HORN OK PLEASE – あえてクラクションを求めるインドトラックの謎



■キュートなインドのトラック

インドのトラックはかわいい♥

インドが大好きなティラキタ買付班の偏愛なのかもしれませんが、インドのトラックはかわいいと思います。
一般的に見ても十分かわいいと思うのは、インド愛が溢れすぎだからでしょうか。



オールドファッションでいて、無骨な中に、手書きの柔らかさもあって。
丸いボンネットは既に消えた昭和初期のバスみたいですし、木の荷台は手作り感があって素敵です。

トラックなのに画一的な工業製品感がなく、まるで一台一台手作りしたかのようです。
トラックによってはお目々も書かれていたりして、とてもキュートです。

偏愛しているから、キュートなインドのトラックを見つけたら、ついつい写真撮りまくり!!
とにかく可愛いトラックを見つけたら写真を撮る!!
いろいろな角度から撮りまくる!

かわいいよ~、素敵だよ~とか言いながら、モデルばりの撮影大会になることもしばしばでした。
傍から見たら完全に変態です。

当のインド人トラックドライバーから見たら、見慣れない外人がやってきて、「ファンタスティック! キュート!」とか言いながら、自分のトラックの写真を撮られまくるのはどんな気分であったでしょうか。

俺の、自分が乗っているいつもの汚れたトラックがちょっといいものであると再認識したでしょうか。
きっと、200人の中に1人くらいは、する人も居たでしょう。

そして、インドのトラックの後ろには、必ずと言っていいほど、ハンコで押したようにHORN OK PLEASEやBLOW HORNの文字が書かれているのでした。

HORN OK PLEASEは思い思いの書体で書かれていて、あるときは1970年代の超名作映画のSholay風であったり、あるときはただシンプルに白であったり、あるときは一文字づつ色を変えてカラフルであったりしました。




■ドグラさんの説明によれば

インドのトラックを象徴するとも言えるHORN OK PLEASE。
何のために、なぜ始まったのでしょうか?

ヒマラヤの山岳地帯出身のドグラさんに聞いてみました。

「ねえ、ドグラジー。トラックの背中によく、HORN OK PLEASEって書いてあるでしょ? あれって何のため?」

「今でこそ高速道路ができてインドの道は広くなってきたけど、基本的にインドの道は狭いんだ。ボクの出身地のヒマーチャルは1車線の道ばっかりなんだよ。で、遅いトラックはよく追い越しされるんだけど、その時に、クラクションを鳴らしてから追い越ししてください、と言う意味なんだよ」

「クラクションじゃなくて、方向指示器を使えばいいのでは?」

「インド人ドライバーは方向指示器よりも、クラクションが好きなんだよ。そう言う習慣になってるんだ」


なるほど…。

そして、いつ、誰がHORN OK PLEASEを書き出したのかは定かではない、とのことでした。一説によれば、かつての交通ルールに、「追い越しするときはホーンを鳴らすこと」と言う条項があったからであるとも言われています。



■インドの街の騒音の元凶でもある


HORN OK PLEASE。
追い越すときはホーンを鳴らしてくれ。

日本では鳴らすと喧嘩にまでなりかねないクラクションですが、驚くべきことに、インドでは逆に奨励されてしまっています。なんせ、トラックの後ろに「鳴らせ!」と書いてあるのですから。

その結果、インド人たちは完全にホーン中毒に陥ってしまいました。
こちらはティラキタ買付班によるムンバイの街中の動画ですが、とにかくホーンが鳴らされまくりです!!



統計によれば、オートリクシャドライバーは一日に150回もホーンを鳴らすそうですし、平均的なドライバーは渋滞の中では30秒ごとにホーンを鳴らすそう。

アクセルとホーンが連動しているだろ!!って思うほど、ホーンが大好きのタクシードライバーに当たったりすることもあります。

ちなみに、オートリクシャのホーンのボリュームは約93デシベルと、ジェット機の離陸時の音に相当する大きさだとか。

正直、インドの街ってばマジでうるさいんですよ!!!!
ジェット級の騒音を、そこら中の車が出しまくっているのですから、うるさくて当然です。

ティラキタ買付班、インドが大好きなのですが、このホーン公害だけは耐えられず…。
ホテルを選ぶ際はできるだけ静かな部屋、大きな道路から離れた部屋に泊まるようにしていたりします。

それでも、このホーン公害から完全に逃げるのは不可能なんですよね。

■消えゆくインドの伝統 HORN OK PLEASE

ホーンがうるさいと思っているのは私達だけではなく、インド人たちも同様であるようで、2015年にはムンバイのあるマハラシュートラ州でHORN OK PLEASEの規制が始まりました。これはもちろん、無駄なホーンの使用と、街のノイズ削減のためのためです。

インドモータートランスポート協会会長のバル・マルキット・シン氏も、「かつてインドの道路は狭かったが、今は十分に広くなった。ドライバーは方向指示器を使うことができるはずだ」とこの規制を歓迎する声明を出したとのこと。

かつてインドに存在し、消えていったインドの伝統は数多くありますが、このHORN OK PLEASEもまたひとつ時代の流れとともに、消えていく運命にあるのでしょうか。



今までデカデカとHORN OK PLEASEが書かれていた所に、なにもないのは寂しいのでしょうね。STOP SIGNALとか、WAIT FOR SIDEとか書いてあります。

STOP SIGNALは停止灯でいいとしても、WAIT FOR SIDEってなんて解釈したらいいんだろう?

■HORN OK PLEASE コレクション

今までにティラキタ買付班が撮りためたものと、そしてインドの文化を紹介しているD'sourceからも写真をお借りして、インドトラックのHORN OK PLEASEを集めてみました!!

こちらはアルナーチャル・プラデーシュ州の山の中で出会ったタンクローリー。HORN OK PLEASEではなく、BLOW HORNと書いてあります。表示が何から何まで手書きなのがとっても愛らしい感じですね♪


マナリの郊外で出会ったトラック。HORN OK PLEASEにインドの国鳥である孔雀が、かわいくあしらわれています。


デリーで見かけた一台。UPナンバーなので、ウッタールプラデーシュ州からやってきた一台ですね。カラフルにBLOW HORNと書いてあります。


ハリヤナナンバーの積みすぎトラック。文字だけですが、手書きってやっぱりいいですね。


INDIA IS GREATと書かれ、インド愛が溢れ出た一台。これは、HORN OK PLEASEが禁止されたマハラシュートラ州の車両なので、OKだけ残されています。


南部のタミルナドゥ州のトラック。鶏に孔雀、牛に白鳥まで書かれています。標語はSOUND HORN!


さて、ここからはD'sourceからの写真です。OKの中に風景が描かれているのはよくあるパターン。


白い文字でただ書かれただけの一台。お金のかけようで文字の派手さも決まるのだとか。


プリントされたステッカーをただ貼り付けただけのものも、近年では人気だそうです。


黄色に青というカラーホイールで言う反対色を使った目立つデザイン。


HORN PLEASEの隙間に、❤でOKを書いてみたデザイン。


名作映画のSholay風。昔のインド映画のタイトルってこんな感じでしたっけ。


HORN PLEASEの下にOKが描かれたデザイン。これはムンバイの街中を走る給水車です。


HORN OK PLEASEなんかどうでもいいくらいデザインに凝りすぎちゃった例


なぜか。HORN PLEASEの間に滝が流れているデザイン


ドアパイプの配置などを上手に利用して、描かれています。


これは割とよく見るサイズとデザイン。


HORN PLEASEがスペースの都合上、小さくなっていますね。





参考文献:D'source Horn OK Please by Neha Jain
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