ほうき一つで大騒動! ネパールと日本に見る、ほうきの取扱い方について
インドやネパールと日本は全く違う文化の国ですが、「え!? こんなもので?」と思う所にも大きな違いや、不思議な共通点があります。今日は、変哲もないほうきの取扱いで、ティラキタが大騒動になった話を紹介したいと思います。
■ほうきがダメにならないようにしたい
ある朝のことです。いつものように、ほうきが房の方を下にして置かれているのを発見しました。インドパパは親から「ほうきの房の部分がダメになるから、ほうきは必ず逆さまにして置け」と教え込まれてきましたので、ほうきが房の方を下にして置かれている事に違和感を感じます。ねえ、サラダちゃん。ほうきなんだけどね。 お願いがあるんだけど、ほうきは逆さまにして置いて欲しいんだ。 | |
え? それはできませんよ!! | |
だって、ほうきの房の部分を逆さまにして置くと、すぐにほうきの房が曲がって使えなくなってしまうでしょう? ムダじゃない? | |
それでもイヤです!! | |
なんで? | |
ほうきにはラクシュミー神様が宿っているんです。だから、ほうきを逆さまにして置くことはできないんですよ。 | |
え? ほうきにラクシュミー神様? | |
そうなんです。ほうきにはラクシュミー様がいて、大切に扱わなければいけないものなんです。 | |
まぁ、綺麗にするためのものだし、そういう事もあるのかな…じゃあ、ほうきに紐をつけて、どこかに引っ掛けられるようにしておくれよ | |
あ、それだったら大丈夫です。そうしますね! |
という事で、一件落着したのですが…
■日本のほうきとネパールのほうき
ちなみに日本のほうきとインド&ネパールのほうきは使い方も作りも違います。一番わかり易いのが商品紹介のバナーになっちゃうのですが…このように、インド、ネパールのほうきは細長く、しなるようにできています。房の部分が長いので、腰を少しかかがめないといけないのですが、房の部分がしなるので、広い面積を一気に掃けて便利なのです。インドは大変砂埃の多い国なので、そんなお国事情が反映された作りなのでしょう。房が長いのでベッドの下なども簡単に掃除できそうですね!
■次の朝、別の店員が顔色を変えてやってきた
次の朝になってティラキタで長く勤めてくれている信頼している店員の一人が、顔色を変えてやってきました。店長!! 大変です!!! | |
どうしたどうした? | |
店の前にほうきが逆さまに立てられています!! | |
え? あー、それはね。昨日、サラダちゃんにほうきがダメになるから、逆さまにしておいてって頼んだんだよ。 | |
それはダメですよ!! お店の前に逆さまなほうきがあるとお客さんが帰っちゃうんですよ。 | |
え? そんな事あるの? | |
そうですよ。 逆さ箒って言って縁起が悪いんですよ。 お客さんを帰す時にやるんですよ! | |
マ・ジ・カ! そんな話、はじめて聞いた!! |
気になって調べてみると…確かに「箒を逆さまに立てると客が帰る」という言い伝えが日本にはあるようです。
そんなの知らなかったわ…このブログを読んでいる皆様、知ってます?
僕がモノを知らなすぎるんでしょうか………
日本では箒には神様が宿る神聖なものであるとされ、不思議な力があると信じられていたのだそう。昔の日本人が大切にし、聖なるものとして扱ったお米がなる稲を材料にして作られていたのと、物を掃くイメージに特別な力があると考えられたのだとか。
菷は掃除の道具ではあるが、祭祀等にて用いられてきた神聖な道具でもあり、日本の庶民の間においても菷神(ははきがみ・ほうきがみ)という神が宿るとされたそうです。
妊婦の枕もとに立てて安産を祈ったり、産気づいたときに燈明を点けて妊婦に拝ませる、そしてその箒で妊婦の腹をなでるということも行われ、新品の菷で妊婦の腹をなでることが安産につながるとも信じられたのだそう。
なるほど…勉強になります。
確かに、迷信や宗教的な話を抜きにしても、掃除をすると運気が上がると思います。
会社や工場においては、掃除をして、みんなの動きを良くすれば、ムダな動きが減り、材料の紛失がなくなるので、自然と効率が良くなり、それが収益に直結します。家の中も、汚い家の中よりも、きれいな家の中を保ったほうが気持ちもスッキリしますし、何よりムダなものを持たなくなるので、無駄遣いが減るような気がします。
なるほどねぇ…昔からの言い伝えにも一理あるよねぇ…
■ネパールと日本の不思議な一致
箒にラクシュミーが宿ると考えるネパール人、箒が神聖なものだと考える日本人。あれ? よく考えたら、話が一緒じゃん!!!!
ネパールと日本は、何千キロも遠く離れた国です。飛行機ができる前は、今のように交流があった訳ではありません。でも、日常的な箒の扱い方に共通性があるとは!!
実は、ネパールと日本には、日本と似ている点が色々あります。特に似ているのは国民性で、インドを廻った後に、ネパールへ行くと「何だかほっとする」と感じるのですね。
インド人は押しが強くて辟易する時がありますが、ネパール人にはそういう押しの強さはなく、日本人に見られるような奥ゆかしさがあります。日本も、ネパールも山に囲まれた国であり、農業国であるという地理的条件がそういう国民性を生み出すのかもしれません。
日本に昔あったどぶろくは、ネパールではチャンと呼ばれて、今でも飲まれていますし、ネパールには蕎麦があります。また、血液型の比率も日本とネパールでは似ているのだとか…
ネパールと日本。
遠く離れた2国に不思議なまでの共通性を見いだせる所に、人類社会の面白さを感じます。
人間みな兄弟って事なんでしょうかねぇ。
長居を決め込む客の居る部屋の壁にタオルをかぶせたほうきを逆さに立てて見せて早く帰れというメッセージを伝える事は日本文化の中に定着していた筈ですが、最近は客間の畳に座り込む客という「場面」も全く乏しい時代になってしまいましたが(途中省略)多少の解説がこのURLにもあります。
http://www.tamagoya.ne.jp/manner/2008/01/324.html
まんが「サザエさん」の中にこれの名場面があったはずです。ある知り合いの邦楽屋さんは三味線立て台に三味線の代わりにタオルをかぶせたほうきを(天に向けて)立てて「そーっと」客間に隅の方から押し込む(んだ)との事でした。昭和にじゅうなんねんの頃の事ですが。
いつも楽しく読ませて頂いています。それにしても国によって、いろいろ違うんですね。それは日本も込みで。
ネパールのほうきがほしくなってしまいました。
こもも
市川ひろみの、確かお茶のコマーシャルでしたか
「新幹線なんか待たしといたらええやん」と言いつつ客を引き留めながら
裏では逆さ箒してる絵面のがありました。
でもまあ私の周りでもピンと来ない人が多かったですよ。
すみません、「市田ひろみ」でした。