死ぬかもしれない密造酒を森の中に飲みに行く
日本では、おいしいお酒がリーズナブルな値段で手に入りますので、手作りのお酒にめぐり合うことはありませんが、海外に出るとしばしば手作りのお酒を見かけます。
そもそも、お酒なんて、砂糖などの糖分が入っているものを放置しておけば勝手にできるもの。人類が知った一番初めのお酒はヤシの実が木から落ちて自然発酵してできたサル酒だという話もありますし、手作りのお酒はごく普通のものです。
むしろ、日本で手作りのお酒を全く見ないのが不思議なくらいです。実は、日本には酒税法があり、手作りのお酒を作ると犯罪になるのですね。国にとってお酒は大切な収入源。だから、勝手にお酒を作られては困るのです。古来から、日本にはどぶろくといった手作り酒がありましたが、国が税金を取りたいがためにその文化はなくなってしまいました。そんな理由で日本では手づくりのお酒がありません。
さて、国は変わってインド。インドでは宗教上の理由でお酒を飲むことができない場合があります。インドでは日本ほど簡単にお酒が手に入りませんし、お酒を人前で飲むこともあまり出来ません。お酒は「あまりよくないもの」なのです。お酒を飲めるバーなどの場所はパーミットルームと呼ばれ、コネや賄賂などを駆使して手に入れる特別なライセンスがないと営業することが出来ません。
そして、厳しく取り締まられている所にはどこにでも闇マーケットがあるもの…そうです。
インドには密造酒があるのです。
でも、インドの密造酒、全く良い評判を聞きません。「インド 密造酒」でググればすぐ出てきますが「密造酒を飲んで何十人死亡」みたいなニュースしか出て来ません。ちょっと探したらどんどん出てきます。
・インド、密造酒で167人死亡
・密造酒死者170人超に インド東部
・インド、密造酒で死者140人超 100人以上が依然入院中
酒類が入手しづらいという事が逆に「酒があったらパーティーが盛り上がる」「レアだからみんな喜ぶ」と言った要素になり、それが闇マーケットの付け入る所になるのでしょう。日常的にお酒を飲んだことのない人達だから、酔えれば何でもよく、飲むと目が潰れると言われるメチルアルコール入りだって判らないのでしょう。だから、密造酒を作るインド人達、超適当。普段から適当なインド人が超適当に作るものだから…結果、死者が出るのです。
そんな話を知りつつ、ヒマラヤの奥地に密造酒を飲ませる場所があると聞いて、ティラキタ買い付け班が行って来ました!!
「もしかしたら今回は死ぬかも…」と思いつつ、胸をドキドキさせて行ってきました!!
今回行った場所はここ。デリーの北400Km位のヒマーチャルプラディーシュ州の山の中です。
地図では矢印がついていますが、残念ながら細かい場所は曖昧です。
密造酒を飲みに行く前に、その地域で有名なヒンドゥー教のお寺に参拝しに行きました。
もしかしたら、今日死ぬかもしれないのですから、なにもないように神頼みです。
ヒマラヤに抱かれたヒンドゥー教のお寺は孤高で美しく、気高くさえありました。
霊験がありそうです。
でも、お酒ってヒンドゥー教で禁止されているんじゃなかったっけ?
禁止されているから密造酒作るんじゃなかったっけ?
むしろ逆効果かも…なんて思いますが、気にしないことにします。
お寺を出て、ちょっと走ると小さな街道の町がありました。宿が数軒、家が10軒くらいの本当に小さな町です。
密造酒を飲ませてくれる場所がどこにあるか判らないので、町の人に聞いてみます。
「手作りの酒を飲ませてくれる所はどこだ?」
何人かに聞いて、行き先がわかりました。町をだいぶ外れた森の中にあるそうです。
「森の中だって!!」
「ええーー、マジ? それって怪しくない?」
「死んだら、森の中に捨てられるんだよ」
一緒に行ったティラキタ買い付け班、既に腰が引けています。
死ぬ危険性がある密造酒を森の中に飲みに行く。
みんなが嫌がっているのに、インドパパ一人だけが大喜び!!
