ヒマラヤの麓にひっそりと建つ、インドのとても美しいキャンプ場
■インドで一番美しいキャンプ場のひとつ
今回はインドで一番美しいキャンプ場を紹介します。インドで一番美しいとは言っても、そもそもインドにはキャンプ場がほとんどないのであまり「一番」という言葉の重みはありませんが、「世界の中でもトップクラスに美しいキャンプ場の一つなのではないか」と思わせる抜群のロケーションと、実直な人柄がそのまま出たオーナー夫妻の顔を思い浮かべながら、紹介してみたいと思います。
キャンプ場の名前はBACKWOODS holidays。BACKWOODS holidaysは言いづらいので、僕らはヴィカスのキャンプ場と呼んでいました。デリーから北に400km。夜行バスで12時間走るとヒマラヤの入り口の街、マナリに到着しますが、マナリから車で更に1時間ほど行った山の中腹にある小さなキャンプ場です。
ヴィカスのキャンプ場のセールスポイントは、雄大な自然の中でヒマラヤの絶景を存分に堪能できる所。ただそれだけなのですが、それだけが本当に素晴らしく、自分が喧騒のインドにいることを忘れてしまいそうになります。
ヒマラヤにかかる雲は一瞬たりとも同じ表情を見せず、刻々と変わっていきます。時間ごとに色を変える太陽と月の光に照らされた山と雲たちを見ているだけで飽きず、あっという間に時間が過ぎてしまう、魔法の場所なのです。
澄んだ空気の中にはためくタルチョーも素敵だし
沈みゆく太陽も素敵でした
800m下のマナリの光も幻想的でした。
山を延々と眺めるだけという豊かな時間がヴィカスのキャンプ場にはありました。
■手作り感満載のエコなキャンプ場
こちらがBACKWOODS holidaysを作ったオーナーのVikasさん。ティラキタ買い付け班はいろいろな縁があって、マナリ周辺の人々をよく知っていますが、Vikasさんは私が知っているマナリ周辺のインド人の中でも一番侠気があり、信頼できるナイスガイです。
Vikasさんはキャンプがあまりポピュラーではないインドで、夫婦で山の中にキャンプ場を作っていったのだそう。だから彼のキャンプ場はほとんどすべてが手作りです。
Vikasさんがキャンプ場を作りはじめた時、周りの人たちは「頭がおかしくなった」とか「そんなの成功するわけない」とVikasと奥さんのタシさんを非難したそうですが、数年かけて彼はやり遂げ、素敵なキャンプ場を作り上げました。
手作りのウッドテーブルと、白いパラシュートのテーブル。並べられている食事は全部地元の野菜や豆などで、できるだけオーガニック食材を使っているとのこと。
赤いコートを着ているのはチベット仏教の旅の僧侶たちで、ヒマラヤを越えて中国国境にほど近いスピティからやってきたのだと言っていました。
ハイセンスな外水道。曲がった木材を上手に組み合わせて作った素敵な水道です。正直、ここがインドとは思えません。蛇口から出る水はもちろん山の中腹から取水した沢の水で、(インド人は)そのまま飲むこともできるそうです。
こちらは寒い時に使う温水器。薪でお湯を沸かします。十分に温水が溜まったらシャワーも浴びれるそうですよ
敷地の中にはマナリ特産のりんごの木がたくさん生えていました。美しい自然を壊さないよう、最低限の手だけを入れているようです。
手作りのトイレ。「これも俺が作ったんだよ!」と自慢げなVikas君。
トイレはちゃんと洋式でした。これでも抵抗があるひともいるような気がしますが、インドにしてはまずまずですよね。
敷地内には10張りくらいのテントを建てることができるそうですが、常設は2?3個。帆布を利用した立派なテントが立っています。
テントの中にはマットレスもあって、電気も来ていたので携帯の充電ぐらいはできそうです。
■伝統的な家にも泊まれます
BACKWOODS holidaysの基地になっているのがこちらの伝統的な家です。木と岩を交互に合わせて作られていて、屋根は平たい石で葺かれています。
建物は2階建てですが、1階ごとの高さは低く、気をつけていないと頭をぶつけてしまう高さです。素材も天井の高さもネパールの昔の建物と似ています。
いろいろな形の岩を上手に組み合わせて作られた家なのがわかります。
旅行に来たら、綺麗なホテルもいいですが、やっぱりこんな素敵な所に泊まりたいものですよね。
階段の最上段から2階部分を見たところです
2階から雄大な山々が見えます。
■キャンプサイトからのトレッキングも楽しい
ヴィカスのキャンプ場からの道は、すべてが美しいトレッキングロードです。ただ、この場所は標高が2800m位ありますので、歩いているとあっという間に息が切れてしまうのですよね…
素敵なおばあちゃんに出会ったり
ガタガタの車道を通ったり
雄大な自然に包まれながら歩いたり
キャンプサイト近くの集落に遊びに行くのも素敵です
森のなかで野良牛に出会いました
Vikasさんちのキャンプ場。とってもお世話になったので、お礼にと思ってブログの記事にしたのですが、じゃあ、お礼じゃなかったから書かないかって言ったら、そうではありません。心からオススメできる、本当に素晴らしいホスピタリティあふれるキャンプ場です。
日本からここを目指していく様な場所ではないかもしれませんが、デリーの喧騒に疲れた時の小旅行や、マナリやヴァシストを訪問したついでに訪ねてみると、きっと素晴らしい時間が過ごせると思いますよ。
■住所と地図
住所:Hamta 175143 Manali, Himachal Pradesh
TEL:+91 94599 96999
Web:www.backwoodsholidays.com
場所:
アクセス:
デリーから夜行バスで14時間。片道1200Rs程度です。チケットはパハールガンジの旅行会社か、カシミーリーゲートISBTのバススタンドにて購入できます。通常、バスは夕方の17時頃出発して、朝の8?10時頃にマナリに到着します。
BACKWOODS holidaysへの道は水力発電会社が持っていて一般の車は通行できませんので、宿泊する時に必ずオーナーのVikasに連絡し、迎えに来てもらって下さい。キャンプサイトはマナリから1時間ほどです。