦労があるのでしょう。インド人のルーズさもあるでしょうし、日本では考えられないような苦労がたくさんあるでしょう。でも、その不便や苦労を楽しみつつ、太郎君は毎日を全力で楽しんでいるようでした。
太郎くんの宿を離れてカソールのいろいろな場所を歩いてみました。4月頭のカソールは山に雪が残り、菜の花が咲き乱れ、桃の花も咲き乱れ…まさにこの世の天国。一泊200ルピー(300円)で泊まって、こんな風景を堪能できる…あまりにもリーズナブルとしか言いようがありません。
これからインドに行こうと思っている方。首都のデリーや聖地バラナシ、タージマハルのあるアグラだけではなく、ぜひ、美しい自然のあるカソールへ!!! 美しいヒマラヤと、広いインドを堪能できる素晴らしい場所だと思います。
アクセス:デリーからマナリ行きの夜行バスに乗って朝8時頃ブンタール下車。もしくはデリーから飛行機でマナリ・クルの空港へ。ブンタールでバスか、950Rs払ってタクシーでカソールへ(ブンタール->カソール:2時間)
この記事の宿は2015年現在、営業しておりません。
太郎さん経営のカソールの宿の話を拝読しました。
40年近くの昔、欧米を放浪していた頃は、パリなどの大都市にはツアーの日本人観光客が沢山おりましたが、私のように、単独行のバックパッカーの日本人なんてのはほとんどおりませんでした。
今のように、世界の情報なんてものはほとんど入手できず、
それだけにどの土地へ行っても感動続きでした。
昨今の、行く前から分かっているような旅行には辟易し、
もう行きたいところもないと思っておりましたが、このエッセイを拝読して、
心の奥の熾火がまた燃えそうになってきました。
素敵です。
書き込み、ありがとうございました。
また、掲載まで時間がかかってしまい申し訳ありませんでした。
コメントいただいたのを発見できないでおりました。
40年前に色々なところを旅行されていたんですね。今では世界中どこに行ってもネットがあり、到着前に次の宿を決めてから…なんて皆やっているようですが、40年前だとネットはおろか、地球の歩き方だってない状態ですよね。そんな中旅行されていたとのこと…大変尊敬します。
確かに行く前から判っているというのは大変つまらないなと思います。言って、発見できるモノや事がたくさんありますよね。
仰られるとおりだと思います。
ネットは世界をつまらなくしている様な気がします
身の安全には十二分に気を付けて下さい。とても素敵なところだとは思いますが。お父さんやお母さん、日本の仲間が心配していることを忘れずに。邦人の殺害が続いています。