これが世界の終わりの姿なのか…魚臭さが空気を覆い尽くすソルトン湖を行く

今日は、ちょっとインドとアジアから目先を変え、米国の驚きスポットを紹介したいと思います。

ティラキタはインドとアジアの文化を紹介するお店なので、基本的に米国の話は書かないのですが、今回訪問したカリフォルニア州のソルトン湖はそんな前提を軽く崩してしまう位のインパクトのある場所でした。

ソルトン湖は米国のカリフォルニア州、ロサンゼルスから5時間ほど走った砂漠の真ん中にある塩湖です。


ソルトン湖はデスヴァレーと同様に海面下にあり、その湖水面でマイナス227フィート (-69 m) と、デス・ヴァレーの最低点より55フィート (16.76 m) 高い全米二位で西半球二位の最低地点です。流入する川はアラモ川、ニュー川、ホワイトウォーター川の3つで、ソルトン湖から流出する川がないので年々塩分濃度が上がっています。

元々標高の低い地点にあり、湖ができたり消えたりを繰り返していたのですが、1905年の洪水で人工的に作った運河が破壊され、砂漠にインペリアル・バレーの灌漑用水が流入し、現在見るような大きな湖が誕生しました。(参照:Wikipedia)

20年位前までは、ソルトン湖の塩分濃度は現在ほど高くなく、人々が移住してきて街ができましたが、ソルトン湖の塩分濃度が高くなり、魚が住めなくなり、湖が縮小するのに従って、ソルトン湖の周りの街は段々とゴーストタウンになっていき、現在の姿になったのだそう。

すなわちソルトン湖は、人間が開発をする過程で出現し、人間が環境に大きな影響を与えた代表的な例なのです。人類が環境にどのようなひどい事をし、そしてどのようなしっぺ返しを食らったのかを、実際にソルトン湖に行ってみて見てきました。


■夜中でも気温が40度オーバーの砂漠の中
ソルトン湖のほとりにあるソルトンシティに到着したのは、夕日が地平線の下に落ち、空が薄く赤い空気に支配される頃。ソルトン湖は米国の中で一番暑い場所という評判通り、40度以上の乾燥した熱風が身体を包みます。

砂漠の中にぽつんぽつんと人家が見えますが、あまり人の気配がしません。酷暑期だからなのか、それとも環境の変化で生活できなくなってしまい住民が移住していったからなのか…きっと、その両方なのでしょう。

車を降りてみると、むわっとした空気の中に、凄まじい魚臭さが混じっていました。

「なんだ? この魚臭さは?」
「うわ! 釣り堤防の臭さを100倍に煮詰めた感じだ」
「生臭すぎて気持ちが悪くなる…」

しかし、その夜はその魚臭さがどこから来るのか、なぜ魚臭さいのかが分からないまま、ソルトンシティのモーテルに宿泊することになりました。

■大量の魚が干物になっていた
次の日、ソルトン湖畔に行ってみました。かつての湖底は多少の凸凹はあれど、干上がって乾燥し、車で走れる状態になっていました。

湖岸についてみると…魚臭さの理由がわかりました。
なんと、湖畔一面に大量の魚が打ち上げられているのです。
魚、魚、魚…そのどれもが死んでいます。


近づいてみると…これはティラピアです。塩分に耐性があると言われるティラピアも、あまりの塩分の上昇に耐えられず死んでいっているのです。他の魚種はすでに絶滅したと聞きました。

打ち上げられた魚は通常であればすぐに腐ってしまうはずですが、ここソルトン湖では塩分濃度が高いので、あっという間に塩漬けの干物になり、魚の姿のまま、ずっと腐らずに岸に打ち上げられっぱなしになってしまうのでしょう。


完全にその姿のまま干からびています…
化石ができる現場を間近で見ているかのようです。


右を見ても、左を見ても湖岸にびっしりと魚が打ち上げられています。濃厚な死の香りが空間を満たしていました。世界が終わる時、風景はこんな感じになってしまうのではないだろうかとも思います。


■打ち捨てられた街
ソルトン湖岸の集落の一つ、ボンベイビーチと言う所にかつての街があるというので足を運んでみました。

ボンベイビーチには至る所に廃墟があり…


中は落書きだらけでした


なぜかパソコンの画面が廃墟の中にぽつんと置かれていました。


荒涼とした大地の中に廃墟がたくさんありました


もっと湖の方に近づいてみると…既に廃墟は廃墟ですらなく、かつてそこに家があったとわかるのみ。人間がこの地球上にいなくなったら地球はあっという間にこのようになってしまうのでしょうか。


砂漠の中の打ち捨てられた家々。ここに住んでいた人々はどこに行ってしまったのでしょうか。


ソルトン湖畔には打ち捨てられて完全に鉄の山と化した建設機械がありました。


船は原型を保った状態で残っていました。船の持ち主が最後にここを去った時には、きっと波打ち際に船を置いたのでしょうが、水面はだいぶ先に後退していっています。


かつての住宅地の廻りには、景観を良くするためにサイズの小さな湖が作られていたようです。その湖もやはり干上がり、バクテリアが繁殖してこの世のものとは思えない色の湖になっていました。


実際に行ってみるまで知らなかったのですが、ソルトン湖は人類がこの地球上で引き起こした最大の環境破壊の一つと言われているのだそうです。何千年か先、僕達人類が絶滅するその日に見る光景が展開されているかのようでした。

僕らの生命も有限ならば、また僕らの人間としての種の寿命もそのうち限界を迎えるはずです。その最後の日に、最後のニンゲンが見る光景がこの様な死の世界でないことを祈らずにはいられません。

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