ジャイプールにサバクトビバッタの大群が来襲

Hindustan Times via Getty Images
インドで発生したバッタの大群(5月25日撮影)
■サバクトビバッタの大群がジャイプールに襲来
ロックダウン中であっても、毎日の日課として、インドの取引先には連絡を入れています。「元気してる? 今日はどう? 何かあった?」 と聞いて、ちゃんとコミュニケーションをとるのは大切な日課です。恋人ではないけれど、毎日連絡してお互いの距離を保っておくのが大切だなって思うんです。ここ最近はコロナのロックダウンで、インドからの荷物の発送ができなくなっていて、ロックダウンがいつ頃終わりそうだとか、日々どんな感じで生活しているとか、そういった日常の話をよくしています。「最近はね、ずっと子供の世話ばかりよ」とか。 「朝方2時間しか外に出られないの」とか。そんなコロナの中の日常の話をしているのです。今日も、いつもと変わらぬ感じで連絡してみたら… 今日はちょっと様子が違いました。「あのね、大変!!! ジャイプールにバッタの大群がやってきたのよ!!」と言って、インドの市民が撮影したと思われる動画を送ってきたのです。これは…バッタ!!! ものすごい数のバッタが空を飛んでいる!!バッタが屋根の上を埋め尽くしてる!!!バッタが市街地の中にまで…デリーのドグラさんによれば、ジャイプールへのサバクトビバッタの襲来は2回めで、1回目はそれほどでもなかったのですが、2回めとなる今回は、ものすごい大群で襲ってきたのだと言います。
■インド北部の州に被害広がる
アフリカで発生したサバクトビバッタのニュースがやってきたのは、確か、コロナでロックダウンする前でしたから、ほんの数ヶ月前のことでした。それが数ヶ月もしないうちに、アフリカから紅海を超えてイエメン、パキスタンに渡り、とうとうインドにまで到達しました。2020年5月28日現在、マハラシュートラ、ウッタール・プラデーシュ、パンジャブ、ハリヤナ、ラジャスタン、グジャラート、マディヤ・プラデーシュの7州に被害が広がっています。NDTVによると、700代台のトラクター、75台の消防車、ドローンなどを用いて殺虫剤を散布したりしているようですが、大量にやってくるサバクトビバッタの前に苦しい戦いを強いられている模様です。 標高の高いヒマラヤ山脈地帯を除き、インドの多くの地域では冬の収穫と、モンスーン時期の収穫の2毛作が広く行われています。雨季作は、5月後半から7月中旬に作付けが行われ、同じ年の10~11月に収穫されます。乾季作は雨季作のあとの10~11月に作付け、翌年の5~6月ごろに収穫となりますが、今回のサバクトビバッタの襲来は、タイミングの悪いことに5月~6月の収穫期に当たっていて、コットン、夏に収穫される豆類、野菜などが影響を受けていますインドは農業大国ですが、国内に膨大な人口を抱えているので、食糧の需給はそこまで安定していません。ひよこ豆などの豆類の輸出制限をしたり、不作でタマネギの値段が高騰したりして、決して安定して供給出来ているわけではありませんでした。新型コロナウィルスのロックダウンによって農作物の生産が減少しているのに加え、サバクトビバッタの蝗害で作物が消失するとなると、インド国内だけでなく、世界各国のサプライチェーンにも影響を及ぼす事態になりかねません。
■蝗害と飢饉
学生時代に読んでいた漫画の三国志にはよくバッタの襲来と飢饉が描かれていましたが、インドでも同じ様に昔から蝗害に悩まされてきました。「バッタの襲来は特に新しい問題ではない。パキスタン方面からのバッタの襲来には長年悩まされてきた。しかし、今年の蝗害は過去26年で最悪のものだ」と書かれています。サバクトビバッタの成虫1匹につき、毎日2gの食物を食べます。1平方キロのサバクトビバッタの大群は4000万から8000万匹もの成虫からなりますが、その大群が1日に130kmから150km移動すると、35,000人分の食料が食い尽くされるのだそうです。
■インドが困れば私達も困る
ティラキタはインド、ネパール、インドネシア、タイ、ベトナムなどのアジア諸国から商品を輸入していますが、取り扱い量の6割以上はインドです。ロックダウンが始まってからというもの、インドからの物流は完全に止まりました。現在はロックダウン前に入荷したものが倉庫にまだあるので、その商品を出品していますが、在庫がなくなってくるのも時間の問題です。ムンバイのネハちゃんは、「6月1日から徐々に元に戻るみたいよ」と言っていますが、コロナの影響で航空便の送料が以前の数倍に高騰している模様です。そしてコロナの次は、蝗害がやってくるのかと予想せざるを得ません。インド国内で食料が逼迫したら、自国民を守るためにすぐに輸出制限をするでしょうから、今、ティラキタで取り扱っているインドからの食品の多くがなくなるという事態も起こりうると思っています。インドが困れば、私達も同じ様に困ります。 私達はインドとアジアを紹介する仕事をしているので、その影響は甚大です。コロナも蝗害もできるだけはやく収まりますように。 大きな被害がでませんように。ただ心から祈るばかりです。
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