タルチョーを作っている人たちに出会いました
一つ前のブログで紹介したデリーのチベット人居住区マジュヌカティラをうろうろ歩いていた所…当店のイベントでもたくさん使用し、販売もしているチベットの5色旗タルチョーの製作光景に行き当たりました。
タルチョーと言うのは、チベット人のアイデンティティともいうべき、五色旗の事。別名ルンタとも呼ばれていて、チベット仏教の聖地や寺院、チベット人の家の上にはためいています。布の上にはチベット仏教のお経が書いてあり、20枚から50枚位の旗が長い紐で結ばれて、いろいろな所に結べる様になっています。このタルチョー、風にはためくとカラフルで賑やか。さらにエスニックな感じも出て、大変素敵です。
でもインドパパ、今までこのタルチョーがどの様に作られているかを知らなかったのですね。「きっと機械で作られているんだろうなぁ…」と思っていたのですが、なんと手作りだったとは!! 初めてマジュヌカティラで製作工程を目にした時、その祈りにも似たゆったりとした動作に、畏敬の念を覚えずに居られませんでした。
それでは、実際に彼ら亡命チベット人たちがタルチョーをどの様に作っているのか説明してみます。
タルチョーはまず、五色の布の上に経典を印刷するところから始まります。この黒い板がタルチョーの原版。どれだけ長い間使っているのでしょうか…すっかり角がすり減った歴史を感じさせる木版です。
木版に近づいてみました。チベット語のお経とともに、馬に乗った人の絵などが一緒に彫り込まれているのが見えます。この木版もきっとチベット人の職人が手彫していったものだと思います。単なる旗と言ってしまえばそれまでですが、一つのタルチョーが出来るまでには木を彫るところから考えると大変長い時間がかかっています。
これがインクです。どんな種類のインクを使っているかは分かりませんでしたが、霧吹きで水を吹きかけていましたので、きっと水性のインクだと思います。
おばあちゃん、ブラシで板の上を擦り始めました。ゴシゴシ、ゴシゴシ。ブラシで丹念にこすり、インクを均等に伸ばしています。
インクを板に付け終わったら、ゆっくりと布を一枚取り板の上に置きました。
そして古新聞でゴシゴシ、ゴシゴシ…大変ゆっくり作っています。「毎日やっているのだろうから、もうちょっと早くやればいいのにな…」と思ってしまうのは忙しい日本人の悪いところでしょうか。
後はこれの繰り返し。ず??っと繰り返し。変わることといえば、旗の色が緑から黄色に、黄色からブルーにと変わるくらいでしょうか。どの位ゆっくりかはムービーを見ていただくのが一番だと思います。
旗が印刷できたら、次は紐と旗をミシンでくっつけます。旗を一枚取り
カタカタカタと縫って
終わったらさてと…てな感じでもう一枚。
まぁ、大変気の長い作業です。でも、このタルチョーづくり、彼らにとっては祈りと一緒なのですから、きっとこのペースでいいのでしょうね。どんな感じかはムービーをご覧ください。
このようにして作られたタルチョーはチベタンコロニー、マジュヌカティラの様々なところを彩ります。この記事の一番上の写真はマジュヌカティラの前面の歩道橋で撮影された一枚ですが、美しいタルチョーがデリーの街に彩りと個性を与えていました。
当店で取り扱っているのはネパール製ですが、きっと、製作工程はあまり変わらないことでしょう。だって、これを作ること自体が彼らにとっての祈りなのですから。
懐かしいチベタンリザベーション、いつのころからかデリーに行った時には必ず泊まるようになりました。
狭い門、入り組んだ通り、どこかのんびりしたチベタン達、お寺の招待所のヤムナー川に面した部屋でどぶくさくもインドらしい景色を眺めつつ過ごした日々を思い出しました。最後に訪れてから5,6年経ちますが風のうわさではもうお寺に泊まれないとか…..本当なら残念です。