インド人が激怒!? フライヤーの作成を通して見るインドと宗教
目次
■来年のSHIVAはインドで開催!!
今、来年のDANCE OF SHIVAの計画をしています。知らない方のためにちょっとだけ説明しますと、DANCE OF SHIVAとはティラキタが総力を挙げて年に一度行っている野外フェスのこと。インドとインドに影響された音をテーマに9年間開催してきました。来年は記念すべき10周年!! ということで、10年目の来年はインドで開催することとなりました。 来年のGWにインドのヒマラヤの山の中で行います。
さて、インドで開催するということで…インド人たちの懐を借りてイベントを行うわけですから、もちろんの事、彼らの文化や事情をよく汲みとって、彼らが受け入れられるものにしつつ、かつ、新しい感じに仕上げていく訳です。
■なぜかインドでイベントをやることに
そもそもの発端は、インドでボクの友人が宿を始めた所から始まります。
友達がインドで宿を始めたって言うので、カソールという場所に遊びに行きました。
その話はこちらに詳しく載っています。
「美しすぎる!! 世界で一番辺鄙で綺麗なところにある日本人宿」
お互いパーティー好きということもあり「ねえ、太郎君、一緒にここでパーティーやろうよ!!」と意気投合。一緒にパーティーの準備を始めました。
現地のPAさんを紹介してもらい、一緒に場所の下見をして、一旦日本に帰って来たのですが…
日本で僕は髄膜炎にかかり、入院し、最終的に心臓手術まで行う大病を患ってしまい。
太郎君もまた、宿を閉め、流浪の旅に出てしまったのです。
人生本当に色々あります。
もう諦めるしかないかと思っていましたが、その一年後…
インドでパーティーをやる夢が再燃してきます。
「やっぱり、僕はインドでパーティーをやりたい」
「みんなをあの面白い国に連れていきたい」
「ヒマラヤの山の中で好きな音楽を聞いて遊びたい」
そう思い、再度、インドのパーティーに下見と手伝いに行ってきたのです。
その顛末はこちらに詳しく載っています。
「インドの野外パーティーに設営から参加してみた」
現地でいろいろな人と出会い、インドならではの理由もよく理解し、改めてパーティー計画再始動!!!
一つのイベントを行うには、色々な準備をしなければいけませんが、今日はフライヤーの話をしたいと思います。
■インド人に受けるフライヤーとは
フライヤーのイラストをお願いするのはいつもフライヤー完成から逆算して数カ月前。一枚のイラストですが、A3で印刷しますので、完成までには数ヶ月かかります。
今回はイラストレーターのタケちゃんから「線画で描きたい」と言う希望をもらい、まず最初に原画を作ってもらいました。最初にタケちゃんから貰ったのはこのイラストです。
フライヤーがイベントのイメージのすべてを担うと言っても過言でないので、イラストレーターさんに悪いと思っても、言うべき所はきちんと伝えます。むしろ何回も意図を理解して書きなおしてくれるイラストレーターさんでないと、納得のいくものは出来上がりません
このイラストの問題点は「あまりにもインドすぎる」ことです。
インドでインド過ぎるフライヤーって…意味ないんじゃないかな?
日本大好きな外人が、VISIT JAPANのポスターを作るようなもんだよな?
そりゃダメだ。
僕はイラストレーターではないのですが、PhotoShopを駆使してなんとかイメージを伝えます。
あまりにもインド臭いイメージを排除し、もうちょっとスピリチュアルな感じにします。
「これでどう? こんな感じにしてほしいな…」
「わかりました?! 少々お待ちを!!」
■暴動を引き起こすフライヤー
そして、数週間後、納品するバージョンが送られてきました。メカSHIVAがやって来ました。
アキラみたいでカッコいいです。
いいじゃん!! 流石ーー!!!
でも…なんか引っかかります。
第六感が「これはダメだよ」って言います。
感じたのはSHIVAが怖いことです。
なんか怖い…そこでハタ!と気が付いたのは、「僕らは日本でイベントをやるわけではないんだ」って事でした。
「これを見せたらインド人はどう思うの?」と。
「これが街中に貼ってあったら、年配のお硬いインド人はどう考えるの?」と。
これ、日本国内だったらイイけど、インドでこのイメージを出したら神さまへの冒涜って思われるよ。
外人がインドに来て、自分たちの神様を冒涜したらどうなる?
これはヤバイ。
ヤバイっていうか、暴動になるかも…
インドは日本と全く違うお国柄で、みんな、自分たちの宗教や神さまを非常に大切にしています。
これはデリーのニューデリー駅前。なんかの宗教行事ですが、動けないほどの人がいます。
信仰に熱心なあまり、暴走する人もいます。
インドのオリッサ州などでヒンドゥー教過激派によるキリスト教徒に対する暴動が起きた問題
こんな記事を読んでいるうちに、パーティー会場に宗教者たちが乱入してきて、僕らをフルボッコしてるイメージが脳内にありありと描かれてきました…完全に悪夢です。
src:フーテンの旅日記
ヤバイよ!! 本気でヤバイよ!!