「こんな体験、もう絶対にできないよ!!」
町を離れること15分。車は真っ暗な道を走ります。インドですから、時々野良牛がウロウロしていたりします。
ドキドキしながらたどり着いたのがこのバラック小屋でした。
「え? マジ?」
「私、車の中でいいですか?」
「帰りたくなって来た」
逃げたがる買い付けスタッフを引き連れて、バラック小屋の中に入ります。
酒も手作りだそうですが、小屋も全部手作りです。単なる掘っ立て小屋です。
怪しいとか、そういう次元の話ではありません。
どう考えても、メチルアルコールで失明直前です。
奥に行ったら怪しいオジサンが色とりどりの瓶に白い液体を詰めています。
「これ、ホントに飲むんですか?」「死にますよ。死なないまでも絶対、下痢ですよ。アメーバ赤痢にかかりますよ」と、ドン引きのティラキタスタッフ。いつもイケイケのインドパパ、さすがに腰が引けてきました。
でも、ここまで来たら飲むしかありません。
薄汚れたビンから、白い密造酒が注がれます。
無造作に置いてあった薄汚いコップを拭いもせず、ダイレクトに注ぎます。
そして恐る恐る飲んでみると…木が燃えた味と、すっぱいヨーグルト臭がして、そして、かすかに舌の上にアルコールの雰囲気が残りました。アルコールは超微量。多分、アルコール度数1%を切るくらいでしょう。舌の上がピリピリするので、微発泡しています。雑味が多く、普段きちんとしたお酒を飲んでいる僕達にはさっぱり美味しいものではありません。そもそも、なんで灰の味がするのでしょうか? 味は薄く、コップ半分飲めばお腹いっぱいです。これ以上飲んだら死なないまでも、雑菌で下痢確定です。トイレと友達になり、足腰が立たなくなるのが眼に見えています。
と思ったら、案内してくれたインド人。なみなみと注ぎ、一気に飲み干します。
驚愕のティラキタスタッフ。
「これがインドの地酒だよ。どうだ! 俺達の酒、うまいだろ?」
いや…ごめん。申し訳ないけどもういらないヨ…
「俺達の酒、うまいだろ?」
ごめん、ホントに。
勘弁して下さい…僕達、死にたくありませんから…
そもそも、お酒なんて、砂糖などの糖分が入っているものを放置しておけば勝手にできるもの。人類が知った一番初めのお酒はヤシの実が木から落ちて自然発酵してできたサル酒だという話もありますし、手作りのお酒はごく普通のものです。
むしろ、日本で手作りのお酒を全く見ないのが不思議なくらいです。実は、日本には酒税法があり、手作りのお酒を作ると犯罪になるのですね。国にとってお酒は大切な収入源。だから、勝手にお酒を作られては困るのです。古来から、日本にはどぶろくといった手作り酒がありましたが、国が税金を取りたいがためにその文化はなくなってしまいました。そんな理由で日本では手づくりのお酒がありません。
さて、国は変わってインド。インドでは宗教上の理由でお酒を飲むことができない場合があります。インドでは日本ほど簡単にお酒が手に入りませんし、お酒を人前で飲むこともあまり出来ません。お酒は「あまりよくないもの」なのです。お酒を飲めるバーなどの場所はパーミットルームと呼ばれ、コネや賄賂などを駆使して手に入れる特別なライセンスがないと営業することが出来ません。
そして、厳しく取り締まられている所にはどこにでも闇マーケットがあるもの…そうです。
インドには密造酒があるのです。
でも、インドの密造酒、全く良い評判を聞きません。「インド 密造酒」でググればすぐ出てきますが「密造酒を飲んで何十人死亡」みたいなニュースしか出て来ません。ちょっと探したらどんどん出てきます。
・インド、密造酒で167人死亡
・密造酒死者170人超に インド東部
・インド、密造酒で死者140人超 100人以上が依然入院中
酒類が入手しづらいという事が逆に「酒があったらパーティーが盛り上がる」「レアだからみんな喜ぶ」と言った要素になり、それが闇マーケットの付け入る所になるのでしょう。日常的にお酒を飲んだことのない人達だから、酔えれば何でもよく、飲むと目が潰れると言われるメチルアルコール入りだって判らないのでしょう。だから、密造酒を作るインド人達、超適当。普段から適当なインド人が超適当に作るものだから…結果、死者が出るのです。
そんな話を知りつつ、ヒマラヤの奥地に密造酒を飲ませる場所があると聞いて、ティラキタ買い付け班が行って来ました!!
