口琴ってこうやって作るんだ! 口琴工房を訪ねました


2015年の1月にティラキタ買い付け班は、ベトナム口琴を求めてベトナムに飛んできました。ベトナム口琴といえば、他の地域の口琴が完全手作りで安くても1500円以上するのに対し、なんと! 680円とかの激安価格で出回っていつつ、なぜか他の口琴よりも音が良く、鳴らしやすいという素晴らしい特長を持つ口琴です。

この口琴は元々はベトナムのモン族の人々が自分たちが楽しむ用に作っていたのですが、あまりにも華奢で折れやすいのが欠点で、インドパパも何本も持っていたのですが鳴らしては壊して、鳴らしては壊して…と言う感じでした。



今回ベトナムで知り合ったのはそのモン族口琴の欠点を改良した独自の口琴を作っているタイさん。タイさんの工房はこんな畑の緑の豊かなところにありました。昔ながらの古き良きアジアを感じつつ、近代化も感じるロケーションです。


タイさんの工房にお邪魔したら、まずベトナム茶で歓迎してくれました。ベトナム茶は日本のお茶とあまり変わらないですが、渋みや味の濃さが素晴らしく、私たち緑茶好きの日本人の口にも凄く合います。さっそくタイさんに話を聞いてみます。


「ねえ、タイさん、タイさんはどうして口琴を作り始めたの?」
「元々はモン族の人たちから教えてもらったんだよ」
「あー、なるほど!! やっぱり。」


確かに、タイさんが作っているベトナムの口琴はモン族発祥のデザインです。

「でも、彼らの口琴は壊れやすくって、色々な欠点があったんだ」
「例えば?」
「演奏中に簡単に折れてしまったりとか。音があまり伸びなかったりとか」
「あ、そんな口琴、僕も持ってる!」
「でしょ? それで、これをなんとか改良しようって思ったんだよね」
「なるほど!!」


お茶を飲み終えた後、タイさんの工房の中に案内してもらいました。

「それで、実際にはどうやったの?」
「まずさ、材料にニッケルを入れたんだ」
「ニッケル?」
「そうそう。ニッケルを入れると粘りが出るんだよ」
「へ???」
「それからね、モン族の人々は全部手で切り出していたんだけど、おおまかな部分はプレスで押すことにしたんだ」


と、プレスした後の金属板を見せてくれました。
なるほど、口琴の形がずらっと綺麗に並んでいます。


これがプレス機です。


プレス機の下の部分を拡大してみました。確かに口琴の形をしています。ここに薄い金属板を入れ、ドン!って押すと口琴の原型の金属板が取れるという仕組みです。口琴の型も工具も全部手作りだそうです。

様々なサイズの口琴を作り分けているらしく、色々なサイズのプレス型が見えます。


壁には様々な工具が釣ってありました。口琴を作るのに、色々な工具が必要なのでしょう。


バケツの中にはプレスが終わった後の口琴になる金属板がどっさり入っていました。確かに口琴の形をしていますが、言われなければ判りません。

他にも様々なパーツが出てきます。これは金属を削りだして作るそうです。


「これがどうやって口琴になるの?」
「この金属板が出来てからは全部手作業だよ」
「あ、やっぱり…」
「作業がしやすいように金属板の端を曲げて、弁になる部分を切っていくんだ」


と言って、早速やって見せてくれました。タイさんの工房では他の親族の人も一緒に口琴を作っていて、実際に見せてくれたのは親族のおじさんさんでした。


ギリギリと音を出しながら口琴の弁になる部分を切っていきます。結構力がいるようです。時折裏返し、切れ具合を確認したりして作っていきます。

出来たのはこんな感じです。


その後、細くて平らな台の上に口琴を載せ、根元の部分を削っていきます


「なんで根本を削るの?」
「根本を削らないとそもそも鳴らないんだよ」
「あ、そっか!」
「根本の削り具合によって、音階や音の伸びを変えることが出来るんだ」
「なるほど!!」


一通りやって見せてくれたので、インドパパも一個作ってみようと挑戦しました。実際にやってみるとなかなかうまくは出来ません。線も綺麗に引けないし、やたら金属粉は出るし、結構な重労働です。

出来た!! と思って鳴らしてみると…あれ? 全然鳴りません。

「ねえ、鳴らないよ?」と聞くと、
「もっと根本を薄く削らないと…」

と教えてもらい、再チャレンジです。だいぶ薄く出来たので、鳴らしてみると…おおおお!! 鳴った!! やったーー!!

しかし、やっぱり違います。タイさんの作ったのは良い音がするのに対して、僕の作ったのは凄く低音で音の伸びもよくありません。

「なんか、僕の変だよ?」と聞くと、
「根本を削り過ぎだね」
「ええ???そんな?」
「あとね、弁のところの隙間が開き過ぎだよ」


光にかざしてみると確かに! 僕の作ったのは下側、プロが作ったのは上側。線も綺麗に出てるし、隙間も少ししかありません。こんな微妙なのが影響するのか!とびっくりです。



「僕たちはこの削り加減で4つの音階を作り分けるんだよ」とタイさん。

ちょっと削り過ぎただけであっという間に音が低くなっちゃった所から考えるに、音階を意図したように作り分けられるのは凄いテクニック。やっぱ、熟練の職人は違うんだなぁ…としみじみと感じたのです。

このベトナム口琴、ちょっと手で持ってきましたので、640円の激安価格で1種類だけ販売開始しています!!

他の種類の口琴は数カ月後に輸入されて来る予定です。ぜひお楽しみにーーー!!!

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2 Comments + Add Comment

  • 口琴作り、お疲れ様でした。今度はベトナムですか。当方もインドに来る前に、ハノイとホーチミンに住んでいたので、今回の記事、動画を含め楽しく拝見させてもらいました。
    インドだけで無く、ネパールや、バングラ、タイ、ミャンマー?そしてベトナムと、アジア各地を駆け巡る梅原さんの愛称は、もう「インドパパ」じゃなくて『アセアンパパ』の方が相応しいですね。でも、ちょっと「語呂」が悪いか?

  • 口琴づくり、楽しかったですよ(^^) やっぱり、自分で作ってみると構造などが良くわかりますので、とっても参考になります。ハノイとホーチミンに在住されていたのですね。いいなぁ????羨ましいです。

    実は、体が足りなくってまだミャンマーとラオスには行けてないんです。そのうち行きたいなって凄く思っているのですが、なんせ国が多すぎる!のですよね(^^) 

もし宜しければコメントをどうぞ

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