インドの結婚式には不思議な儀式がいっぱい。 秘められた儀式の意味を探る


目次

■インド人の結婚式は人生の一大事!
最近日本では、結婚式をしない人や、あまり大きくしたくない人も増えていますが、インドでは結婚式は人生の中の最大の行事。沢山のお金をかけて、それはそれは派手に行います。インド人の結婚式の準備はだいたい半年くらい前から、長い時には一年前から始まります。一生に一回しかない、年収の4倍をつぎ込む大事な行事ですので、その準備にも長い時間がかかります。

まず、結婚式をするとなったら日取りを決めなければいけません。日取りは専門の占星術師に来てもらって占いで良い日を決めます。良い日は個人個人で変わるわけではないので、結婚式は特定の日に集注する傾向があります。

暑いインドの事ですから、結婚式は主に冬。夏のインドで、気温40度の中で行われる結婚式もたまにはありますが、あまり一般的ではありません。インドの結婚式シーズンは気温がマイルドになる10月から2月までなのです。

日取りが決まったら、結婚式場を予約します。それと同時に結婚式の業者も手配します。また、親族のやたら多いインド人のこと。インド中から親族が50人、100人と集まりますのでホテルの手配もしなければいけません。一生に一度、そして年収の4年分をかけますので、予約するホテルは普段自分たちが使っているホテルよりも一クラスも二クラスも上のものになります。

インドパパ、インドの結婚式には何回か呼ばれていて、このブログでも紹介してきました。インドの結婚式に参加してきましたインドの結婚式 がその記事なのですが、きっと、彼ら的には外国の取引先が居ると結婚式のステータスが上がるんだろうなと思い、人寄せパンダ的な気分で参加したりしています。
■ソナル君とプラティックちゃん、末永くお幸せに!
参列する時に、いつも不思議に思っていたのが、彼らの結婚式における儀式の多さです。白馬に乗ったり、ココナッツを割ったり。インドの結婚式にはいろいろな儀式があるのですが、日本人である私達にはわからない事だらけ。

と思っていたら…つい先日、ヨガウェアを売りたいと言っていたプリヤちゃんが、友人に頼まれて、インドの結婚式の儀式についてわかりやすく書かれた招待状を作成したのだそうです。おお、これはわかりやすい!!という事で、インド人にしかわからない用語を噛み砕きつつ、もっと分かりやすいように翻訳してみました!!

なお、プリヤちゃんのFBはこちらです。ぜひ訪問してみて下さい
https://www.facebook.com/PurpleSoulArt/







■結婚式当日に行われる儀式を紹介するよ!
インドの結婚式は短くて3日間、長いと一週間くらい行われます。結婚式の前々日に行う儀式、前日に行う儀式もたくさんあるのですが、このパンフレットでは、結婚式当日の結婚式場で行われる儀式が紹介されていました。

1.バラート - 新郎のパレード(Baraat-Groom's Parade)

結婚式当日がやってくると、新郎は白い馬に乗り、家族や友人、そして数多くのゲストとともに結婚式場に向かいます。

こんな感じの真っ白な馬に乗り…


夜の街をパレードしながら結婚市場に向かいます。



2.ミルニ - 家族の抱擁と祝福(Milni - Family Embrace and Greet)

新婦側の親族が、新郎側の親族を結婚式場の入り口で出迎えて、挨拶をします。挨拶と同時に新婦の親族が新郎に、素焼きの壺を差し出します。

新郎はこの素焼きの壺を片足で割ってみせるのですが、これは結婚するのに十分な力があるか、そして、結婚中におこる幾多の困難に立ち向かう力があるかをテストすると言う意味合いがあるのだそうです。



3.ジャイ・マラ - 花輪の交換(Jai Mala - Exchange of Garlands)

素焼きの壺を新婦が無事に壊すと、次に、新婦が結婚式場の入り口に登場します。
ここで新婦が新郎に花輪を渡し、正式に結婚することが決まります。

なお、インドでは花輪は聖なる意味合いがあり、神様に飾られたり、コンサートの時に演奏者を祝福したり、結婚式などの大切な時に使用されたりします。



4.新郎の到着とヴィシュヌ神への祈り(Arrival of the Groom and Vishnu Puja)

結婚式場の入り口で、結婚することが決まった後、新婦の両親により、新郎が結婚式場内にある祭壇へと導かれます。

新婦の両親は不運や障害がなくなるようにと、聖なる火で新郎を祝福します。これはアールティと呼ばれるもので、火を灯したハンドル付きの香炉を、円を描くようにして新郎にかざすのです。

アールティをする事により、幸運を呼び寄せ、将来の子どもたちにも幸運が訪れると信じられています。


5.カンヤ・アガァマン - 新婦の到着(Kanya Agaaman - Arrival of Bride)

このタイミングで、再度、新婦が新郎の前に姿を現します。
しかし、この時は、まだ新郎が新婦を直接見ることはできません。
新郎が直接新婦を見ることがないように、新婦の目の前には布が掲げられ、目隠しをします。

新婦は、男兄弟と、母方の叔父に導かれ、新郎の目の前に座ります。

6.ジャイ・マラ - 花輪の交換(Jai Mala - Exchange of Garlands)

再び、花輪の交換が行われます。新郎と新婦が、お互いを永遠のパートナーとして選んだと言う意味合いで、花輪を交換します。

その後、新婦の両親が、ヒンドゥ教の司祭の横で、ラクシュミー神に祈りを捧げます。

そして、新婦と新郎のスカーフが結ばれます。これは"Tying Knot"と呼ばれ、文字通り、お互いの絆を深めるためにするもの。

またヴァルマラと呼ばれる糸が、新婦の両親と親族によって、新郎と新婦に置かれます。ヴァルマラは結婚生活における障害の排除と、新郎、新婦が一つになるシンボルなのだそう。

