工場制手工業(マニュファクチュア)の真骨頂! 全てが手作りのロクタ紙工房を徹底レポート
目次
■ただロクタ紙を作っただけでは商品にならない
今回のブログでは、ネパールの人たちが、シンプルなロクタ紙から製品を作り上げていく過程を、写真たくさんでレポートしたいと思います。
前回はヒマラヤに生えるロクタの木から、ロクタ紙を作るまでをレポートしました。木の皮を柔らかくしてパルプにし、木の枠で漉いて乾燥させて作ります。一枚のロクタ紙を作るだけでも、長い工程とドラマがありました。詳しくは「ネパール手漉き和紙-ロクタの工房に行ってきました」をご覧ください。
こちらは出来上がったロクタ紙を、一枚一枚、人の手で取り込んでいるところです。今回のレポートはここから始まります。
こちらは取り込んだロクタ紙を一枚一枚、製品として問題がないか、検品しているところです。
■ロクタ紙に色を染める
紙を作る工程を見終わったティラキタ買い付けスタッフが、ロクタ紙工房の別の区画に行ってみると、一面に青いパネルが広げられていました。パネルの表面には一枚づつ、青く染色されたロクタ紙が広げられて干されていました。
ネパール人のおばちゃんたちがくしゃくしゃになっている青いロクタ紙を、一枚一枚手で広げて乾燥し、乾燥された所でまた一枚一枚、手で取り込む所を動画にしてみました。
別の場所には一面に赤いパネルが広げられていました。この赤いパネルも青いパネルと同じように、パネルの中に赤く染色されたロクタ紙が張られています。
おばちゃんたちが、くしゃくしゃのロクタ紙を一枚一枚、手で広げています。
実際に染めるのはどうやっているかというと、ちょっと大きめなタライの中に色水を作り、その中に白いロクタ紙をドブ漬けすることによって染色していました。「色水の中に漬けるだけ」と言う、とっても単純な染色ではありますが、染める工程もやはり手作業でした。
■ロクタ紙に印刷する
染める工程が全部手作業だとしたら、印刷する工程はどうなのでしょうか? コンピュータにプリンターとか、印刷機とか使っているのかな?と思って行ったのですが…出迎えてくれたのはやはり、全部手作業でモノを作っている光景でした。
大きな木の枠にはスクリーンが張られていて、その上にインクを載せて、ヘラですいっと前後に動かします。薄いスクリーンに図柄通りに小さな穴があいていて、そこからインクが染み出ることによって印刷が出来ます。
これはスクリーンプリントと言って、一度スクリーンを作れば、同じものがどんどん作れるという、インドやネパールでは非常に多く使われている印刷方法です。紙だけではなく、布もスクリーンプリントで作られています。
とは言うものの、一度印刷したら印刷するモノ(ここではロクタ紙)を移動して、また新しくセットし直さなければいけないので、人手はかかります。すいっと作れるとは言っても、決してそこまで効率的な方法ではありません。
2-3色を使った柄だと、2回、3回と印刷しなければなりません。大きく図柄がずれたら失敗で、売り物にならないので、とても真剣に位置合わせしながら作業していました。
印刷されたロクタ紙はインクが半乾きになるまでは、この様な棚で干されます。
半乾きになって、インクが移らなくなったら、洗濯物のように屋外で干します。
刷り上がったロクタをアップにしてみました。こんなに美しく出来上がるものなのですね。
■出来上がったロクタ紙でノートを作る
工房の一角ではロクタ紙でノートが作られていました。お母さんたちが何人も集まり
全員で仲良く作業しています。これはノートに背表紙をつけている所です。
出来上がったロクタ紙ノートです。手作業なのに、本当にきれいに作るものですね。完全にプロの仕事です。
■他にもいろいろな物が作られていました
これはヨーロッパに輸出するためのHAPPY BIRTHDAYのハンギングを作っている所。糸に紙片をのりで貼り付けるのもやはり全部手作業でした。
出荷前の最後のパッキングをしている所です。もちろんここも全部手作業です。
■出来上がったロクタ紙で箱を作る
工房の別の場所では、箱作りが行われていました。染色して、印刷した後のロクタ紙を箱に貼り付けられるサイズ通りに切る工程です。ここではちょっと年配のおじさんが丁寧に作業をしていました。
紙を箱のサイズに丁寧に合わせています。ゆっくりと、確かめるようにして作業していたのが印象的でした。
すぐ横の部屋では、何人ものスタッフが手作りで箱を作っていました。
「一日に、何個の箱を作れるの?」と聞いた所、
「100個くらいかな…」との答え。
日本の工場であれば一日に1万個、2万個を簡単に作ってしまうでしょう。しかし、ここではすべてが手作業で行われていますので、一日に100個しか作れません。
ロクタ紙工房では全部が手作業で行われていて、全員が一生懸命働いて、一個一個丁寧にモノを作っているのだと言う事を、私達もこの工房に来るまで知りませんでした。正直、もっと機械化されているものだとばかり思っていました。でも、予想に反して全部、手作業だったのです。
工房全部を見終わった後、
「この工房とおつきあいしたい!」
「この工房の商品を取り扱いたい!!」
買い付けスタッフ全員が強くそう思い、早速注文を入れました。
この工房からの商品、数カ月後に入荷してきます。
どんな素敵な商品がやってくるか…楽しみにしていてくださいね。