かける時間は3ヶ月! インドの手織り絨毯工房に行ってきました!

■手織りの絨毯を求めて旅をしました


インドやネパールを旅し、色々な商品の産地に行って、ちゃんと作っているところを見て、多くの方にその魅力を伝えるのがティラキタの仕事です。

仕事って言うと、イヤイヤ行っている響きがしますが、ティラキタ買い付けスタッフは、この現地に行って実際に見てくるのが大好き!! 朝から晩までやっていても飽きないので、完全に趣味です。死ぬまでずっと素敵な手仕事を追いかけてインドや東南アジアを駆け巡っていたい!!って思っています。

さて今回はインド、ウッタール・プラデーシュ州のバラナシ近くにある手織りのじゅうたん工房を訪問してきました。手織りのじゅうたんと言えば、シルクのペルシャ絨毯が有名ですが、実は手織りの絨毯は広く中近東に分布し、はるか昔から作られてきているもの。手織りの絨毯は西はモロッコから、東はネパール、そして中国に至るまで、様々な国で伝統的に作られています。

中でもインド製の手織りの絨毯はそのクオリティの高さと、手頃なお値段が受け、ヨーロッパやロシア、米国など様々な国に輸出されています。

■工房は緑が豊かな畑の中


目指すじゅうたん工房は緑が豊かな田園地帯にありました。見たわす限りの麦畑と…


一面の菜の花畑。



そして工房はインドのビルラ・セメントの広告がデカデカと書いてある大きなお屋敷の中にありました。なぜかインドでは家の壁にセメント会社の広告を書くことが流行しています。広告を描くと、お金貰えるのかな?なんて思いますが…。


中に入ってみると、工房の中には大きな木が生えている中庭みたいになっていました。日本では中庭って珍しいですが、インドではよく見かける家の作りです。ここで働いている人たちは近くから通っているらしく、自転車がたくさん置いてありました。


近づいてみると…屋根の下で働いている人がいました!!


■ちゃんと手織りで作られていました!!


屋根の中に入ってみると、大きな縦型の機織り機が何台もあって、そこに5?6人位の男たちが腰掛けて作業しています。


天井をふと見ると、染められた毛糸の玉が吊り下がっていました。ここから一本一本、糸を引っ張ってきては絨毯を織っていくのでしょう。


織り途中の絨毯を接写してみました。まだ作り途中なので、じゅうたんの表面がぼんやりしています。僕達が見たことのある絨毯はもっと模様がはっきりとしていますが…


手織りの絨毯を作るのに必要な道具はそんなに多くありません。これは毛糸を切るカッター的な道具。曲がったシェイプがアラビン・ナイトな感じですね。


これは絨毯の目を詰めるために使われる道具です。櫛みたいな形をしています。


改めて、絨毯を織っている所を見てみます。これはラグサイズの大きめのじゅうたんを織っているところ。裏側に人がいるのが判りますね。


織り目をアップにしてみました。


これ、1ノット、1ノット織っていくのか…気が遠くなりそうです。工房の人によると、熟練の職人は1日に6000ノット織れるとの事。1インチ(2.5cm)の長さあたりにウールだと8ノットから15ノット。シルクだと15ノットから30ノット。1ノットが一回編むことを意味しますので、2.5cm作るだけで8回から30回織ることになります。15ノットの品質ものを織るとして、2.5cm四方だと15x15=225ノット!!!

たったの2.5cm四方で225回も織るの!!!
なんでもスマホで解決! 1秒で解決!のご時世に2.5平方センチの絨毯を作るだけに225回も手を動かすの!?
マジですか…

足マットサイズの90cm x 60cmの絨毯を作るだけで15日間かかる計算です。
もっと大きなものになると、3ヶ月かかるものもあるのだとか。
気が遠くなる…

■織って終わりではありません


長い時間をかけて絨毯がおられると、次はフィニッシングの工程に移ります。ここだけ機械が使われるのですが、大きなバリカンのような機械で表面を平らにします。さっきまでぼんやりした絨毯の模様がピシっと美しく現れてきます。


細かい部分の修正もします。この写真は茶色の部分に白色が入ってしまったものです。茶色の中に白色の糸がピコンとあるのは美しくありませんね。ちなみにこの白色は間違いでなく、目印のために入れてあるのだとか。


それを丁寧に手作業で取り除きます。


長い棒を使って余分な毛を取り除いたりします。
フィニッシングを終えると、一枚の絨毯が出来上がります。



■綺麗にパッキングして出荷します。

出来上がった絨毯は白いビニールで綺麗にパッキングして出荷されます。
送り先を見てみると…………あ、イスタンブール行き!!!
イスタンブールの絨毯ショップの知られちゃいけない裏側を見ちゃった気分です。


「これがトルコの絨毯だ」と言いながら、絨毯屋さんが観光客に販売しているのでしょうか…。
もちろんトルコでもちゃんとした絨毯を作っていますので、そうではないとは思いますが、そう言う事している人がいるのかもしれませんネ。

僕らが実際に工房を尋ねる理由は実はここにあります。出来上がったモノを見るだけでは、それが本物なのかどうなのか判りません。産地に行って作っている所を見てくれば、嘘やごまかしがあったらすぐに判ります。変なことをしていたらすぐに判ります。だから僕たちは実際にその国の作っている所を訪れてみるのです。

実際に工房に行ってみて、どんな人が作っているか、どのように作っているか、ちゃんとレポートする。
時間と手間のかかることですが、僕たちはこれからもその姿勢を崩さないでいきたいと思っています。

■絨毯ができる過程の動画を作りました!!


1ノット1ノット手で織っている所が見られる、絨毯ができる過程の動画を作りました!! インドのバンスリ奏者の寺原太郎さんの音楽と共にお贈りします



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