7.ハスタ・メラップ - 手を合わせる(Hasta Melap - Joining of Hands)

新婦の右手を新郎の右手に置きます。
これがハスタ・メラップと呼ばれる行為で、結婚が完全になされたことを意味します。

ハスタ・メラップには、お互いを尊敬し、将来に渡って愛する、などの意味合いがあります。



8.カンヤ・ダァン - 娘を手放す(Kanya Daan - Giving away of the Bride)

そして、新婦の両親が正式に娘を手放す瞬間がやってきます。
これはカンヤ・ダァンと呼ばれるもので、新婦を、新郎と新郎の家族の元へと渡します。


9.アグニ・プジャ - 聖なる火(Agni Puja - The Sacred Fire)

ヒンドゥ教の司祭が、聖なる火を熾します。聖なる火は婚礼を輝かし、無知の闇を追い出します。



10.マンガル・フェラ - 人生のゴールの認識(Mangal Phera - Commitment to Life's Goals)

新郎と新婦が、先程熾した聖なる火アグニの周りを7周回ります。一周毎に、彼らはダルマ、アルタ、カーマ、そしてモクシャと呼ばれる、ヒンドゥー教で説かれる人生の4つの目標を意識します

  ダルマとは、人として守るべき規範、正しい行い
  アルターとは、仕事やお金、健康などの実利
  カーマとは行為
  モクシャとは解脱

のことで、いずれも人生において大切なことだとされています。人生において大切なことの一つが解脱だと言うのがインドらしいですね。



11.サタパディ - 7回のステップ(Satapadi - The Seven Steps)

新郎と新婦が一緒に7回ステップを踏みます。一つ一つの足踏みが結婚の異なる面を意味し、彼らが結婚生活を無事に過ごし、一生涯を通じて真実のパートナーとなれるように願います。

  1.お互いに食物を与え合うこと
  2.お互いに強くなること
  3.裕福になること
  4.喜びも悲しみも共有すること
  5.両親と生まれてくる子供の面倒を見ること
  6.ずっと一緒に居ること
  7.生涯に渡っての友人であること。

この7つをステップとともに約束します


12.マンガル・スートラとシンドゥール - 新郎の誓い(Mangal Sutra / Sindoor - Groom's Promise.)

マンガル・スートラとシンドゥールでは、新郎が新婦に対して、まず、シンドゥールと呼ばれる赤い粉を額に塗る所から始まります。

インドに行かれた方の中で、女性の髪の分け目に赤い印がついているのを見たことがある方もいらっしゃると思うのですが、あの赤い印がシンドゥールです。シンドゥールは既婚女性を示す昔ながらの習慣です。

マンガル・スートラは、伝統的な黒ビーズのネックレスなのですが、この黒ビーズのネックレスを新婦が新郎にプレゼントします。その後、結婚指輪をはめます。

13.カンサール・バクシャナム - はじめての食事 (Kansar Bhakshanam - First Meal Togather)

新郎と新婦が、一緒にご飯を食べる儀式です。

新郎は新婦の口に、新婦は新郎の口に、甘いスイーツを入れます。



14.結婚の祝福 (Akhand Sobhagyavati Bhava - Blessings for Marital Bliss.)

既婚女性が新婦の周りに集まり、新婦の右耳に結婚の祝福をささやき、お米の粒を空に撒きます。

囁かれる祝福は、アカンド・ソバギャバティ・バヴァ=永遠に幸せな結婚生活をと言うもの。



15.最後の祝福(Aashirwad- Final Blessing)

長かった結婚式のセレモニーも、終りが近づいてきました。新婦の母親が、6番のジャイ・マラで繋がれていた新郎と新婦の結び目をほどきます。

その後、新郎と新婦が互いの両親、目上の親族、司祭の足を触ります。この足を触るという行為は、日本や西洋世界では見かけませんが、インドでは最高の尊敬を表現する方法として認識されています。


16.花嫁を見送る(Vidai - Bride's Farewell)

数々の儀式が終わって、新婦が正式に新郎側の家族の一員になります。新婦が新郎の家族のもとにエスコートされる時、新婦の家族は新婦に対してさよならを言います。


17.指輪探し(Aeki Beki - The Ring Game)

結婚式後の余興として行われる定番のゲームが、アエキ・ベッキと呼ばれる指輪探しゲームです。

赤い染料と牛乳が入った不透明の水が入ったお盆に結婚指輪とコインを一緒に入れ、指輪を一緒に探します。
この指輪探しゲームは7回行われるのですが、より多く指輪を見つけられたほうが結婚生活の主導権を握れるのだとか…


■実際の結婚式風景は
実際のインドの結婚式風景を紹介しましょう。
沢山のお客さんがいます。インドの結婚式はどんな人でも自由に入ることができます。

パーンと呼ばれるインドの嗜好品コーナーがあったり


お酒が許されないので、ドリンクコーナーは全部ジュースだったり


いろいろな食物をどんどん勧められます


これは牛乳にサフラン、カルダモンを入れたバダムミルク


素敵に着飾った女性たちが素敵です


ステージの上に立つ新郎新婦はもっと素敵!!


こんな感じで行われるインドの結婚式。日本の結婚式とはだいぶ違いますね。

インドの結婚式は誰でも入場ができます。招待状を持っていなくても、ご祝儀を持っていなくても、ちゃんとして服を着ていなくても大丈夫!! 勝手に入ってOKだし、もちろん飲食も自由です。新郎と新婦の前途を祝い、祝福する気分があれば大丈夫!

インドに行って、結婚式があったら、ぜひ、結婚式を訪問してみてください。
きっと、今まで知らなかった異文化に触れることができると思いますよ!!
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