神様像はオール・ハンドメイド。知られざるネパール仏師たちの仕事

今回は、ネパールの寺院や祭壇で祀られているブラスの神様像たちが、どの様に作られているのかをレポートします。知られざるネパール仏師たちの仕事をご覧ください。
■世界遺産の古都パタンにて
カトマンズのタメル地区から車で30分ほど走った所に、ネパールの古都であるパタンがあります。パタンはカトマンズ盆地で一番古い都市の一つで、西暦299年にヴィール・デーヴァ王により設立されたと言われている非常に歴史のある、いにしえの都です。パタンには数多くの寺院や僧坊があり、街全体が古色蒼然とした宗教都市になっています。初めて訪ねたときには、なんとも言えない懐かしさで胸が一杯になった記憶があります。 パタンは世界遺産の街としての顔だけでなく、手工芸の街という顔を持っています。パタンに住む多くの人々がいろいろな金属製品を作ったり、鉄製品を作ったりする手工業を営んでいます。古都ってそう言うものですよね。パタンの街を歩くと、様々な金属製品を並べてあるお店に数多く出会います。
■ネパールの寺院には欠かせないブラスの神様像
ブラスの神様像はネパールの寺院には欠かせない大切なものです。ブラスは聖なる金属とされ、寺院だけではなく、ネパールの人たちはブラスで作った神様像や、礼拝用品を日々の生活の中でも多用しています。寺院に行くと、ブラスで作られた神様たちが出迎えてくれます。 神様像に赤いティッカを塗り、お米をつけ、花を飾るのがネパール流。 燭台もブラスで作られています。 一回廻すと、一回お経を読んだご利益があるというマニ車ももちろんブラス製です。
■神様像はハンドメイド
ネパールのいろいろな所で祀られているブラスの神様像。寺院に納められている歴史的なものももちろんありますが、どんなものでも最初は誰かが作るものです。今回はこの地で先祖代々、仏師を営んでいるサキャさんちの工房にお邪魔させていただきました。この日、工房で作られていたのはネパール風の狛犬です。オーダーがあったら作られるとのことで、きっとネパールのどこかのお寺から注文があったのでしょうね。 パタンではいわゆるロストワックス製法と呼ばれる製法で神様像を作っています。ロストワックス製法とは、原型となる型をワックス(蝋)で制作し、それを元に鋳型を整形。鋳型の中に入っているワックスを熱で溶かすと、その形通りに穴ができるので、そこに溶けた金属を流し込んで金属像を作るという製法です。このロストワックス製法は、インドの先住民族アーデバシーの方々も使用していたりする、古くから伝わる製法なのですが、驚くべきことに、この手法はほぼそのまま現代日本でも使用されています。精度の高い製品ができる製法として知られているのです。サキャさんの工房の中にお邪魔しました。 お姉さんが家の中で、丁寧に一体一体の蝋を製作していました。 この様なシリコーンの原型があり、ワックス(蝋)を流し込むことで大まかな形を作成します。 原型があるとは言うものの、蝋は壊れやすいものですから、原型から外す時に壊れたり、細部が上手に作れないのだそう。 ですので、大体の形が出来た原型に、お姉さんが溶けた蝋で手を加えています。 丁寧な作業を経て、狛犬の頭のワックスモデルが出来上がりました。 細部まで丁寧に作り込んでありますね。
■鋳型を割ると神様が出てきます。
次に出来上がったワックスモデルを元に鋳型を作ります。 鋳型はワックスモデルに粘土をペタペタとくっつけて作るのですが…知らない人が見るとただの大きな粘土団子に見えますね。 粘土の鋳型を10日以上乾燥させたら、焼成にかかります。焼成すると粘土が焼きしまって陶器になると同時に、中のワックスが熱によって溶け出し、溶かした金属を入れることができる空洞ができます。空洞になったところに溶かしたブラスを入れます。溶かした金属は非常に熱いのでセラミックのカップを使います。 中の金属が冷えたら出来上がり!! パカッと割ると神様が出現してきました!!! 割ったあと、手直しと研磨を経て、この様な神様像が出来上がります。
■神様をお化粧する
ネパールの神様作りはここで終わりではありません。 グレードの違いにより、お顔に金箔を貼ったり、パワーストーンで装飾したりという最終工程が入るものもあります。こちらはお顔に金箔を貼ったあとのターラ像に、ターコイズを入れている所。 もちろんこちらの作業も全部手作業です。 一個一個、丁寧にお化粧していきます。そして、最終的にこの様な仏像が完成します。 よく見てみると、こちらの金剛薩た像は、鋳型から出したあと、ディテールがしっかりと出るようにもう一度全部彫刻されていますね。 大きな仏像になると原型製作から半年以上もかかるそうです。自分たちの信仰する神様だからこそ、できるだけ丁寧に作りたいと思うのでしょうね。
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