もちろん、そんなことはあり得ないことですが…
サドゥは人のことを襲ったりなんてしませんが、別の宗教者達が来るかもしれません
これはマズイ!! 相当マズイ!!
絶対に修正して貰わなきゃ。
という事で、神さまを神さまらしくすることにしました。
頭の線は3本でなければならないとか、色は神さま色してなきゃダメとか。
インドが大好きなだけで、ヒンドゥー教徒でもなんでもない日本人としては完全にどうでもいいことですが、彼らにとっては最重要問題です。インドで何かをやると言うのは、彼らのことをきちんと理解し尊重しなければいけません。
これが、修正をお願いした画像です。神様を神様らしくしてくださいとお願いしています。
■インド人にダメ出しをされる
そして数日後…新しいイラストが上がってきました。
今度は、完全にSHIVA神です。これでもうバッチリ。
ちゃんと向こうの事をリスペクトしている感じが伝わってくるのではないでしょうか?
僕ら、インドが大好きなんだよ!!って全力で伝えた感じです。
最終チェックのためにインド人に画像を送ってみました。ムンバイの友人と、デリーの友人と、今回のイベントのPAさんと。合計4人に話を聞きます。
ムンバイの人は「大丈夫だと思うわ!! 以前の緑のSHIVAよりは格段にいいわ」との返事
デリーの人は「これがOKかどうか、ヒマーチャルプラディーシュ州の州政府に問い合わせてあげようか?」と余計な返事。そこまでは求めてませんwww
そして、PAさんからはもっと厳しい意見がやって来ました。
「俺は今までシヴァの絵がフライヤーになっているのを見たことがない。悪意のある人が騒ぎ始めたらどうするんだ? もうちょっと普通の感じにすればいいじゃないか」
そう言う風に言われるっていうのは「要はダメ!」って事でしょう。
そっか、神さま使っちゃダメなんだ。日本と違い、インドでは色々なものに神さまが使われています。お店の宣伝カレンダーにも神様がいるし、名刺にも神様を使います。だからいいかと、軽く考すぎてたのでしょう。ダメっていうか、問題になる可能性が否定出来ないのでしょうね。
今回は来年のみんなのGWを素敵にする計画です。せっかく航空券取って、貴重な休みにインドまで来てもらって、それでフライヤーのせいでイベントが出来ないとか…絶対に避けなければいけません。
■本気で困り、そして最終版へ
「どうしよう?。本当にどうしよう」
もう、イベントまで半年を切ってるし、みんなのVISAとか航空券購入とかのタイミングを考えると、もう情報をリリースしなければいけません。
イラストを作りなおすなんてもう出来ません。
イラストを描くのに2ヶ月もかかるのに…
ああ、もう、中途半端なのを出すしかないのかな…
星雲の背景とか、ダッサイのを現地向けに作るしかないのかな…
ヤバイ…どうしよう…
フライヤーができないとパーティー出来ないよ。
フライヤーがダサかったら、気分アガらないよ…マジどうしよう…
延々悩んで、悩み抜いて。
そして閃きました!!!
そうだ!!! 宗教なくしちゃえばいいんだ!!!
YOGAだよ!!
チャクラだよ!!
キター!!!
本当に困ると、人間なんとかなるものです。
チャクラですよ。インドと言えばヨガ!!
という事で、こういうイメージを作って送りました。
夜中、タケちゃんから連絡が来ました
「あのー、僕、あれじゃ嫌です。 ちゃんとしてないのを僕の絵だって言うのは嫌です。」
「そうだよね。頑張って描いてるんだし、すごくよく判る…」
という事で、更にタケちゃんが描き直し、今のこのフライヤーが出来上がりました。
上がってきた絵は最高に素晴らしく、抜群の仕上がり。
流石、タケちゃん!!!
インド人も
「これだったら大丈夫よ!!」
「素敵だね!」
「インドとトランスの両方の要素がよく混じってる!」 と太鼓判。
これで一安心です。
インドでイベントをやるっていうのは、ここまで考えなきゃいけないのかと。
これを読んだ人は「そんなの当然だろ」って言いそうですけど、じゃあ、僕らがやっている過程で誰にも言われないでそれに気がつくかどうかは難しい所だと思います。全く文化も何もかもが違うっていうのは、怒りポイントもまた違う、常識もまた違うって事なんだなと改めて本当に理解。
タケちゃん、何回も、何回ものリテイクと修正、今回は本当にお疲れ様でした!!!
これで安心してイベント出来るね!!!
そして、来年のインド版DANCE OF SHIVAのHPはこちら。
ぜひ、ごゆっくりお楽しみください
http://www.tirakita.com/event/2016/index.html
インドパパ、タケちゃん、皆様すごいです。
フライヤー、とてもかっこよくて、ぞくぞくします。
イベント、きっと成功すると思います。