「もしかしたら今回は死ぬかも…」と思いつつ、胸をドキドキさせて行ってきました!!
今回行った場所はここ。デリーの北400Km位のヒマーチャルプラディーシュ州の山の中です。
地図では矢印がついていますが、残念ながら細かい場所は曖昧です。
密造酒を飲みに行く前に、その地域で有名なヒンドゥー教のお寺に参拝しに行きました。
もしかしたら、今日死ぬかもしれないのですから、なにもないように神頼みです。
ヒマラヤに抱かれたヒンドゥー教のお寺は孤高で美しく、気高くさえありました。
霊験がありそうです。
でも、お酒ってヒンドゥー教で禁止されているんじゃなかったっけ?
禁止されているから密造酒作るんじゃなかったっけ?
むしろ逆効果かも…なんて思いますが、気にしないことにします。
お寺を出て、ちょっと走ると小さな街道の町がありました。宿が数軒、家が10軒くらいの本当に小さな町です。
密造酒を飲ませてくれる場所がどこにあるか判らないので、町の人に聞いてみます。
「手作りの酒を飲ませてくれる所はどこだ?」
何人かに聞いて、行き先がわかりました。町をだいぶ外れた森の中にあるそうです。
「森の中だって!!」
「ええーー、マジ? それって怪しくない?」
「死んだら、森の中に捨てられるんだよ」
一緒に行ったティラキタ買い付け班、既に腰が引けています。
死ぬ危険性がある密造酒を森の中に飲みに行く。
みんなが嫌がっているのに、インドパパ一人だけが大喜び!!
「こんな体験、もう絶対にできないよ!!」
町を離れること15分。車は真っ暗な道を走ります。インドですから、時々野良牛がウロウロしていたりします。
ドキドキしながらたどり着いたのがこのバラック小屋でした。
「え? マジ?」
「私、車の中でいいですか?」
「帰りたくなって来た」
逃げたがる買い付けスタッフを引き連れて、バラック小屋の中に入ります。
酒も手作りだそうですが、小屋も全部手作りです。単なる掘っ立て小屋です。
怪しいとか、そういう次元の話ではありません。
どう考えても、メチルアルコールで失明直前です。
奥に行ったら怪しいオジサンが色とりどりの瓶に白い液体を詰めています。
「これ、ホントに飲むんですか?」「死にますよ。死なないまでも絶対、下痢ですよ。アメーバ赤痢にかかりますよ」と、ドン引きのティラキタスタッフ。いつもイケイケのインドパパ、さすがに腰が引けてきました。
でも、ここまで来たら飲むしかありません。
薄汚れたビンから、白い密造酒が注がれます。
無造作に置いてあった薄汚いコップを拭いもせず、ダイレクトに注ぎます。
そして恐る恐る飲んでみると…木が燃えた味と、すっぱいヨーグルト臭がして、そして、かすかに舌の上にアルコールの雰囲気が残りました。アルコールは超微量。多分、アルコール度数1%を切るくらいでしょう。舌の上がピリピリするので、微発泡しています。雑味が多く、普段きちんとしたお酒を飲んでいる僕達にはさっぱり美味しいものではありません。そもそも、なんで灰の味がするのでしょうか? 味は薄く、コップ半分飲めばお腹いっぱいです。これ以上飲んだら死なないまでも、雑菌で下痢確定です。トイレと友達になり、足腰が立たなくなるのが眼に見えています。
と思ったら、案内してくれたインド人。なみなみと注ぎ、一気に飲み干します。
驚愕のティラキタスタッフ。
「これがインドの地酒だよ。どうだ! 俺達の酒、うまいだろ?」
いや…ごめん。申し訳ないけどもういらないヨ…
「俺達の酒、うまいだろ?」
ごめん、ホントに。
勘弁して下さい…僕達、死にたくありませんから…